【リコール会見】

その後の諸々です。
一番多かったのは「求償」です。

過去に遡って製造物責任を認め、賠償請求がある場合は案件ごとに対応する、と公表しましたので続々と求償に関する問い合わせがアフターサービス部門に寄せられました。
これは承知のうえなのですが、様々なケースがありました。

一般的なのは事故被害額と支払われた保険金の差額の請求です。(製品事故とは「火災」です)
しっかりと書類を示してくれる方から、根拠のわからない請求まで含めてくる方までいろいろ。
たとえば
事故の巻き添えで死んだペットの見舞金●十万円(えさ代含む)などというのには困りましたね
ペットは猫だったのですが、血統書つきの猫かと思えば拾った野良猫。だからといって見舞金ゼロというわけにもいきませんが、なぜえさ代まで?と社内打合せはで皆いっせいに脱力しました。説得にあたったアフター部門担当者も頭を悩ませていました。

本当の意味で悩ましかったのは、被害者本人でなくある種の「市民」を間に入れて交渉してくる方。「市民」はきまって某政党機関紙との繋がりを匂わせながらコンタクトをとってきます。その繋がりが本当かどうかはわかりません。しかし、今回のリコールが某機関紙を発端でしたので注意は必要でした。

関わった例としては、損害保険の差額支払いのほかに、被害者本人の名誉回復に尽力せよというもの。
火災事故の火元として実名入りで報道され住んでいた賃貸マンションから引っ越さざるを得なかった。近隣の住民に対してメーカーから説明にまわれという要求でした。損害保険の支払いについてはよくよく調査すると貸主である不動産会社と保険会社との間に不可解な状況があったので、これは損保会社同士の交渉に一任。名誉回復についても、そもそも名誉棄損があったのかよくわからない。ご本人や周囲に確認しても、的をえない..というような状況で。アフター部門から可能な限り近隣の方には説明に回ったのですが、近隣の方はあまり気にしていなかったようでした。そこまですると前述の「市民」の方も納得したようで、以後何のコンタクトもなくなりました。

求償に対する支払のほとんどは会社で加入している製造物責任保険でカバーできましたが、この保険の対象範囲は当該製造販売中止後20年後まで、でした。リコールした時点で19年目でしたから、その翌々年以降何かあった場合は「自腹」となります。製品に瑕疵がある可能性があったら、すぐ手を打たなければならない..とこういう点でも痛感しました。

ともあれ、6月からのリコール対応は秋風が吹く頃には通常のアフター業務で粛々と対応する段階に落ち着いたのでした。

あれから5年経ちましたが、まだリコールは終了していません。
回収率・改修率はともに95%を超えていますが、それでもたまに事故発生の速報が入ります。
一方で社内で当時の事を知る人が少なくなってきています。
何らかの形でこういう事例を語り継いでいかなねばならないと改めて感じます。

次回でこの項を終わらせます。