2013年06月24日 22:37

正しい会社の売られ方 売れればよいのか4

 売主にとっての手離れの悪さ、とは何かということについて。
なによりもクロージング時期が当初計画から遅れるということではないかと。

たとえば
1. 株式譲渡契約の変更をせざるをえない。(クロージング時期の延期)
2. 人的関係が計画どおりに切れない。
3. 対象会社のITシステムなどの情報、会計などのインフラ整備に時間がかかりシステムを分離できない。
4. 対象会社の厚生年金や健保などの福利厚生制度の移行が予定通りに進まない 
等など。

この場では1と2について勤務先の事例に触れておきます。

1.について
売却スキーム作成時には予期しなかった外部経済環境の激変が生じる場合があります。
勤務先の場合は、2008年のリーマンショックの影響をもろに受けました。それでなくとも経営基盤が弱くなっていたときでしたからひとたまりもありません。株式譲渡契約上のクロージング時期の延長を売主に要請せざるをえませんでした。
なぜなら、勤務先の株式は2段階で譲渡される契約だったのですが、1段階目はSPCが取得(その後SPCの吸収合併により勤務先の自己株式に)でしたが2段階目は勤務先が自己株式として取得するスキームになっていたからです。
当初の株式譲渡契約の期限延長ですから、売主の譲渡契約変更承認と引き換えに売主による抵当権や質権の設定を受け容れざるをえませんでした。しかし抵当権、質権の設定については金融機関が設定した抵当権との調整もあり、売主の法務部がそのスキームづくりのために時間を費やすはめになりました。

続いて2.です。
1.のような状況でしたから、さすがに売主も支援が必要と考えたのでしょう。
こちらからの従業員出向受入他の人件費軽減などの支援策をとりました。
これも本来なら売主がとる必要のない施策でした。

リーマンショックは想定外だったにせよ、売主としては手離れの悪い事案でした。
経営不振の会社や事業を売却する場合は、何より対象会社(事業)に体力がないわけですから、売主都合だけの売却スキームでは却ってクロージングまでの手間がかかるかもしれません。
ちなみに勤務先の事例でいえば、株式譲渡が完了するまで当初の株式譲渡契約で定めた期日から2年以上の時間を必要としました。株式譲渡の遅れ(対価の支払いの遅れ)が売主の経営に影響を与えることがなかったからよかったものの、としかいいようがありません。

では今回はこれにて。(なんかしまりがない、すみません)


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