企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


いまさらですがビジネス法務2017年12月号(2)

 前回、タイトルにうっかり(1)と付けてあるから(2)を上げておかないとまずいよね、と思っているうちに、2018年1月号が発売されてしまいどうしようもなく間抜けなエントリになってしまいました。

 特集1「社内規定の立案・改定 条文作成の技法」
 最小人数体制法務で手が回らなくっている仕事のひとつに、会社規則の改定作業があります。
規則の全部を法務が作成するわけではありませんが、法改正だけでなく組織改正に伴う主管部署や責任者の所属変更などが頻繁に行われるともう追いつかない。
 十数年前の分社の際に当時の親会社の規則から移植したもの、上場準備に合わせて急ごしらえしたもの、今の親会社の規則と整合させたもの、まあなんと短期間にいろいろな背景を持つ規則が混在することやら。親会社の監査室からは「少し規則が多いんじゃないか。規則間の矛盾はないだろうね?」と心配される始末。
 規則の構造、書式、フォント、規則改定の決裁手続き等はほぼほぼ整備しているので、あとは実務を進めるのみなのですが。
 自分が抱えている社内規定の問題は、条文作成の技術云々ではないことを改めて認識させてくれた特集でありました。
 
 「自動運転社会の法制度設計(上)」
「やっちゃえなんとか」と自動運転車のCMが流れる時代に6速マニュアルで小排気量車を走らせています。自動運転の何が楽しいのだろうと今は思っていますが、いつまで自分で運転することができるのでしょうか。そんな気分で座談会記事を読み進めているのですが…
 勤務先では営業担当者全員が営業車を乗り回しているのですが、毎月のように数件自動車事故が発生しています。加害事故と被害事故が半々というところでしょうか。自家用車はともかく、会社の営業車両などはできるものなら即刻自動運転車にしたいと思いますね。とはいえ自動運転車だからといって完全に無事故になるわけではないし、公用車である以上事故や故障がある場合の会社の責任、車両メーカーの責任、あるいはソフトウェア会社の責任、そして保険というものがどのようなものになっていくのか。この点は公用車を抱えている企業法務はちゃんとウォッチする必要がありますね。

ということですでに発売されている2018年1月号を読まねばなりません。

ではでは。
 



  

彼の名は? 相談役・顧問 ビジネス法務2017年12月号(1)

 ビジ法2017年12月号から。
 特集2「 相談役・顧問制度の見直し」

 勤務先はCG報告書開示制度に直接対応しなければならない企業ではありませんが、完全子会社の身からするとまるで無関係ともいえず、雑感をメモ。

 勤務先が上場企業のノンコア事業部→分社:上場企業完全子会社→売却:投資ファンド傘下→上場企業完全子会社 という変遷を辿っているなかで、相談役・顧問という立場についた人物を何人も見かけてきました。創業者でもなくサラリーマン社長が相談役に就くということになんとなく違和感を抱きつつ、まあ大企業というのはそういうものだと思っていましたが、会社の姿が変わっていくにつれて顧問という肩書や、顧問ではないけれどもなんだろうな?という立場の人間が入れ替わり立ち替わりということが増えました。親会社出身、取引先の紹介、金融機関等との関係、理由はともあれ、気がつくとデスクがありそして年配の方が座っている。誰、あの人? 今度来た顧問らしいよ、という按配。そしてまた気がつくといなくなっているという。
 登記に関わることではないので関心が低いということではありませんが、何をもって相談役とするのか顧問とするのか厳密に確認したことはありません。親会社から「彼と顧問契約を結んで」といわれれば、「承知致しました」としかいえませんしね。相談役・顧問の数だけ事情があるというところでしょうか。
 
