企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


正しい会社の売られ方 売却までの道のりを想像してみる1

たまには売主の立場にたって考えてみますか。可能な限りですが。

創業から数年の間は稼ぎ頭でもあった事業部門だが、既に過去の栄光。
原材料あるいは完成品、反完成品の取引関係もない。
分社してみたものの利益率は毎年じりじりと下がり、直近決算は最終赤字の見込み。
海外株主・アナリストからはいつまであの事業を抱えているのか、IRのたびにあの事業さえなければ株価はもっとあがるのに、と突っ込まれるのは勘弁してほしい。
今更ヒトもカネをかけてテコ入れする理由が乏しい。そもそもコア事業部門でもないところに人材は割くわけにはいかない。
グループ総本山企業からは子会社の統廃合の号令がかかっているし、さてどうするか。
思い切って撤退し潰すか?いやいやグループ連結2000人(国内のみ)もの従業員を整理するのは困難を極める。
よく見ればトップシェア製品はないもののシェア5位までには入る製品はいくつかある。
全国ネットの系列販売網を揃えているのは同業他社にもあまりみかけない。
異業種の本社が経営しているよりは、どうだろう、同業他社に買収してもらったほうが彼らも幸福になるのではなかろうか。

あくまで想像です。こんなノリで会社売却が決定していたらたまりませんね。
ただ事業戦略上ノンコアと位置づけた以上、その事業(会社)に対して新たな投資をすることに理解を示す投資家はいなかったと思います。
また売却決定前の決算期は赤字でしたが、これが黒字だったら売却はなかったでしょうか。
残念ながらそうは思えません。下線を引いたように、グループ総本山企業は当時から子会社統廃合が課題となっていました。その企業の最近のスピーディーな経営判断をみていると、あの年に売却されていなくても、その後数年のうちには売却あるいは撤退となっていたと個人的には思っています。

さて売却の打診ですが、経営不振企業の売却の道のりは困難を伴います。
勤務先の場合じりじりと業績悪化を辿っていましたが、借入債務に苦しんでいたかというと違いました。
企業グループ内のキャッシュマネジメントにより、直接金融機関から借入をせずとも資金調達ができたため、借入債務はゼロ、担保権を設定された会社資産もありませんでした。親会社(売主)にとって債権者との交渉が不要というのは
プラス要因であったと思います。

ただ担保設定のない資産しかない、というのが後の最終的な売却スキームに大きく左右したと思われます。

相変わらず散文的かつ昨年のエントリと重複する部分もあり申し訳ないのですが、本日はこれにて。

正しい会社の売られ方  改めて考えてみる

  「おめでとうございます。」
昨年初夏のある日、証券会社や印刷会社、投資アナリストからの電話が続きました。
といっても株式上場を果たしたわけではありません。
勤務先の二度目の株式譲渡が買主、売主の両方から発表されたからです。

「おめでとう?」 正直なところぴんと来ませんでした。
投資ファンド傘下になって5年、丸ごと上場企業へのバイアウトが成功したということは、対象会社にとって成功の部類だと証券会社の人間から説明されたのですが、
祝辞のあとに「出口戦略としてはまずまずじゃないですか」という科白を続ける人が多かったからかもしれません。

「出口?」
出口戦略、投資ファンド傘下にいる間、経済紙記者や調査会社の調査員からよく問いかけられた言葉です。
対象会社に出口戦略を問われても困る。会社が潰れるか、解散させられるか事業転換でもしない限り、主要事業は続けていくのだから、我々に「出口」などというものはない、それは株主(投資ファンド)のための言葉だと何回も切り返したものです。

それでも上場会社へのバイアウトというのは出口ではないにせよ、ひとつの区切りではあるかもしれない、そのように思おうとはしたのです。が、それでも釈然としない気持が残ります。
なぜか。

それは最初の株式譲渡の際に勤務先が背負ったものが重く、二度目の株式譲渡においてもそれが一気に解消したわけではなく(例をあげれば金融機関からの借入金などですが)まるで顎の骨に埋もれた知歯が疼く、痛むというような存在になっていることを知っていたからかもしれません。

なので最初の株式譲渡、二度目が出口なら入口とでもいうのでしょうか、起点からもう一度考えてみようかと思うのです。
起点..最初の売り方売られ方はこれしかなかったのかということです。

では今日はこれにて。




リコール 一番長かった6月 18

だらだらと3ヶ月もかけてしまいましたが、一区切りつけます。

消費者行政や法制度などについては今後も取上げていくつもりなので今回はふれません。本稿を書くきっかけとなったBLJ7月号「クライシス・マネジメント基礎講座」の記事を読み直しながら、今思うことをぼそぼそと。

■平時の人材、有事の人材
前述の記事で「危機対応の基本的な考え方」で郷原弁護士が「世の中への説明はフォーメーション視点で考える」としてサッカーのフォーメーションに例えて危機対応体制について書かれています。
これに異論はありませんが、品質保証、法務、広報セクションでフォーメーションを組んでいくにしても、所属や立場(職位)だけでは対応しきれないと思います。なんというか、平時向きの人材と、有事向きの人材とでもいいましょうか。一連の対応のなかでみるみるうちに心身が弱っていった方をみていますので、「品質部門の責任者だから」「広報担当者だから」といった理由だけで対応チームの、特に社外と接するパートに配置するのは避けるべきと思います。
適切ないい方ではありませんが「揉め事に出張るのに抵抗がない」という人を対外窓口に選ぶことでしょうね。ただそういう人だけでは当然チームが成り立ちませんから、データ収集や分析を得意とする人やOB社員など過去の経緯をよく知る人などで裏方を充実させることも大切。行政や業界団体とある程度腹をわって付き合える人もチームに加えます。
ただ、短時間でこのようなチームを組めるのは滅多にできないだろうとも思います。有事に強い人材を育成、確保しておけるかどうかが企業の真の実力なのかもしれません。

■業界団体、同業他社との緩やかな繋がり
CSR、法務といったセクションの人間を充てるわけにはいきませんが、メール1本、電話1本で情報交換できる関係を築いておきたいものです。今回もそうでしたが、多数の最終製品メーカーが同一部品を採用していることが往々にしてあるので、どこか1社で重大事故が発生すると、最終的に業界全体で対応することになります。今回のケースでは、広報担当者同士が繋がりをもっていたので、記者会見準備は短時間で足並みを揃えることができました。

■所管官庁や消費者行政機関との接点
定期的に官庁の担当官や消費者行政機関に「相談」を持ち込み、行政サイドの判断基準を確認しておくことも必要かと。行政も世間の評価を気にして、事故や苦情、クレームの措置の基準を動かすことがありますので。また日頃相談をもちかけておくことで担当官が案外親身になって動いてくれるときもあります。

今現在実行できていることとそうでないことがあります。近道はなくこつこつと積み上げていくしかないと思います。また繰り返しになりますが、多少煩がられても、しつこく社内に働きかけていくのが経験者が果たすべき役割なのでしょう。

5年前の6月からの約3ヶ月間は本当に毎日がめまぐるしく動きました。
秋に入りようやく落ち着き、さてにわか法務としてはちゃんと勉強しなければならないなと思っていたところ、次の事件となりました。

次の事件とは「正しい会社の売られ方」の一連の出来事です(笑)

本稿はこれで終わりです。だらだらとした連載にもかかわらず読んで頂いた方に御礼申し上げます。
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