2012年09月27日 00:46

リコール 一番長かった6月 18

だらだらと3ヶ月もかけてしまいましたが、一区切りつけます。

消費者行政や法制度などについては今後も取上げていくつもりなので今回はふれません。本稿を書くきっかけとなったBLJ7月号「クライシス・マネジメント基礎講座」の記事を読み直しながら、今思うことをぼそぼそと。

■平時の人材、有事の人材
前述の記事で「危機対応の基本的な考え方」で郷原弁護士が「世の中への説明はフォーメーション視点で考える」としてサッカーのフォーメーションに例えて危機対応体制について書かれています。
これに異論はありませんが、品質保証、法務、広報セクションでフォーメーションを組んでいくにしても、所属や立場(職位)だけでは対応しきれないと思います。なんというか、平時向きの人材と、有事向きの人材とでもいいましょうか。一連の対応のなかでみるみるうちに心身が弱っていった方をみていますので、「品質部門の責任者だから」「広報担当者だから」といった理由だけで対応チームの、特に社外と接するパートに配置するのは避けるべきと思います。
適切ないい方ではありませんが「揉め事に出張るのに抵抗がない」という人を対外窓口に選ぶことでしょうね。ただそういう人だけでは当然チームが成り立ちませんから、データ収集や分析を得意とする人やOB社員など過去の経緯をよく知る人などで裏方を充実させることも大切。行政や業界団体とある程度腹をわって付き合える人もチームに加えます。
ただ、短時間でこのようなチームを組めるのは滅多にできないだろうとも思います。有事に強い人材を育成、確保しておけるかどうかが企業の真の実力なのかもしれません。

■業界団体、同業他社との緩やかな繋がり
CSR、法務といったセクションの人間を充てるわけにはいきませんが、メール1本、電話1本で情報交換できる関係を築いておきたいものです。今回もそうでしたが、多数の最終製品メーカーが同一部品を採用していることが往々にしてあるので、どこか1社で重大事故が発生すると、最終的に業界全体で対応することになります。今回のケースでは、広報担当者同士が繋がりをもっていたので、記者会見準備は短時間で足並みを揃えることができました。

■所管官庁や消費者行政機関との接点
定期的に官庁の担当官や消費者行政機関に「相談」を持ち込み、行政サイドの判断基準を確認しておくことも必要かと。行政も世間の評価を気にして、事故や苦情、クレームの措置の基準を動かすことがありますので。また日頃相談をもちかけておくことで担当官が案外親身になって動いてくれるときもあります。

今現在実行できていることとそうでないことがあります。近道はなくこつこつと積み上げていくしかないと思います。また繰り返しになりますが、多少煩がられても、しつこく社内に働きかけていくのが経験者が果たすべき役割なのでしょう。

5年前の6月からの約3ヶ月間は本当に毎日がめまぐるしく動きました。
秋に入りようやく落ち着き、さてにわか法務としてはちゃんと勉強しなければならないなと思っていたところ、次の事件となりました。

次の事件とは「正しい会社の売られ方」の一連の出来事です(笑)

本稿はこれで終わりです。だらだらとした連載にもかかわらず読んで頂いた方に御礼申し上げます。


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