つづきです

【急転】

「リコールさせる」「業界をあげて改修率100%を実現させる」「TVCMも実施させる」
正確かどうかもう自信がありませんが、時の主務大臣が国会において、野党からの質問にこのような主旨の答弁をした時点で、業界全体の運命は決まりました。

 おりもおり、ある機器メーカー製品(自主改修中)で火災事故が発生してしまったのですが、そのときのメーカー側の対応に不満をもった関係者が、某党機関紙に投書。そこでこの製品事故(当時はまだ「使用者側の不注意・誤使用)の状況が知れました。ちょうど国会の時期にあたったため、格好の与党の攻撃ネタになったのでしょう。監督官庁である経産省の事務次官、そして大臣に矛先が向かったのです。つまり20年近くも自主改修などといっているが、類似の事故の件数からいえば製品欠陥ではないか、監督官庁としての責任をどう考えているのか...このような論調で追及されたわけです。

 改正消安法を施行させたばかりの経産省は、「製品安全」「消費者保護」の立場から業界になたをふるうよりありません。なんといってもメーカーの失態により大臣に答弁させてしまったのですから、所管部門の課長(キャリア)の怒りはただ事ではありません。
 「過去に溯って製品欠陥を認めよ」「リコールを実施しろ」「これまでの改修の進捗の遅いメーカーはリコールCMをうて」
最終製品メーカー側も機器メーカー側もそれぞれ言い分はあるにしろ、もはや経産省の命令に従うよりありませんでした。

 そして、「改修の進捗の遅いメーカー」の1社が勤務先だったのです。非常に重い課題を負わされました。(まだこの時点(5月末)ではリコールCMの実施はなんとか避けようとしていましたが)

 とはいえ即日リコールというわけではありません。
国会答弁にまでなったこの案件については、最終的に経産省が記者発表したのち、同日メーカー団体がリコール実施、記者会見実施というフローとなりました。
 経産省が発表する以上、対象製品の総出荷台数、改修済台数とその結果としての進捗率、事故があった場合はその件数を正確なものにしなければなりません。そこで5月末時点で最終製品メーカー、機器メーカーとも数値の洗い出しにかかりました。またリコールを行う主体についてメーカー間での協議が開始されました。

 リコール会見が終わり、経産省の所管と落ち着いて話せるようになった頃、「あの大臣答弁がなければね、厳しい指導はするにしても、ここまで騒ぎ立てることはなかった。あそこ(国会)までいったら、悪いけど君らを叩かざるをえない」とぽつりといわれました。
 
 行政の面子をつぶしたらまずい、ということはあるのです(教訓)
                                                                    つづく