企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


320 & 319

 決算月の関係で定時株主総会を終わらせました。といっても、一人株主・完全子会社であります。
 親会社の立場にとっては完全子会社の株主総会にいちいち全部関わっていられないし、完全子会社の立場からいえば日々ガラス張な環境に置かれているし、日程調整困難を理由に委任状を寄越されるだけ。ということで、会社法第320条と同第319条1項の出番となるわけです。お互い手間を省こうということで、心の底から便利でありがたい条項だと思っています。

 が、しかしなあという思いもどこかにあります。

 以前の企業グループに属していたときは完全子会社とはいえど委任状を総務か経理部門の若手社員に持たせて株主席に座らせ、ときの社長(議長)が事業報告書を読み上げ、決議事項の議案を読み上げ承認を前述の平社員に諮り、彼も「意義なし」という…定時株主総会を開催していました。茶番というなかれ、親会社から派遣された取締役(親会社の役付取締役)や監査役はちゃんと出席していましたから、相応の意義はあったと思います。事務方(つまり自分)も事業報告書の要約(読み上げ原稿)を作成するほか当日の段取りなど社長に説明していましたし、親会社からの派遣役員への挨拶などなど、まあそこそこの緊張感はあったわけです。「体裁だけ整えた儀式」といわれてしまえばそれまでですが。

 取締役会や株主総会の事務方を務めて10年余、取締役でもないのに「その場」にいる年数は取締役の誰よりも長くなってしまいました。現在のボードメンバーはかつての「儀式」としての株主総会ですら知りません。株主総会議長が事業報告を行うということも夢にも思っていないかもしれません。

 それでいいのかな?

 グループ会社の成り立ちや子会社・子会社取締役の位置付けにもよるのかもしれません。上場親会社の取締役になるにはいったん子会社社長なり取締役を経験してからというルールがある場合に、子会社の株主総会がいつも決議省略だったら株主総会の機会に株主に事業報告や将来計画を説明するということも、株主からきつい質問が飛ぶことも知らないままということになりはしないか。そんなことを思います。
 総会の事務方を務める総務や法務担当者も同様ですよね。実際、自分もコーポレートガバナンス・コード周りの諸々に対する感度は鈍りっぱなしです。

 使われない能力は廃れていく一方だし使わない(あるいは必要とされない)能力は身につかない。

 総会が終わったというのに、少し苦い気持ちを抱いています。
 


置換されざる者



 やっと休みに入りました。諸々片付けなければならないものが多く頭を悩ましております。
 
 AIとロボットネタには事欠かない昨今ではありますが、流行りといわれる時期が過ぎ本当に定着していくのはいつなのだろうと思います。
 30年以上もサラリーマンをやっているとビジネスツールの変遷を何回も味わっています。今の若い世代が入社時から当然のように使っている、あるいは「時代遅れだね」と評価しているツールですら存在しなかったわけですからね。
 今も昔も新しいツールを導入する際の謳い文句は「省力化」「省人化」による「本来業務の効率化」「成果の最大化」。自分がまだ販売部門にいた90年代後半から営業支援ツールとして見積書作成システムや図面作成ツールなどを導入し「営業事務」の時間を短縮し顧客接点の時間最大化を図る!」なんてことを何回も繰り返しているのですが果たしてその通りになったのか??(ツールの設計の良し悪しが影響しているのだろうけど)あるいはそれで省力・省人化が進み人員の再配置に繋がったか、単純に測れるものではないけれども総額人件費の課題が解消したかといえば??
 新ビジネスツールも最初の導入目的(目指す結果)次第で、同じツールを使っている企業間でも成果の格差が生じるので、諸手をあげて騒いでいるだけではね。

 ところで。 

 本当にAIやロボットがヒトに置き換わるのか、ということもさることながら、AIやロボットに置き換えられる、あるいは置き換えられないヒトの仕事とは何だろうということをふと思いますね。
 製造現場の熟練職人の「匠の技」をデジタル情報に置き換えるという事例は既にありますね。これはヒトから仕事を奪うということでないのはいうまでもありませんよね。次代に残すべき情報をヒトでないものに伝承できるようになったということですが、いまある業務のすべてをAIやロボットに置き換えるとは限りません。
 どうやっても置き換えらないという仕事であればよいのですがその逆、「置き換えるほどのものではない」という業務もあるかもしれません。「それぐらいヒトがやってよ」というお仕事。

 なんとかテックの導入は「置換されざる者」の二極分化を生むのではないかという不安とおそれってありませんかね。


民法改正 いよいよ各論(業務)へ

 連休、いい天気でスタートですね。
 今日のような日になぜPCに向かっているかといえば、連休でもなんでもない、いつもと変わらぬ週末だからです。年間休日数って大事ですよね。

 久々の民法改正ネタですが役立つ情報を発信できるわけでもないので、まあ備忘録というかメモというか。

 近々事業団体の消費者関連の分科会で短時間ながら民法改正について説明する場を設けられました。「いいすよ」と返答はしたもののどうしたものかと。企業ごとに民法改正対応を進めているのでは?という時期でしょうから間の抜けた話もできません。

 製造事業者と消費者との接点で考えると、まず「定形約款」を取り上げないわけにはいかないかと諸々の書籍等を読み直しています。 
 団体の加盟企業はBtoBtoC事業の形がほとんど。現状、売買や請負で直接消費者と契約関係を結ぶことはありません。数次の流通か請負を経て製品が引き渡されたのちのアフターサービスやクレームの段階になったときに消費者と相対することになります。そこでまず焦点になるのが「保証書」。製品に同梱している「お買い求めの日からn年以内はなんとか」「以下の場合は保証範囲外とさせていただきます」などと細かな文字で書かれているあれです。
 保証書の体裁、内容が「定形約款」に該当するかどうか。ちょっと消費者目線で考えてみようかと。

 次は長年慣れ親しんだ「瑕疵」から「契約内容不適合」の問題。
クレームの多い業界なのですが、「契約の内容」を問われることになるとそもそも誰と誰の間の契約内容で争うことになるのか。「数次にわたる流通・請負」を介しての取引が当然の業界。「契約内容」をどの段階の関係者でも当事者として把握しているかというと口ごもらざるを得ないのが現実。しかし、ひとたびクレームともなれば、ほぼ製造事業者(の顧客相談窓口部門)にしわ寄せがきます。しわ寄せされる部門から「契約の内容」を問うてみるというのもありか、と。前述の「保証書」の内容も含めてのことになるかもしれませんが。

 ああ、それにしても天気が良い。皆さま、よい休日を。



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