 それはともかく今回の開示制度について。
 顧問については、経営トップではなく取締役から顧問に就くパターンと冒頭にように諸事情により外から入ってくる顧問というパターン、まだ会社によっては他のパターンがあるかもしれません。これらの「顧問」は今回の開示対象の範囲外ですから、開示情報からだけでは個社の相談役・顧問制度のすべてが可視化されるとはいえませんね。
 そもそも個社の事情の塊のような制度、同じセクターの企業情報を並べ相談役・顧問制度の項目を見て何を評価するというのでしょうか。報酬や任期といったわかりやすい項目だけが一人歩き、週刊なんとか経済のネタになるだけ、なんてことにならないとよいのですが。
  

法務担当者は渉外担当者に転身できるか 2

 えー、不定期・連載エントリーです。
 自分のキャリア整理のような面があり若い法務担当者の参考になるのかわかりません。

 20年ほど前、まだ自分が営業担当者の頃ですが、一時期プロジェクト的に「官需市場」を担当したことがあります。といっても大掛かりなものでなく当時の部門長の判断で立ち上げたもので、補助金行政によって潤う市場を取り込もうにしても、関連法や制度をしっかり理解している、理解しようとする人間がいないことには話にならないということで、官需営業の表とそうでない部分に通じているベテランと、若手の中では官需営業の「いろは」の「い」から「ろ」ぐらいの理解はあるだろうということで自分とが組まされました。この仕事は営業ではなくて経営や事業企画部門の仕事じゃないのかと思ったのですが、「情報とりも営業の仕事だ」のなんのとそんな理由。ともあれ営業として受注高ノルマを抱えつつ、霞ヶ関や県庁界隈をうろうろする日々を過ごしたのでした。

 役所を回るといっても、何の実績もない企業の担当者が「こんち、これまた」で役所の担当官と話ができるわけはありません。ベテランが築いてきた「伝手」を頼るにしても予備知識なしでは、さすがに舐められる。何から始めるか。公共事業として金が動く以上「予算」の理解からだろうと、そこから始めたのでした。
 こんな作業でした。
  1. 霞が関の官庁の資料館や図書館を回る。
  2. 予算案や関連する書類を探して閲覧する。
  3. コピー可能な資料はコピーする。
  4. 販売されている資料は購入する。
  5. 資料を読み込んで、訪問する部署や確認事項を整理する。
  6. 所管や関連部署を訪ねて面談する。
 単年度の予算資料を読んでもわからないものです。何に基づいて予算付けがされているのか、予算資料だけでなく、基本計画やマスタープラン、議会資料といった文献を遡って読んでいるうちに、次第に資料で使われている語句(いわゆる役所言葉も含む)、「官」なりの思惑とそのための理屈が分かってきます。3年分くらい予算資料を読むとある事業について、線が繋がるという感じでしょうか。
(もっとも、これは20年前の話です。上記の1から4は、デスクに座ったまま官庁・自治体のホームページを一巡するだけで大体のものは得られるでしょう。まったく便利な時代になったものです。)

 役所を回るといっても、すべてアポイントを取ってからというものばかりではありませんし、時間をもらったといっても1時間ももらえるわけではありません。短い時間でどれだけのことを聞けるか、あるいは本当に聞きたいことを1つに絞るというのも重要で、その点はベテランの上司に教え込まれました。
「いいか、決め台詞は『教えてください』。民間企業の人間から教えてくださいといわれて断わる役所の人間はいないぞ。」 本当かいなと思いながら時間を作ってはぐるぐると役所を回っていたのでした。

 本来の営業の仕事かどうかは別にして数多の文献を読み込み分析、要約し、次の行動を何パターンか考える、という経験が多少なりとも現在の企業法務の仕事に役立っているかもしれません。「官」の思惑や理屈を読む、という癖がついたのもプラスかなとも思っています。
 
 では、そんな過去の営業経験といくばくかの法務経験をもって、官庁相手の渉外業務につけるかというとどうか。もちろん、それで十分だという方がいても異論はありませんが、もっていたほうが良い経験として業界団体の活動があります。
 上記の官需営業経験を通じて得たものはありますが、結局は自分の営業数字のためだけのものです。自分が渉外という仕事を目の当たりにしたのは、販売から事業企画部門に異動してからのことですが、それについてはまた不定期に。

 参考にならないかなあ、やっぱり。
   
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