つづきです

【潮目】

 BLJ7月号の特集「クライシス・マネジメント」の中で郷原弁護士が行政当局の動きについて言及されています。
今回取上げているリコール実施は2007年ですが、このときがどういう時期だったかというと...

 2000年代半ばというのは製品事故や企業コンプライアンスの事例で必ず挙がるP工業の湯沸器不正な修理方法での死亡事故、M電器産業のFF式(室内設置型)石油温風器の製品欠陥、シュレッダーでの指切断事故が立て続けに発生し、製品事故とその企業対応が何かと問題になった時期です。製造業の監督官庁としての経産省、特に製品安全に関連する部署は非常に追い込まれていた時期ではないかと推察します。

 このような状況に対する経産省の打ち手がまず2006年12月の消費生活用品安全法(「消安法」)改正(2007年5月施行)です。

 改正のポイントは重大な製品事故(火災、人身事故)が発生した場合の製造事業者、輸入事業者に対して主務大臣への報告義務を課したのと、主務大臣による公表制度を設けたことです。これは重大な製品事故をすみやかに開示して周知することで事故の続発を防ぐという点で理にかなったものと思いますが、これは経産省が企業のためだけの役所ではなく、《ユーザーのための役所、ユーザーの安全のために尽力する役所》に軸足を移し始めたことを表明した法改正だと思います。(もちろん正論ですよ)一方で当時この舵の切り方を性急に感じたのも正直なところです。
経産省のなかは業種別に所管部門がありますが、こと製品重大事故に関しては製品安全課が仕切る形になりました。製品事故は必ず報告させる、毎週火・金曜日に製品事故(製造者・製品名・事故の内容)はプレスリリースする、これは見事に徹底されました。

 改正消安法施行日は2007年5月14日でした。
この直後に、本リコールを実施せざるをえない事件が起こったのです。