2020年01月18日 17:45

 今回も購入書籍についてのエントリー。

 島田事務所の弁護士が手がけた「メーカー取引の法律実務Q&A」(商事法務刊)。結論からいうと帯にあるように「メーカー法務あるある」の集積、そして虎の巻ともいえる。
 数年前、島田事務所の講演&懇親会にクライアントでもないのに出席させていただいたときに、会場を埋めるクライアント企業の錚々たる顔ぶれに臆して早々に退散した。思えばあのクラスのメーカーとのさまざまな事案がこの書籍の各項の基となっているだろうから、「あるある」になって当然とは思うがそれにしてもよくぞ発刊していただいたと思う。契約(書)にかかわる書籍はあまたあるが、全方位向けの内容では食い足りないし、知財、独禁法、下請法に特化した書籍もあるが、実務では使い勝手がいまひとつ。毎日の業務で営業や購買や工場、サービスといった各部門から遠慮も配慮もなく投げられてくる問い合わせを捌くための参考書はないかと思っているメーカー法務担当者もいるのではないか。そんなときに本書籍である。

 構成は全7章、Q&Aの総数は169である。目次を確認して自分の業務に関連する箇所に付箋をはっていこうとしたが、自社で手掛けていない海外事業の章以外はほぼ付箋をはることになりそうなので、感嘆した。と、同時にメーカー法務の困り事、悩み事は同じなのだなと妙に安心したりもした。
 
 自分としての本書のポイントは「第3章 契約履行後の段階」のQ&Aの数(最多の55項目)と内容の充実ぶりである。例をあげれば「法的責任がない場合に営業的対応として無償対応を行うことの可否」「保証期間後経過後に安全上の問題が発覚した場合の対応」「標準耐用年数と保証期間の関係」「エンドユーザー対応を先行させた場合の対応費用の負担の要否」など、「ああ今週もこんなメールが来た!」というメーカー法務ならではの事案がこれでもかと続く。特にメーカーの新人法務担当者にとって心強い存在になるだろう。尻に火がついてあわてて問合せてくる各部門の担当者からの問い合わせに取り急ぎコメントを返すことで信頼を得るにはもってこいである。(少々あざといか、でも会社の中とはこんなもの)

 現行の内容でも十分なのだが、この章があれば完璧・無敵と思ったのは「災害発生時の対応」だろうか。自社が被災したとき、調達先が被災したときなど契約書の「不可抗力免責」条項が適用される場面ではあるが、それでも対処に右往左往することがあるときである。災害の多い日本では天災地変の場合の免責のハードルが高くなると指摘する弁護士もいるので、本書だったらどのようなanswerが掲載されるのか興味がわく。
 
 ともあれ、メーカー勤務の若手法務担当者はとにかくデスクに置くべき1冊であるし、メーカー法務部門長が購入経費を認めてもよいと思う。(大きなお世話だが)

 ちなみに自分は自費購入であった。まあ、しょうがないね。


メーカー取引の法律実務Q&A


    このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年01月12日 23:36

 早々に、完成在庫品の引き取りだの貸与金型の確認、代理人との連絡といった業務に時間を割いた新年。今年もこんな調子でいろいろあるのか。というわけで昨年末に刊行された「企業法務のための初動対応の実務について」(日本能率協会マネジメントセンター刊)についてメモを残しておく。

 何事も現地現物確認だと営業担当者時代から教えられてきたものだが、法務担当者に「初動対応」が求められる場面というのは、規模の大小、重要性の高低はあれど「有事」のときで「現地現物確認」が緊急性を帯びる。しかし法務担当者といえどもすぐに何でも対応できるとは限らない。百戦錬磨の(であろう)上司が不在かもしれないし、当事者部門はパニック状態で喚いているだけかもしれない。そんなときにどうするか、何をすべきなのか。現地現物とはいうものの「現地にいるだけ」では、法務担当者の存在価値を疑われかねない。現地現物確認と簡単にいうが、それには相応の知識や経験が求められるのであって、この点は企業法務初心者の最初の壁かもしれない。

