2015年03月13日 07:00

 やっと法律時報3月号の特集「平成26年会社法改正の評価」を読み始めました。
こんなことをいうと叱られそうですが、完全子会社にいるとどこか感度が鈍くなります。

 特集トップの中大・大杉教授の「上場企業の経営機構」を読みながら思わず苦笑いしてしまいました。

 投資ファンド傘下だった頃、取締役会で取締役や執行役員人事の話になると投資ファンドのトップが「取締役はライン人事の延長線じゃない。」と発言していたことを思いだしました。いろいろありましたが、この意見にはそうだ、そうだと取締役会の隅で議事録をとりながら思っていました。もっともそういうからには投資ファンドが外部から取締役を引っ張ってきたかというと、そういうこともなく終わったのですが。

 どうして人は偉くなると「愛い奴」で周囲を固めるのでしょうねえ。

 古くなり勢いを失った企業も創業の頃からそんな態であったわけがありません。
しかしいつしか経営トップや幹部がマネジメントを「愛い奴」中心の構成で行うようになると勢いが失われることになります。「愛い奴」はたいがい自分を追い抜く可能性のある「未来の大物」ではありませんからね。仮にそういう「未来の大物」が素性を隠して「愛い奴」になっていたとしても、使われない能力はやがて廃れてしまうものですし、経営トップが変わるときに上に抜け出る機会を得なければ「愛い奴
」でおしまい。自分がついていた幹部の反対勢力がトップになったら、もう「愛い奴」でもなんでもないですからね。でも反対勢力にも「愛い奴」がいたりして、そんな繰り返しで経営者の小粒化が進んでしまうのだろうと思うのです。下から目線でいうことではありませんが(苦笑)

 上場企業に設置される社外取締役が本当に機能し、経営トップの後継者問題に積極的に関与し、「愛い奴」マネジメントを払拭させることができ、それが企業の成長に繋がれば、このたびの会社法改正は評価される、ということになるのでしょうか。

 ちょっと苦しいか。

 雑感のようになってしまい、反省。





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2015年03月08日 14:11

 (2)です。引き続き特集「企業法務における消費者法」から。

 ジュリストに限らず、消費者法等消費者関連の記事だと、どうしても企業/消費者の立場を分けて論じられる構成になるのは仕方がないとしても、読後にもやもや感が残るのはなぜでしょうね。

 適格消費者団体の副理事長を務められている片山登志子弁護士の「企業と消費者の真の信頼関係を目指す」。意見・主張はわかるのですが、企業と信頼関係を構築することをめざしましょうといいつつ、消費者は「自立した主体」、積極的に事業者を選択し淘汰する存在だと切り出されて、身構えない企業担当者はいないでしょうなあというところ。

 前述の片山弁護士の論稿とACAPの方の「「消費者教育推進法」と消費者教育への取組み」を読みながら思ったのは、ところで「消費者」とはいったい誰のことを指すのだろうと。
 企業に勤める「ビジネスパーソン」もいまや老若男女さまざま。1日24時間ずっと「消費者」の立場にある人は、学生か専業主婦、完全リタイアしたシニア世代ではないでしょうか。ビジネスパーソンは事業者の立場、消費者の両方の立場を1日の間に何度も行き来しているわけです。ざっくりと「消費者」で一括りするのはどうも違うのではないかと思うのです。(自分は「事業者」「消費者」などと顔も名前もみえない存在に扱われることに抵抗があるのですよ。)




 


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2015年03月06日 08:02

 花粉症始まりました。

 拾い読み、よりは読んだけれども熟読に至らず、ということでジュリスト3月号から。
特集は「企業法務における消費者法」です。

 勤務先の取引はほぼB to Bですが、最終製品を製造販売しているので、ことが起きると消費者と向き合います。消費者と法務担当者が直接相対することは滅多にありませんが、業務の一定割合を苦情、クレーム等のうち難易度の高いものについての相談、対応が占めています。そんな関係で本誌を手に取ったわけです。

 特集はこの手のテーマならまずこの方、郷原弁護士の「消費者問題と企業のコンプライアンス」で幕をあけます。内容はあえてここでいうまでもありませんが、「Ⅳ.消費者に関連する不祥事をめぐる誤解と混乱」のなかの
ここで注意しなければならないのは、消費者に関連する不祥事の多くが、マスコミ報道によって単純化され、そしてその誤解が報道を通じて拡大することが多いという現実である。

という一節は、同じ特集での神戸大:馬場教授の「被害や欠陥が発生した場合の信頼回復に向けた対応」でのリコールや公表についての論稿と関連づけて考えると重みがあると思うのでした。
マスコミによって単純化された内容が、ネットでさらに面白おかしく拡散していくというのが今の時代、昨年も会見の構成・内容如何で火だるまになっていく企業の例がありましたよね。

 馬場教授の記事は、食品メーカーでお客様相談センター長に就いていた経験に裏打ちされたものと思います。もし自社で被害・欠陥が発生した場合、しかもそれが初めての経験の場合は、この記事内容は非常に参考になると思います。記事の内容を自分で時系列に構成し直すとよいかもしれません。
なお記事では公表する際のIRとの兼ね合いについては触れられていません。上場企業であれば被害・欠陥公表のタイミングがIRとしてはどうなのか、という諸々が生じることがありますし、自社が上場企業でなくとも親会社が上場企業である場合にはさらに諸々が生じる場合があります。この諸々にかかる時間をいかに短縮するか、というのが対応の成否を分けるかもしれません。
なかなか社内を一本化するのは簡単ではないですからね。

 タイトルに(1)とつけたので続きは(2)で。







 

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