【記者会見1】

 紆余曲折はあったものの、協議会での共同リコール記者会見に一本化され記者会見の準備に入るのですが、当時は危機の際の記者会見といえば某証券会社廃業会見の際に泣き出してしまった社長の姿や社長の「寝ていないんだ」という声を拾われてしまい、ぼろぼろになっていった乳業メーカーの記者会見のイメージがまだ強く残っていた時期です。従来「使用者の誤使用が原因」と主張してきたものを方向転換して「製品設計上の配慮不足」を認める、しかも重大人身事故が発生していた..という内容は、こういう言い方は適切ではないかもしれませんが、下手をすれば記者の格好の標的となってしまいます。
 しかし一方でニュースなり新聞記事で適切な形で取り上げてもらえないと、リコール会見の本来の目的である情報周知と回収・改修の促進が進みません。いかに過剰な反応を起こさせないでこちらの意図を確実に電波なり活字にしてもらうか、記者会見原稿と想定問答の作り込みと何より会見そのものの運営、会見する人間の表現力にかかっていました。

 会見の構成は、「製品改修取組の加速化」と銘打ち、新たに協議会を発足させること、協議会加盟会社による改修促進体制を再整備したこと、過去の事故は製品に起因することを認め謝罪するというもので、そのなかで勤務先の過去の重大人身事故(消防署に確認中のものではない、1件目の事故)について個別説明を行う形にしました。

 当事者である勤務先の社長がその説明を行うのですが、いわば会見のヤマ場になる部分、ここで火がついたらあとは炎上するだけというパートなので、原稿の練り込みだけでなくメディアトレーニングも急遽受けてもらいました。
 スーツ、シャツ、ネクタイの色柄、腕時計その他身につけるものに関する注意から始まり、会見のロールプレイング、会見中の仕草などすべて厳しくダメだしをされました。(あとできいたら社長は急遽スーツを仕立てたとのこと)
 どう考えても記者会見当日の記者の質問よりも親会社の法務部長や広報部長をはじめとする我々の質問のほうが辛辣でしたが、それがかえってよかったのだと思います。

 会見前日の深夜まで協議会で記者会見原稿の確認や会見の段取りを確認しました。いくらやっても十分ということはないかもしれませんが、僕は皆で1ヶ月さんざん苦しんで準備してきたのだから悪いようにはならないだろうと変な自信をもっていました。(自分が持ったところで仕方がないのですが)

 さてリンクは当時記者会見の準備を行うにあたって急いで読んだ本です。5年前の本ですが、危機管理広報の本質がかわっているわけではありませんので、関心のある方は平時のうちに読むことをお勧めします。

 次回も記者会見のつづきです


その「記者会見」間違ってます!―「危機管理広報」の実際その「記者会見」間違ってます!―「危機管理広報」の実際
(2007/02)
中島 茂

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