企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


正しい会社の売られ方 9の3

商号変更に伴い、諸々手続が必要になりますが、そのひとつに許認可に関するものがあります。
とはいっても、ほとんどの許認可は商号変更した旨を「すみやかに」「遅滞なく」届出することで手続は完了するものと思いますが...
ここに書くからには、そう簡単にいかなかったということで。
許認可関係の業務は従来法務ではなく総務部門で担当していたのですが、当時担当者が病気でダウンしていて、しかも他の総務担当者は何もわからないという気が遠くなるような状況でした。

では事例を。
実は「商号変更」と「子会社2社の吸収合併」を同日に行うことになってしまったのですね。

勤務先はメーカー、子会社は販売会社なのですが双方業務上建設業許可が必要なので、勤務先が特定建設工事業、子会社2社は一般建設工事業、どちらも内装仕上工事、管工事業の登録をしていました。(建設工事業に関係ない方、ごめんなさい、わかりにくいですよね)
吸収合併した場合、違う工事業であれば特定工事業、一般工事業のどちらも登録できるのですが
同じ工事業の場合は存続会社の持つ工事業での登録になります。今回の事例だと特定工事業で登録することになります。特定と一般では当然要件が異なります。
当社があたふたとしたのは、工事業を営むために必要な資格者の確認をしたときで、まあ最後は事無きをえたのですが、途中冷や汗をかいた瞬間がありました。(みっともなくていえない)
組織再編の際は、事業上必要な許認可とその要件(資格者や財務状況)の事前確認が重要であることを痛感しました。

これとは別に商号変更に伴い県、市町村ごとの水処理関係の工事業者届出の再提出も必要だったのですが、市町村単位の工事業者で吸収合併だの商号変更というような事例が少ないのかもしれませんが、そりゃ無理だろうというルールの地域がありました。びっくりした例としては4月1日付吸収合併・商号変更なのに、もうその日に変更後の登記簿謄本を提出しなさいというものです。
無理なものは無理ですが、工事業登録を中断するわけにはいきません。登記を委任した司法書士に頼んで変更登記申請データ(法務局の受付が確認できるもの)を送ってもらい登記簿謄本が上がり次第差し替えるということで了解してもらいました。

一連の手続を独りで対応するのはさすがに無理でしたので、建設業許認可を手掛けている行政書士事務所を紹介してもらい業務を委託しました。事務的ミスにより工事業登録が途切れた場合、営業に重大な影響がでますので、それだけは避けなければなりませんでしたし。
このときは、まだ20代の行政書士が担当してくれたのですが、北から南まで自治体担当者や当社の地方営業所と毎日連絡を取って頂いて本当に助かりました。

もうひとつ、許認可手続きで手間取った例があるのですが、それはまた次回。

正しい会社の売られ方 9の2

商号、商標変更の続きです。

社名やロゴの変更を経験した方はおわかりになると思うのですが、使用状況を確認してみると商号、商標をあらゆる場所、モノに使用していることに気がつかされます。
「商品のロゴ」「カタログ」「事業所の看板」などというのは序の口
細かなものまで挙げてみると以下のようなもの。(順不同)

・「封筒各種」「見積書」「納品書」「請求書」「社内便箋(なんてものがあった)」
・商品ごとの「取扱説明書」「保証書」「梱包材」
・ショールーム内外装、展示品の「POP」、販促用のノベルティ
・「ユニフォーム」「ヘルメット」「帽子」
・工場内の作業車、消防車
・「営業車」
・「工場ライン内の標語、ポスター」
・「ドメイン」「WEBサイト」
・販売店様の看板   
・社員証、社員バッチ             などなど。

(これを読んでいる皆さんも試しに勤務先で確認してみてください)

自社の都合による商号、商標変更であれば多少、旧商号や商標が残っても特に問題はないのですが、元親会社との「商標使用許諾契約書」により、グループロゴ使用の全面禁止が規定された以上
使用期限をなんとしても守らなければなりません。
社外折衝が必要なケース(「販売店様の看板」掛け替え交渉、OEM供給元メーカーとの商号、商標切り替え依頼)については、担当部門は本当に苦労していました。

商号変更を果たした年の社内表彰制度で、撤収に関わったメンバー(主に販促部門)が評価されたのは当然の結果といえるでしょう。
40年以上あちこちで使用していた商標を1年ほどで跡かたもなくしてしまったのですから。

僕はブランド変更の方には関わったのは「ドメイン」関連のみで、むしろ商号変更による「許認可」手続の方に時間をとられていました。

これについてはまた次回以降。

正しい会社の売られ方9の1

商号変更について何回かに分けて。

企業グループから離れるにあたって、親会社から義務付けられた事項のうち、大がかりな作業を伴ったのは商号・商標、ブランド変更でした。

株式譲渡と同時に親会社(元、といったほうが正しいのですが)と改めて締結した「ブランド再使用許諾契約書」には、現行商号・商標・ブランドロゴの使用猶予期間(1年3カ月!)から、契約違反条項、ペナルティ(金額まで明記されている)、旧ブランドを付した製品の在庫管理、例外事項、報告義務等細かく規定されていました。契約書に規定された以外の措置を求める場合は、親会社とさらにその上のグループ総本山企業のブランド戦略部門の承諾が必要とされました。

徹底した規定は、当時他資本への売却という形でグループから離脱する子会社の例がなかったためと思います。
置かれた立場を別にすれば、隙のない契約書で、以後ブランド管理の参考例にしたのはいうまでもありません。

猶予期間が長くないものですから、すぐに実務に着手しなければなりません。
新商号やブランドロゴの策定などは新しいものを創り出す作業ですから、まだ楽しみがあります。

契約上の義務が重く、かつ実務上できついのは現行ブランドの撤収でした。
40年以上も使っていた企業ブランドの痕跡を一切残してはならないのです。
「厳しすぎるのではないか」という社内の声も多かったのも事実ですが、どうにかなるものではありません。
まず、ブランド使用状況の確認から始めました。(続く)
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