2014年08月14日 18:00

「しんがり」を駆って出られるか

 時期としては今更感漂うネタですが、「しんがり 山一證券最後の12人」をようやく読了しました。
2ヶ月くらい前に購入はしていたのですが(昨秋出版の書籍だというのに)、どうも読む気力が沸かなくて積んでおいたのでした。
「企業の終焉」というものを考えてみる、いやそれが勤務先がそうなるとは考えたくないことですが、「メメント・モリ」という言葉もありますので、まあ読んでおこうと。

 関心があったのは、「殿軍」をどういうメンバーが務めたのかということでした。
冒頭、登場人物(殿軍)の12名の名前とセクションが紹介されているのですが、非エリート、場末と呼ばれる業務監査部門が中心メンバー。破綻の原因が原因ですし、その真相解明に監査部門が中心となるのは当然としても、法務部門の人間はひとりもいませんでした。経営責任を明らかにしようとする監査部門に対して、取締役、取締役会側の立場に身を置く、ということだったのでしょうか。といって対抗勢力として登場することもありませんでした。あれほどの事件において法務担当はどのような役割を果たしていたのでしょう?? 僕としてはそこが知りたかったのですが。

 事件、不祥事が原因でなくても、企業がその終焉を迎えることはあるわけで。
消滅していく企業の法務や財務の人間はどのような心持ちで身を置くのか、また社外からどのような眼で見られるのでしょうね。
 「ぐずぐずしていないで、さっさと転職活動を!」というのは、若い社員には当てはまりますが、管理部門のそれも管理職がそれで済むものでしょうか。済まされないだろうなというのが僕の感覚。
 「勤務先が傾きつつあるとき、あなたは何をしていたのですか?」「なぜ前の勤務先は潰れたのですか」と問われ、若い営業担当が「さあ、僕もよくわからないんですよ」と答えてもそれで済むかもしれませんが、法務部門を預かり取締役会の事務局まで担当していた人間が「よくわかりません」と答えるわけにはいかないでしょう。それにはやはり終焉の場に立ち会っていなければ答えられません。
また、さっさと逃げた法務責任者が果たして他所で信頼を得られるでしょうか。

 本来本軍を安全な場所まで逃がすための「殿軍」、企業の終焉のときは何を守るのか、割にあわない仕事であることに間違いありません。それでも駆ってでて務めざるをえないだろうなあと思ったのでした。

 そんな日が来ないことを祈ってはいますが。


    このエントリーをはてなブックマークに追加

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
プロフィール

msut

QRコード
QRコード
アクセスカウンター

    • ライブドアブログ