2012年02月03日 01:38

正しい会社の売られ方 5の1

「金の切れ目が縁の切れ目」

 独立資本の企業や気鋭のベンチャー企業で働く方には「だから大企業は甘いんだよ」といわれそうですが、企業グループからの分離の過程について書いていきます。

企業グループから切り離すということで、親会社が分科会を設けて解決すべき課題を通告してきました。
ざっというとこんな課題でした。これらの結論は株式譲渡契約のなかにも規定されました。

①不動産の整理
②知的財産権の譲渡
③商号変更
④手形割引サービスの終了
⑤共同購買システムの利用期間の制限
⑥情報システム(IT基盤)の分離
⑦親会社労働組合組織からの労組独立と組合の名称変更
⑧健康保健組合、年金基金からの退会
⑨親会社従業員持株会からの退会
⑩団体保険の取り扱い変更

 当社の売却を発表したあと、親会社の社長はことあるごとに「同じ釜の飯をくった仲間を支援してもらいたい」と社内ではいっていたようですが、実際資本関係が切れるのですから支援といっても限界があります。実務現場では「さっさと縁を切りたいのだな」としか解釈できないような言いようが目立ちました。資本関係が切れるのだから即刻諸々縁を切るところ、それでは大変だろうから猶予期間を設けてあげますということでしたが、それでもほとんどの項目が最長で3年を目途に解消することを求められていました。福利厚生にかかわる⑧⑨⑩のように従業員個人の生活に影響を及ぼす事項もありましたから、従業員から当然とまどい、不平不満の声があがりました。

 経営不振が理由で切り離されることになったのに、③や⑥のように億単位の費用が発生する項目もあり、ますます当社の経営を圧迫するではないか、と腹がたったこともありました
 親会社の法務部長から、「できることは協力するから話をあげてこい」といわれたことだけが唯一の救いでした。(この項、続く)


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