企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


経営幹部にも読ませよう 「中小企業買収の法務」

 資本や企業の形が数回変わったとはいえ、業歴そのものが半世紀を超えるとパートナーシップというにはオーバーだが共存共栄を図ってきた業務委託先企業の数もそれなりになります。そのなかにはパートナー関係を築く過程で持分法適用会社になった企業、全く資本関係を持たずにきた企業もあります。半世紀という時の流れとは酷なもので、着実に業容を拡大し、あろうことかこちらに対して株を手放せといってくるような会社がある一方、何とか息をしているだけでカネもヒト(後継者)も調達する力が残っていないという会社も現れてきます。

 投資、融資すべきか、それに伴い人(役員)も派遣するか?いや出せるのか?出していいよな?法務担当者君、なんか知恵出せ!
 
 こんな「さあ、どうしよう」という状況になったときの道標となるべく、年末法務カレンダー企画や阿佐ヶ谷LT企画でもおなじみの柴田堅太郎弁護士が「中小企業の買収法務」を出版されました。文字通り「道標」となる書籍だと思います。かつての買収対象会社の法務担当者がいうのだから間違いありません。

 現在の勤務先でいうと前半の「事業承継M&A」が関わりがありそうなのですが、以前持分法適用外会社の株主総会議案をみて立ちくらみがしたことを思い出したくらい「中小企業あるある」事例が載っています。
 オーナー系というか伝統的な中小企業は本当に呆れるぐらい税理士のいうことが全てで、弁護士どころか司法書士ともあまり付き合いがない会社が多く、あったとしても税理士を介してのもの。その税理士がちゃんと導いてくれていればよいのですがそうでないこともあります。不完全な状態が累々と重なった末に「事業承継先を探す羽目に」というのはそんなに珍しい話ではないと思います。(詳しくは書けないのですが実感としてあります)

 冒頭書きましたように事業環境の変化から外出ししていた子会社や、持分法適用、業務委託先、フランチャイズ化していた中小企業等を買収、買収までいかなくても出資して傘下に収めるといったことを検討する機会があるかもしれません。法務担当者は当然ですが、プレゼンだけなら格好いい経営企画部門にも、中小企業買収の実態を理解してもらうためにも読ませたい1冊です。

 ベンチャー投資なぞ夢のまた夢なので前半に絞ったエントリーとしました。悪しからず。


債権譲渡と取引の未来

 と、大層なタイトルを付けたみたもののただのメモです。

 LBOスキームで親会社から投資ファンドに売却された際に3回ほど金融機関とブリッジローン契約を締結したのですが、初回の契約時に借入額の規模から集合動産、集合債権にまで担保設定されました。当時は「背負わされた借金のカタ」という感覚でいたのですが、裏を返せば将来売掛債権で融資を得る経験していたということになります。

 自分のいる業界の取引形態の主流は数次にわたる流通を介して最終の需要家に商品を引き渡すというものです。これは古くからの商習慣によるところが大きいのですが、もうほとんど本来の意義を失いつつあり、末端の流通業者や需要家の「与信」を目的として流通を介在させるというのが実態。建設という大きな金額が動く市場でありながら、需要家である建設業者の資力や資金調達力に難があることがほとんどだからです。
 業界に詳しい弁護士との民法改正をめぐる雑談で、「債権譲渡」による資金調達が行われるようになったら、というような話が上がりました。あくまで電子契約の普及が進めば、という前提ですが、昔ほどではないにしろ「書面主義」という建設工事約款の条項が空しくなるような実態が残る業界、「紙」の文書を飛び越え一気に「電子」になるかという疑問がないわけではありません。しかし、「カネ」が絡めばひょっとしたらという気もします。(そうなるならお守りのようになっている基本契約書の「債権譲渡」に関する条文もどうするかということですよね。)

 流通段階の末端の企業や需要家が資金調達力を身につけた場合に、現在のような「数次にわたる流通」がその形態を保っていくことができるのでしょうか。民法改正とは別に流通事業者には会計基準「新収益認識」の問題もあります。

 ものの本に「実務への影響は軽微」とあったからといって、そうはいかないのが企業法務。今後バラバラやって来るであろう取引基本契約書更新交渉には出張る必要がありそうです。
 

埋め草 法改正の研修はタイトルに尽きる

 面倒なので西暦に統一せよ!という一方で、「平成最後の夏」と和暦で盛り立てられた夏が過ぎ、はや9月。
 民法改正、とカテゴリー分けするのも気が引ける内容ですがメモがわりに。

 過日、事業者団体の分科会のメンバー数人と団体の顧問弁護士と面談する機会がありました。
発端は近日開催される事業者団体の会合(主に加盟企業の代表者が出席)のプログラムに顧問弁護士による講演があり、今回は気合たっぷりに「民法改正」について語ると宣言があったことから。

 民法改正への取り組み、ほとんどの企業が法務部門が中心になって取り組んでいる最中で、現場レベルでまだ作業中であったり、経営トップまで取り組みが共有されていたりと、まだばらつきがある時期であること。また当該事業者団体は完成品メーカーと中小含むサプライヤーから成る団体なので、顧問弁護士が提案してきた「条項」に的をを絞った内容では共通のテーマにはなりにくい、というようなことを説明して、講演内容の方向性について1時間半ほどの擦り合わせを行なった次第。
 プロからの提案に対してダメ出しというようなところから始まったので、当初は顧問弁護士も面食らった感じでしたが、業界の上流から下流まで、全ての段階の事業者、事業者団体に関わっている方なのでやはり持ちネタは豊富でした。ざっくり最近の法改正トレンドから民法改正の趣旨、改正法の業務への活用手段例といった構成で話してもらうことに落ち着きました。(具体的な内容はここではご容赦)

 合間に挟まる雑談の中で、業界紙に執筆した原稿記事のタイトル次第でアクセス数と評価が激変するよといった話が出ました。「民法改正に伴うなんちゃら」「民法改正でこう変わるなんちゃら」では、ビクとも動かなかったのが、「現場担当者の嘆き」をタイトルにした途端に記事へのアクセスや問い合わせが激増したとのこと。これ、法務担当者としてメモさせていただきました。つい「法改正がなんちゃらに対する影響」とか「法改正ここが注意」と研修や勉強会のタイトルにつけてしまいがちですが、日々条文やガイドラインに触れている法務担当者ならともかく、他部門の担当者に対する勉強会ではストレートに「あんたの仕事にこんなに影響するよ」とひと目でわかるようなタイトルをつけたほうがいいですね。自分のこととして捉えて参加するのとそうでないのとでは、研修や勉強会の効果が違いますからね。それにはまあ他部門担当者の「嘆き」や「呟き」を日々拾っておく必要はありますけれどね。

 あとは、紙の契約書と判子、印紙の不要論につながるネタとして「債権譲渡」があったのですが、これはもう少し自分の理解度を上げてから取り上げます。

 
 
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