 本書は帯のコピーや冒頭の著者はしがきにあるように、まだ経験の浅い企業法務担当者や弁護士を対象としたもの。コンプライアンス、契約管理、債権管理、情報管理、労務管理、会社整理、M&Aの全10章。各章ごとに「相談事例」→「7つのポイント」→「留意点」という順で、「有事」に対する解説で構成されている。章立てからいえばもっとページ数が多くなってもおかしくないが、要点がコンパクトにまとまっているせいか、400ページ程度に納まっている。本書1冊で事案のすべてを解決できるわけではないが、「経験の浅い企業法務」担当者が有事の「第一報」を受け付けて「さあ、どうする」という場面の手引きとしては十分な内容ではないかと思う。コンプライアンスや情報管理、労務管理といった章については、中堅~ベテラン担当者も読んで自分の知識や「過去の経験に基づく対応」を見直してもよいかもしれない。

 有事対応のノウハウは場数を踏みながら積んでいく部分が大きいのはたしかだが、その「積み方」というものがある。その基礎なり下地をつくるには本書のような書籍を読み、有事対応のさまざまな段階で読み返していくことも大事ではないかと思う。

企業法務のための初動対応の実務
長瀨 佑志
日本能率協会マネジメントセンター
2019-12-20


 
 
 


 





    このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年01月04日 23:13

 明けきりましておめでとうございます。

 年末年始休暇といっても、30日まで通常勤務、年明けは親会社トップの年頭朝礼に朝一から参加(テレカンだだが)という状況だったので、完全に気を休めているのはほんの数日といってよい。しかしプライベートで何をしたかというほどのこともなく年末ぎりぎりに亡父の墓参と、3日に叔母の墓参(相続等の事情で自分がみている)ぐらい。今年は叔母の二十七回忌というのを確認して、自分の人生の一部が墓守であることを改めて思う。というような按配で新年らしく華やぐ話題がまったくなくて申し訳ない。

 親会社トップの年頭所感。(内容については容赦)
御大の年齢は後期高齢者。普通の勤め人であればとっくの昔に退職し、孫を相手に目を細めている年齢である。にもかかわらず全国すべての拠点をテレビ会議システムでつなぎ30分以上も今年は自社グループにとってどのような年になるのか、だから何を目指して何をするのかなどよどみなく語る。創業者というのは会社がどんなに大規模になろうが上場企業になろうが、自分が初めてもった「店」であり、そして生きている限り「店主」なのだなと改めて思う。創業者がいつまでもトップの座にいることの是非をめぐる論議はあるだろうが、サラリーマン双六であがった社長が到底太刀打ちできるものではないことは否定できない。サラリーマンとは別の生きものと思うほかない。西原理恵子の何かの漫画に「商いは止まらない列車」というような台詞があったが、まさにそのとおりである。コーポレートなんちゃらといった言葉が、一瞬ではあるがか細くひ弱いものに感じられてしまう時間であった。(職務上それはまずいか)

 自分は年頭所感といったものがあまり好きではなく飄々と生きていたいのだが、職務ではそういうわけにもいかず年度の方針・目標を立てなければならない。昨年春から就いたディフェンスラインの業務については、従前の仕事のやり方をある程度尊重しつつ次の段階を目指さざるをえないと考えている。そのために自身含む数名いるメンバーが(年齢上の問題はあるにせよ)必要な能力を身につけ発揮できるようにしたいし、即座にOKが出るとは思えないが業務の機械化導入は検討したいと考えている。夏のオリンピック前後の景況を悲観的なもの(自分が属する業界の話だが)と仮置きするとどう考えても間接部門の省人化・多能工化は避けて通れないだろう。しんどい時期が続くと腹をくくるしかない。
 後継の育成という課題も抱えているのだが、これについては追々考え悩むことになるだろう。

 この場(ブログ)をどのように続けていくかというのは、これこそ緩く軽く続けることができればいいと思っている。でも、ふと思い立って姿を変えることはあるかもしれない。

 そんなわけで本年もよろしくお願いいたします。 


    このエントリーをはてなブックマークに追加
プロフィール

msut

QRコード
QRコード
アクセスカウンター

    • ライブドアブログ