企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


リコール 一番長かった6月 16

 だいぶ日程が空いてしまいました。8月後半、通信環境に障害が発生、すぐに手が打てなかったもので..
リコールに関するエントリーもそろそろ終わりに..できるのか...

【2回目のリコール会見】
 2007年7月最後の日の夕方4時からリコール対策協議会2回目の記者会見をひらきました。
 内容はリコール対象機種の追加と、リコール公表後約1ヵ月が経過するので進捗報告とそのなかで、勤務先の「埋もれていた人身事故」を公表するというものです。
 
 当日は大手町の某団体のビルの1室で会見を行ったのですが、隣の会場は某生活用品企業の決算説明会会場で、そちらが来場される個人投資家に、にこやかにお土産を手渡しているのに対して、こちらは報道陣の受付や記者の確認でややぴりぴりとした空気とまったく対照的な様子でした。

 会見は、冒頭のとおり、対象機種追加の公表、7月初旬のリコール発表後の協議会活動の進捗、そしてその過程のなかで「埋もれていた人身事故」が発見され、改正消安法に基づき届出、発表するという構成。事故に関する発表を勤務先の社長が行いました。
 最悪、社長の発表の最中から記者達の質問が飛び交うかと思ったのですが、そんな事態になることもなく発表を終えることができました。問題は質疑応答がどのような展開となるかでした。

 しかし、意外なことに本件について記者の質問は事故の事実確認に終始、手厳しいという噂の某新聞社会部記者ですら確認のための質問だけでした。こちらが事故を「埋まらせてしまったこと」の迂闊さを認め、謝罪と被害者への対応は責任をもって行うといいきったので、彼らが考える記事のストーリーとそれほどずれがなかったのかもしれません。公表時期が7月末になったことについても、「消防署など公的機関への事実確認を行い、可能な限り正確な情報で公表すべきと考えた」と説明しました。若い記者が多少喰い下がって(というか周りを煽ろうとしたのかもしれませんが)「改めて謝罪しろ」云々の発言がありましたが、同調する記者もなく、平穏に記者会見は終了したのでした。

 しかし、これは偶然平穏に終わったわけではありません。このように平穏に終わらせるために、多くの時間を費やし、いろいろな人の知恵なり経験なりを出しあった末にえることができた結果だと思いたいですね。(少しオーバーですかね)
 
 次回以降はリコール後の備忘録的内容について少々。
 


  

リコール 一番長かった6月 15

 いい加減、このシリーズ区切りをつけないと、もう8月下旬...

【記者会見 その後2】

依頼した所轄消防署からの回答書が届き、2件目の「埋もれていた事故情報」の扱いについて、協議会とともに経産省に報告と相談に出向くことになったのですが、この報告には僕は出席していなかったので当日の詳細を書くことができません。

前回(14)で書いたように、事故当時、どういうわけか所轄の警察、消防から照会がなかったため知りようがなかったこと、リコール実施に際しての調査の過程で伝聞情報(メモ)を発見したが、公的機関(所轄)の裏付けをとってから情報公開すべきと考えたことを説明し、そのうえで改正消安法に基づく扱いとすべきか、事故当時の法令に基づく扱いにすべきかを相談する、という流れで報告に臨むこととしました。(この方針に落ち着くまで、数回協議を重ねましたが)

その結果、ごく普通に「改正消安法」に基づき、経産省に報告書を提出すること、追加リコール公表時に併せて事故報告を行うという結論になりました。まあ、こちらが望む方向に落ち着いたわけです。既にリコール会見を行い、会見が炎上することもなくその後のメディアの報道もリコール周知のトーンだったこと、報告の時点で勤務先のリコールCM放映が始まっていたということも影響していたかもしれません。(憶測ですが)

再びリコール会見の準備です。
リコール機種の追加がメインですが、前回リコール公表後の把握・改修の進捗報告など前向きな情報発信を織り込む、協議会が事故再発防止について責任を負い続けることを改めて説明する、そして勤務先の「埋もれていた事故情報」について個別に発表する、という進行としました。

勤務先は、もともとこの「埋もれていた事故情報」により単独リコールまで考えていたのですが、それでもいざ公表となると想定問答を改めて練り込む必要がありました。
しかし、リコール実施とCM放映開始後、納入先把握率や改修率に改善の動きが見え始めていたこともあり、メーカーの経営責任を問う想定質問に対して、「改修を進めていくことが我々の責任である」と自信をもって回答できるようになっていたことも事実です。

2回目のリコール公表は7月末日。場所は大手町で午後2時から。
6月から2カ月間にわたるリコール対応の区切りがみえてきていました。

次回は2回目のリコール会見です。

リコール 一番長かった6月 14

【記者会見 その後1】

翌日の新聞紙面の報道は事実ベースのもので、メディア側がリコール活動促進の旗振り役の立ち位置についたことがはっきりしました。(本来のメディアの役割といえばそうですが)TVの情報番組でも取上げる動きがあり、数局から問い合わせが続きました。いずれもリコール周知が趣旨で、この点からもリコール会見は成功だったと思います。

会見の二日後、2件目の事故の照会を依頼していた所轄消防署から電話連絡がありました。
依頼してから2週間以上経過していました。この時期は渋谷でスパの爆発事故が発生した時期であり、当時消防署は類似のスパ施設の安全点検に追われて多忙だったとのことですが、多分報道が連絡の後押しになったような気がします。

連絡の内容は、「火災事故が発生した」「COが発生、出動時は鎮火していた」「被害者がいた」「当該機器の周囲が燃えていた」「火災の原因は特定できなかった」「「被害者の情報については自治体の個人情報保護条例により一切開示できない」といったものでした。我々とすれば、被害者情報を把握したかったのですが条例を理由にされた以上深追いはできません。
この連絡の内容を書面でいただけないか打診したところ、即日は無理だが要望には応えるという回答を頂きました。

さて消防署の回答を得たところで、その対応です。
本件は、6月の時点で単独リコールに踏み切るか否か議論になり、行政サイドの確認が取れてから改めて協議という結論になっていましたが、ここで正式に「事故」と位置付けされたわけです。
協議会に報告し協議したところ、公表で方針決定されました。本稿8で触れたリコール対象機器追加について、当事者メーカーでリコール会見時に全容が纏まらず、再度会見することとしていましたので、その機会に併せて本事故も公表という筋書きで、経産省に打診することとなりました。

懸案は「事故隠し」として取られるかどうかだったのですが、調査を進めるうち、事故当時機器周囲が燃えていた点で火災原因かどうかは別にして、通常製造販売元に来るはずの警察か消防からの連絡がなかったことが判明しました。(所轄消防も確認)
これを理由に淡々と事実ベースで相談しようということになったのです。(続く)
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