2014年09月24日 06:54

 旧ブログに残したとおり、勤務先の資本の変遷、企業再編により、手間はそれほどかからないけれど定期的に必ず対応しなければならない仕事が、「信用調査会社からの取材対応」。
それまで販売先の債権保全のために調査業務を委託していただけだったのが、一転「調査される」側になってしまいました。それは再び上場企業の子会社となった今でも続いています。調査会社のクライアント(たぶんサプライヤー)からみれば、業績のほかに短期間で親会社が何回も変わった企業ということで定点観測の対象となっているのかもしれません。

 「会社の評判 」というものを初めて意識したのは最初の株式譲渡のとき、大企業グループから切り離され、当時はなかなか世間の信用を得にくい投資ファンド傘下になったときです。(「ハゲタカ」のイメージが強烈でしたからね)
 40年以上も使用してきた商標の使用許諾が打ち切られるため、旧ブランド撤収と新商号、商標、ブランドロゴなどを短期間で作り出さなければならず、経営再建のさなかに多大な時間と費用をかけなければなりませんでした。もっとも、この作業は株式譲渡のショックを和らげ従業員のモチベーションの維持・向上をはかろうとしたのか若手社員が中心に担っていました。

 企業ブランドというのは、カネをかければ確立できるものではありません。耳障りのよい企業スローガン、見映えのよいブランドロゴでそれが手に入るのであれば苦労しません。「いいデザインロゴになりましたね」、信用調査会社の調査員もそうはいってくれますが「で、撤収含めて費用はいかほどかかりましたか」という質問に。会社の評価は結局財務諸表に記載された数字からしか得られないということをいやというほど感じました。

 企業ブランドというのは、なかなか企業の思惑どおりに育たないものです。本業への投資だけでなくイメージ戦略に巨額投資できる企業であればともかく、そうでない企業はどのように世間の評判をかちえていけばよいのか。カネをかけてもなかなか効果を得られないブランド戦略よりは、まず内部管理をしっかり行い、財務諸表の一番下の数字を積み上げていくことでしょう。特に経営不振に陥り何らかの企業再編といった目に遭った企業はそうでしょう。

なにかにつけ自分がこのように主張するときの支えになった書籍をリンクに貼付けておきます。発刊年次がやや古くなりましたが、今でもたまに手に取ります。






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2014年09月19日 06:48


 法務系雑誌に取り上げられている企業の事例を読むと、さすがに事例となるだけのことはあるなと思いますし、取り入れてみようかとも思うのですが、そもそも企業の規模や法務に配置している人員が違い過ぎてため息をついておしまい、ということが多々。

 子会社のビジネスリスク、リーガルリスクを親会社がどこまで把握できるか、理解できるか。
元の親会社から子会社を枝分かれさせてグループ化したところはともかく、企業買収を繰り返してグループ事業を拡大してきた(あるいはしようとしている)ところはどうなのでしょうか。例えば買収の結果異業種の子会社を抱えた場合。
 異業種ですから、当然ビジネスリスクもそれに伴うリーガルリスクも親会社のそれと重なるとは限りません。買収によって親会社の法務部門がチェックすべきリーガルリスクが増えます。親会社の法務がそれらに手当できればよいのですが、企業の急成長、拡大に追いつかないという例もあるのではないでしょうか。関連法令だけでなく、商習慣、商習慣というよりも「しきたり」、もっといえば「アンタッチャブル領域」をすみやかに把握、理解できるでしょうか。それをやってこその「親会社」とは思いますが、ちょっと酷とは思います。買収前のDDでビジネスリスク、リーガルリスクに関する質問は必ずありますので回答はしますが、微に入り細に入り回答するわけではありませんし(訊かれたことに回答するのみ、です。正直)DDに買主候補企業の法務担当が同席するわけでもないので、買ってみてびっくりということもあるのではないでしょうか。

 そんな事情も考えながら子会社法務は日々を過ごすのですが、前回でもとりあげた「接点部門」にリーガルの人が配置されていると多少は違ってくるのではないかと思うのですが。。。





 
 

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2014年09月16日 06:45

 連休明けは身体が重いですよね? ええ、気分もですが。

 グループ会社(子会社)管理は、法務部門だけでなく、人事労務部門、財務会計部門の課題とアプローチがあります。法律系の月刊誌だけでなく、これら人事労務系、財務会計系の書籍にも特集記事が組まれることがあります。見出しを眺めながら、子会社はいろいろな部門から管理されるなあ、しかしどの部門(誰)のいうことを優先すればいいのだろう、あちこちからいっぺんに色々いわれてもねえ、と思わざるをえません。

 親会社によっていろいろアプローチがあるものと思いますが、自分自身の経験でいうと親会社の法務部門から直接何らかの指示を受けたことはないのですね。元企業グループにおいても、現在のグループにおいても「関連会社室」や「グループ会社管理室」といった部門(とりあえずここでは「接点部門」といいましょうか)を経由してくるケースがほとんどで、逆にこちらからも必ず「接点部門」を通じて、ということになります。
直接関わってきたのは、元企業グループにいたときの「リコール」対応のときぐらいでしょうか。
 
 さて接点部門、その機能・役割や構成員について。
 親会社が上場企業であれば、子会社業績(損益)管理が優先順位の上位にあるのは間違いのないところ。
月次の連結決算、差異分析といった作業を月半ばまでには纏めなければならないので、日程どおりに月次業績を報告させるのと、上振れ・下振れがあった場合の理由を説明させるなどの仕事の比重が高いでしょう。接点部門には財務・会計系の人間が配置されるのも道理です。で、財務・会計の接点は意外と多いしパイプも太いのです。
では法務系や人事労務系の人間が配置されているかというと、(あくまで自分の経験ですが)そういう人がいたという記憶や印象が薄いのですね。
 接点部門とは別にCSR室やらコンプライアンス部といった部門が設置されている場合は、リスク管理はそちらで、ということですが、法務部門とはやはり違いますしね。
 親会社の考え方(思想?)や社風が現れるところなのかもしれません。
 
 下からいわせていただくと、何事も接点部門を介すということならそこであらかたのことは捌いていただくほうが効率がよいので、接点部門には法務、人事労務系の人材を配置されていると助かるというのが正直なところなのですが、まあ、そこは「仕方がない」のでしょう。

 リーガルリスク管理についてのあれこれは引き続き次回。

 
 
 

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