企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


正しい会社の売られ方 9の5

それにしても..の続きですがやっぱり抑え目に書きます。

 平時においても、ブランド投資というものは効果が読みにくいものです。100億円かけたとしてもブランド認知率が上がったり、企業好感度が上昇するとは限りません。3年間ブランド投資を続ければよいというものでも、コンサルやデザイン会社に委託して格好のいいロゴマークを作ればよいというものでもありません。商品や役務は当然として例えば受付や電話の応対といった日常業務の隅々までの品質向上のための投資も必要と思っています。
企業ブランドイメージの高い企業は、「効果の読みにくい投資」を継続的に(半ば恒久的に)行っているし、またそれだけの体力があるということです。

 勤務先の場合、経営的に残念な状況だから売却されるにもかかわらず、効果の読みにくいブランド投資を否応なしに行わざるをえないところが財務的に響きました。売却された年度に続き、ブランド変更に関わる費用が発生した年度の決算も非常に厳しいものになりました。(すべてがブランド変更費用ではありませんが)
今更の話になってしまいますが投資ファンドではなく事業会社への売却であれば、買主側のブランドに組み込まれるのですから、旧ブランドの撤収費用は負担するにしても、新ブランドへの投資全額を負担することはなかったかもしれません。事業会社が買主にならなかった事情があるかもしれませんが、勤務先には厳しい選択でした。

 僕のいる業界は消費者(ユーザー)だけでなく中間ユーザーである流通会社や建設会社も採用するメーカーのブランドを重視するところがあります。顧客離れ⇒さらなる苦境というリスクもあったわけです。
同業者からも心配された(!)ほどの短期間でのブランド変更(加えて企業グループからの離脱)、果たして売主そして買主がどの程度対象会社の事業リスクを想定していたのか...リスクはこれだけではないのですが、可能であれば話を訊きたい点です。

 実際は危惧されていたような顧客離れはそれほど起こりませんでした。顧客や取引先との接点を持っている営業マン達が奮闘してくれたのと、何よりも彼らが日頃から顧客の信頼を得ていたのだと思います。
 格好いいブランドマークも必要かもしれませんが、企業は人なり、最後は社員の力がブランドだよ、ときれいにまとめて(?)「9」を終わらせます。

正しい会社の売られ方 9の4

商号やブランド変更に関するあれこれを続けていますが、もう少しお付き合い願います。

前回に続き、許認可、認定などについて。今回は直接作業に関わったわけではないのですが実例として。

省庁やその外郭機関の認定を受けて製造・販売する製品があります。書類上の認定だけでなく製品本体に商号と認定番号を表示しなければならない..と法律に定められている製品でした。

商号変更の場合、「商号変更後」に認定申請を行い改めて認定番号を発行してもらうのですが、許認可製品の見本のような仕組みで、複数の機関の審査を経由して認定が下りるまで3カ月程度かかるのです。商号変更後、というのがポイントです。したがって普通なら商号変更する場合は旧商号での認定製品で継続販売して、新商号での認定が下りたら切り替えるなどの対応をとることが考えられます。しかし、勤務先の場合、元親会社との「ブランド再使用許諾契約」によって、商号変更を行った日以降の商号・ブランドの継続使用が禁じられています。元親会社との契約と認定制度のとおりだと、3ヶ月間その製品は製造も販売もできないことになってしまう、さあ、どうする...というのが実は商号変更の最大の難関でした。

実際は事業担当者が時間をかけて認定機関や業界団体と協議を重ねて、しかるべく手続を経て商号変更と同時に認定番号を取得するようにしました。半年近く交渉に時間をかけたと思います。

商号変更そのものは会社法上の手続では株主総会決議事項であるものの変更登記そのものに手間がかかるものではないと思っています。(特に非上場企業の場合)
ただ商品・役務によっては行政の許認可や認定制度が企業の商号変更手続についてあまり考慮されていないものがあるようです。
商号変更を行う場合は、事業部門担当者に商品・役務に係る許認可や認定の制度を確認するのが不可欠ですね。

それにしても..というのは次回。

正しい会社の売られ方 9の3

商号変更に伴い、諸々手続が必要になりますが、そのひとつに許認可に関するものがあります。
とはいっても、ほとんどの許認可は商号変更した旨を「すみやかに」「遅滞なく」届出することで手続は完了するものと思いますが...
ここに書くからには、そう簡単にいかなかったということで。
許認可関係の業務は従来法務ではなく総務部門で担当していたのですが、当時担当者が病気でダウンしていて、しかも他の総務担当者は何もわからないという気が遠くなるような状況でした。

では事例を。
実は「商号変更」と「子会社2社の吸収合併」を同日に行うことになってしまったのですね。

勤務先はメーカー、子会社は販売会社なのですが双方業務上建設業許可が必要なので、勤務先が特定建設工事業、子会社2社は一般建設工事業、どちらも内装仕上工事、管工事業の登録をしていました。(建設工事業に関係ない方、ごめんなさい、わかりにくいですよね)
吸収合併した場合、違う工事業であれば特定工事業、一般工事業のどちらも登録できるのですが
同じ工事業の場合は存続会社の持つ工事業での登録になります。今回の事例だと特定工事業で登録することになります。特定と一般では当然要件が異なります。
当社があたふたとしたのは、工事業を営むために必要な資格者の確認をしたときで、まあ最後は事無きをえたのですが、途中冷や汗をかいた瞬間がありました。(みっともなくていえない)
組織再編の際は、事業上必要な許認可とその要件(資格者や財務状況)の事前確認が重要であることを痛感しました。

これとは別に商号変更に伴い県、市町村ごとの水処理関係の工事業者届出の再提出も必要だったのですが、市町村単位の工事業者で吸収合併だの商号変更というような事例が少ないのかもしれませんが、そりゃ無理だろうというルールの地域がありました。びっくりした例としては4月1日付吸収合併・商号変更なのに、もうその日に変更後の登記簿謄本を提出しなさいというものです。
無理なものは無理ですが、工事業登録を中断するわけにはいきません。登記を委任した司法書士に頼んで変更登記申請データ(法務局の受付が確認できるもの)を送ってもらい登記簿謄本が上がり次第差し替えるということで了解してもらいました。

一連の手続を独りで対応するのはさすがに無理でしたので、建設業許認可を手掛けている行政書士事務所を紹介してもらい業務を委託しました。事務的ミスにより工事業登録が途切れた場合、営業に重大な影響がでますので、それだけは避けなければなりませんでしたし。
このときは、まだ20代の行政書士が担当してくれたのですが、北から南まで自治体担当者や当社の地方営業所と毎日連絡を取って頂いて本当に助かりました。

もうひとつ、許認可手続きで手間取った例があるのですが、それはまた次回。
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