2014年04月

2014年04月25日 06:50

 続きです。

 今回は金融機関との関わりから。
 過去記事と重複する点は予めご容赦ください。

 投資ファンド傘下企業と上場企業子会社になった後での大きな違いは、金融機関との関係でしょう。

 元々との企業グループにいたときは、グループ内金融による資金調達でしたから資金に関して金融機関と係わることはありませんでした。
 投資ファンド傘下の時期は、LBOのスキームのなかでの「借入人」の立場でした。投資ファンドが設立したSPCの借入を承継したもので、何のことはない売買された自社株式の対価を弁済していただけ。将来投資のための資金調達が行えない状況にありました。都合2回のブリッジローン、1回のシンジケートローン契約があったわけですが、借入のほか借換え手数料や抵当権設定の登記費用、契約書のリーガルチェックに要した弁護士費用などすべてこちらが負担していました。また借換えにあたっても、なんだかんだいって1ヶ月以上事務手続きに時間をとられました。
 再び上場企業の子会社となった際、グループ内金融の仕組みは使わないものの親会社の保証のみで何の隘路もなく借換え手続きが済みましたし、何より劇的に変わったものは借入金の「金利」でした。
【こんなに利率が下がるのかと】
 他の事例を知らないので何ともいえませんが、上場企業の子会社のほうが「安心できる貸付先」ということなのでしょうか。そしてLBOスキームではほとんどできなかった本来の意味での「資金調達」も可能になったのです。(もちろん限度はありますが)
二度目の売却で資金調達の不安が除かれたのは大きいですね。
 
一方当然のことではありますが企業としての「独立性」は失います。「カネ」の部分は親会社の与信ありきになるわけですから。「カネ」を中心に段階を踏むにせよ、親会社の諸々のシステムに組み込まれていきます。

買収されるということはそういうことなのです。

つづく


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2014年04月20日 16:47

 
 纏めを急がねば。
「得たもの」「失ったもの」にとりあえず的を絞ります。

「得たもの」というより「失わずにすんだもの」になるのですが、最大のものは「会社」そのものです。
 短期間で二度の売買対象会社となりながら、ほぼほぼ会社の原形をとどめています。信用調査取材にたまに訪れる調査会社の人間にも「稀な例」といわれます。
 僕が「中の人」として、本編を書き残す時間がとれているのもその恩恵といえば恩恵です。

 そもそもの売却スキームの善し悪しは別に触れるとして同業他社への売却ということは、当然会社は消滅しますので、我々従業員の大半も長からず職場を去ることになったと思います。業界が縮小していくさなかでしたから、企業結合は規模でいえば1+1=2ではまったく意味をなさなかったわけですから。

 勤務先にとって厳しい時期に投資ファンドの下に入るというのは、いろいろありましたが「激変緩和」だったのかもしれません。
 また二度目のバイアウトにおいても異業種の傘下に収まるという形で企業として残りました。
勤務先の「企業再生計画」が「成功」と位置づけされても、それを否定する理由はありません。

 ただこのことをもって売却スキームと企業再生計画が「正しかった」のか、というと今もって「?」が付くのです。

 いったん区切ります。


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