企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常


正しい会社の売られ方 2

法務とはあまり関係ありませんが、まあ背景として。

会社(または事業部門)が売却されるには、当然相応の理由があります。
次の場合に該当する場合は、まず間違いなく売却検討の俎上にあると考えていいでしょう。
 (1)会社、企業グループの戦略上ノンコア事業に位置付けられた
 (2)会社、企業グループとの取引上シナジー効果がない
 (3)不振事業

で、勤務先の場合、当時見事に3つに該当していたのです。
証券アナリストによる親会社のレポートには必ず「●部門をいつまでグループ内におくのか」
と勤務先が連結グループ内にあることがネガティブ要因であると書かれていました。
正直読むのが辛かったですね。
しかし、親会社はグローバル企業でしたから、特に海外の投資家から社長やIR担当にはもっと容赦のない質問が投げかけられていたことだろうと、今の自分なら想像できます。

でも、こちら側は「子会社とはいえ元は親会社の事業部門*1で、同じ釜の飯をくっていた仲間」「売上規模は決して小さくない」などと経営陣に限らず、ほとんどの従業員はそう思っていました。親会社はいつまでも「親」のような存在、「資本の出し手」とは思っていなかったのです。
まさか突然「資本の理屈」を持ち出してくるとは!そんな感じでした。完全に見誤りです。

では、何の予兆もなかったかというと、実はそうではないのです。
たとえば
当時人事や経理部門の人員は親会社からの出向者が占めていました。
その中でも本社風を吹かさず、実直に業務を行う優秀な若手スタッフから順に親会社に戻って行きました。
当時自分はまだ営業部門にいましたが「おかしいなー、なんかあるなー」と思っていました。
あとで親会社から転属してきた役員にきくと売り払う会社に親会社側の将来ある若手スタッフ*2を置いておく理由はなかったから、ということでした。
なんと正直でわかりやすい..

この文章を読んだ方が、上記のような状況におかれていないことをお祈りいたします。


*1:2001年の商法改正施行にあわせて事業部門を分社されました。
 まあ、このあたりから伏線があったというか。
*2:当然全員が戻ったわけではありません。自分のように元々事業部門に
 所属していて転籍した人間は思い切ることもできますが、親会社に出向
 復帰できずこちらに残されてしまったスタッフには少しばかり同情します。

正しい「会社の売られ方」1

「君たちの会社は、当社連結経営から外れてもらいます。今後は別の資本の下で事業を行ってもらいます」

2007年の秋のある日。
親会社の社長が重要な話があるので、と当社取締役や幹部の一部を会社の会議室に集めました。
「あまり時間がないので20分ほどで説明します」と前置きしたあと、本当に簡潔に用件を伝えていただきました。
その瞬間ほとんどの取締役、幹部はあっけにとられた表情をしていました。

法務に異動して10カ月目。これが僕の法務マン人生迷走の本格的スタートの瞬間。
企業買収だとか事業譲渡とか組織再編など会社法務関係の本では読んでいましたよ。ただ、すぐにそのような事態が自分の身にふりかかるとは思っていませんでした。
しかも「売却される立場」で。                            (不定期に続く)
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