2014年11月15日 15:51

永遠のテーマ 社内向け法律ガイドライン

 少し前にリンクの書籍の刊行に合わせて、SNS上でも話題になった「社内向契約ガイドライン」。
経営会議や社内研修などの場で法律や契約に関する説明や講義を行うことがあるのですが、文章や口頭でもつい使い慣れた?法律用語がぽろりと出てしまう、そんな法務部員のためには格好のアンチョコではないかと思います。勤務先でこの本を社内の各部門に配布して「順番に研修を開催しますから、読んでおくように」 というところまでたどり着くまでまだ時間がかかるというのが実感です。

 企業再編を繰り返した経緯もあり、さまざまな学歴、職歴、年齢で構成されている組織。どこの誰の目線で勉強会資料を作成するか、講義ノートを作るかが常に悩みの種。

「支払いが悪いんで、門こじ開けて担保になるものをとってきちゃまずいすかねえ」
といつまでもヤンチャな営業マン
「このキャラクター可愛くて、私大好きだし、皆さん喜んでくれるんです。どうしてチラシに使っちゃだめなんですかあ?」
という自分の娘のような年齢のショールームスタッフ。

何事も試練です。

 ところで「ガイドライン」を巡りTLが盛り上がっていたので、昔、グループ親会社(今の親会社ではない)がグループ企業の営業担当者に配った法律ハンドブックを久々に手に取ってみました。で、これまであまり斜め読みにしていた「初版あとがき」を改めて読んだのです。そこには初版の編纂責任者である文書課長が、なぜハンドブックを作成したのか、どのような点に留意したのかを記していました。
抜粋してみますと

編纂の目的については
市販の法律書は専門的または一般的に過ぎて自社の営業担当者の要求にあてはまらない。
このような状況で営業担当者に事前対策として法律知識を要求するのは不合理、反省しなければならない。
法律業務を事後でなく事前対策として位置づける。
自社の営業に密着した内容で営業上必要とされる法律知識を提供し、営業担当者の努力の効率よくしなければならない

編纂の際の留意点としては
取り上げる材料は自社営業に密着したものを選び、身近なものと感じられるようにする。
平易にかつ興味をもって読まれるようにする。
法律は堅いもの、難しいものという感じさせないようにする。

とあります。
まったく異論を挟む余地はありません。
「普通じゃないか。当たり前のことをいっているだけじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。

でも、この「初版あとがき」の日付は

【昭和39年4月1日】

今からちょうど50年前、なのです。

半世紀前の企業法務担当者も、今の自分たちと同じように「法律」と「実務」の間にたって悩み考えていた、ということですね。
ただそこから、平成の時代にまで改訂改版を重ねる「ハンドブック」の原形を作り上げたというのは、それだけ法務担当者の悩みと考えが深かったということの裏返し、なのかもしれません。

先達の遺した文書を読み返しながら、「社内向け法律ガイドライン」は企業法務担当者の永遠のテーマなのかと思い、また自分はまだまだ薄っぺらいなと反省した次第です。





 

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