企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


正しい会社の売られ方 9の2

商号、商標変更の続きです。

社名やロゴの変更を経験した方はおわかりになると思うのですが、使用状況を確認してみると商号、商標をあらゆる場所、モノに使用していることに気がつかされます。
「商品のロゴ」「カタログ」「事業所の看板」などというのは序の口
細かなものまで挙げてみると以下のようなもの。(順不同)

・「封筒各種」「見積書」「納品書」「請求書」「社内便箋(なんてものがあった)」
・商品ごとの「取扱説明書」「保証書」「梱包材」
・ショールーム内外装、展示品の「POP」、販促用のノベルティ
・「ユニフォーム」「ヘルメット」「帽子」
・工場内の作業車、消防車
・「営業車」
・「工場ライン内の標語、ポスター」
・「ドメイン」「WEBサイト」
・販売店様の看板   
・社員証、社員バッチ             などなど。

(これを読んでいる皆さんも試しに勤務先で確認してみてください)

自社の都合による商号、商標変更であれば多少、旧商号や商標が残っても特に問題はないのですが、元親会社との「商標使用許諾契約書」により、グループロゴ使用の全面禁止が規定された以上
使用期限をなんとしても守らなければなりません。
社外折衝が必要なケース(「販売店様の看板」掛け替え交渉、OEM供給元メーカーとの商号、商標切り替え依頼)については、担当部門は本当に苦労していました。

商号変更を果たした年の社内表彰制度で、撤収に関わったメンバー(主に販促部門)が評価されたのは当然の結果といえるでしょう。
40年以上あちこちで使用していた商標を1年ほどで跡かたもなくしてしまったのですから。

僕はブランド変更の方には関わったのは「ドメイン」関連のみで、むしろ商号変更による「許認可」手続の方に時間をとられていました。

これについてはまた次回以降。

正しい会社の売られ方9の1

商号変更について何回かに分けて。

企業グループから離れるにあたって、親会社から義務付けられた事項のうち、大がかりな作業を伴ったのは商号・商標、ブランド変更でした。

株式譲渡と同時に親会社(元、といったほうが正しいのですが)と改めて締結した「ブランド再使用許諾契約書」には、現行商号・商標・ブランドロゴの使用猶予期間(1年3カ月!)から、契約違反条項、ペナルティ(金額まで明記されている)、旧ブランドを付した製品の在庫管理、例外事項、報告義務等細かく規定されていました。契約書に規定された以外の措置を求める場合は、親会社とさらにその上のグループ総本山企業のブランド戦略部門の承諾が必要とされました。

徹底した規定は、当時他資本への売却という形でグループから離脱する子会社の例がなかったためと思います。
置かれた立場を別にすれば、隙のない契約書で、以後ブランド管理の参考例にしたのはいうまでもありません。

猶予期間が長くないものですから、すぐに実務に着手しなければなりません。
新商号やブランドロゴの策定などは新しいものを創り出す作業ですから、まだ楽しみがあります。

契約上の義務が重く、かつ実務上できついのは現行ブランドの撤収でした。
40年以上も使っていた企業ブランドの痕跡を一切残してはならないのです。
「厳しすぎるのではないか」という社内の声も多かったのも事実ですが、どうにかなるものではありません。
まず、ブランド使用状況の確認から始めました。(続く)

正しい会社の売られ方8

書き散らした観が否めないので、少し整理します。
ここまでの流れは以下のとおり。

1.10月   
  親会社が勤務先を投資ファンドへの売却方針を発表
2.11月
  デューデリジェンス実施
3.12月   
  親会社・投資ファンド・投資ファンド設立のSPC間で株式譲渡契約
  (企業グループから離脱)
4.翌年1月 
  株式譲渡(親会社⇒SPC)
5.同年3月
  勤務先がSPCを吸収合併  第1クロージング
  この段階での持株比率   
  投資ファンド約85%超、元親会社15%未満 

親会社にしてみれば半年の間に経営不振の子会社を整理することなく売却できたのだから、万々歳だったと思います。会社を潰すとなれば、費用、時間ともにかかりますが買い受けてくれる会社があれば、金になります。あとは買受先が投資ファンドであろうとメーカーであろうと高値で買い受けるほうを選べばよいわけです(こんな単純な理由ばかりではないでしょうけれど)

勤務先は株式譲渡の対象会社の立場にあるので、値付けについて関与することができません。せいぜいデューデリジェンスの際に経営不振に陥った実態を説明する程度です。それだってどのように査定されるかはわかりません。
今回は予め買受先が投資ファンドであることがわかっていましたから、いずれやってくる「出口」を考えれば、あまり高く買ってくれるな、というのが僕個人の正直な希望でした。ええ、ほんとに。

ちなみに冒頭4.の株式譲渡の時期は2008年1月です。
リーマンショックはこの年の秋の出来事です...
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