「人材」の続き、です。(続きになっているのか?ですが)

 この連載の初期の頃に会社が売られる前兆として、本社(親会社)からの出向組で「できるな」という人間の引き上げがあるというようなことを書きましたが、これはいつわりなく実話です。それに関わった人物に直接ききました。

「手放す会社に本社の貴重な人材を置いておく必要はない」
 なんとも豪速球な意見でした。

 通常完全子会社は親会社の管理下におかれ、一定規模を超える設備投資や重要な契約締結、資産の取得処分などすべて親会社の決裁が必要とされます。これはこれで当然のことなのですが、「親会社の決裁がなければ何もできない」が転じて「親会社の決裁を得ればよい」「親会社の決裁さえ通れば」と事業計画や資金計画などが「決裁ありき」の視点でつくられていく傾向が否めません。これは次第に子会社内の決裁にも波及していきます。
 (もっとも親会社が本当に厳しい査定をする企業であればこんなことはないでしょうけれど)

 僕は自戒をこめつつ密かに「子会社根性」と呼んでいるのですが、これが社員に染み付いてしまうと売却→独立企業として存続するのは非常に厳しいと思います。

 業界再編が進行し売却型M&Aが増えていくのであれば、子会社はいつ何時、売却などの事態が生じても慌てずにすむような体制や人材を育成しておくのが必要ではないでしょうか。面従腹背ということではないのですが、親子会社の関係がドライなものになっていく以上、子会社側は覚悟していなければならないかと。

 ここ数年の出来事で子会社だから、非上場会社だからと通常独立企業や上場企業が行っている実務は関係ない、必要ないと呑気にかまえている時代ではないのだと痛感させられました。

 本当にいくら後悔しても間に合わないのですよ。