企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2014年05月


正しい会社の売られ方 二度の売却を経て6

 「親」会社としての顔、「投資家」としての顔 について

 グループ会社管理について別に書く機会を考えていますが、とりあえず軽く。

 「親」「子」という日本語の持つ意味によるものなのか
親子会社とは便利な言葉ですが罪なような気がします。
言霊とでもいうのでしょうか。
親が子を見放すことがあるだろうか、あるはずがない、最初の売却前は皆そう思っていたに違いありません。
まだ法務に異動する前でしたが僕が「そんなことないよ」といっても、「考えすぎ」と笑われるのがオチでしたからね。

 そんなことがあったわけです。

「売却」するときは見事に「株主(投資家)」の顔でしたからね。これ以上君たちに投資できない、この一言でしたから。
そして、二度目に買収されたときは「投資したのは我々だ」です。
 でも、思うのです。最初から投資家の顔をみせておいてくれたほうが「優しい」のではないかと。

 M&A が珍しくもない時代、既に数多の「親会社」は「投資家」の顔を前面に出していると思います。
それに追いついていない「子会社」のほうが多いのではないかと。
 「子会社」だから受けられる恩恵というものがありますからね(もっともなければ意味がないですが)
 しかし、1人株主100%子会社は、本当に株主の意思ひとつでどうとでもなります。
 本当はぬくぬくとはしていられないのですよ。

 二度あることは三度ある、といわれます。
 正直それは勘弁なのですが、それでも何が起こるかわからないのがビジネス。
 心の片隅で覚悟しておかなければならないのでしょうかね。

 次回ぐらいで(いい加減)このシリーズ、いったん終わりにします。
 


 

 

正しい会社の売られ方 二度の売却を経て5

  ずるずると書き連ねて(書き損じか)いますが。

 企業再生とは誰のためのものか、ということについて。

 勤務先の事例では「対象会社を売り物になるまで仕上げること」だったのかなと。当初の計画や思惑は違ったかもしれませんが、結果としてはそういうことだったわけで。
 最初の売主から斬り飛ばされたときの状況を考えれば、よほどの覚悟や自信がなければ投資などしなかったと思います。
ただ対象会社のほとんどの資産にレバレッジをかけた売却買収スキームは今でも腑に落ちませんし、何度となく繰り返した組織再編も表向きの理由はともかく、財務諸表のボトムラインを仕上げることがまず目的にあったし、株式譲渡契約の履行のためというものもありました。
 IPOについても上場という選択肢があったとは考えられますが、二度目のバイアウトのタイミングを考えれば「赤字企業が上場申請をするところまで仕上がりました」と買主候補にアピールする材料になったのでしょう。
 「企業再生請負人」と看板を掲げていても、投資ファンドは投資家にリターンを出さねばなりませんからね。

 対象会社は企業再生のゴールを「独立」と考えます。出口のところで、投資ファンドとはやはり一致しないものです。

 今になって思うのは企業再生の入口(売却)を対象会社がコントロールできないのは仕方がないにしても、出口については対象会社がコントロールできることがあったのではないかということ。
 勤務先がバイアウトされてしばらくして、勤務先と同様親会社から投資ファンド傘下にされたある企業が経営陣によるMBOを実施した事例をみて、勤務先は独立に向けてここまでの腹を括っていなかったなと嘆息するしかありませんでした。

 「売り物」に仕上がり、買主がつき再び上場企業の子会社となった今、多少なりとも独立企業を目指して作ってきたものは、買主企業グループにとってあまり価値があるものではなく、「一から作り直し」ということではないまでも「親会社仕様」に改められています。(現在進行形です)カネ出して買ったのですから、これも当たり前といえばそうなのですが、では5年かけてなんとか積み上げてきたことは一体何だったのか、下線部だらけの登記簿謄本を眺めながら思うのです。

(もうすぐ終わりにします)

正しい会社の売られ方 二度の売却を経て 4

  取り散らかってきていますが、今回は売却スキームの善し悪し、というか顛末について少し。
 対象会社の経験しかありませんので、よくわからないのですが。

 不振事業部門(子会社も含む)をどうするかということですが、他の事業者に売れればそれにこしたことはありません。
また自社内に置いておくよりも、他の事業者の傘下に入ったほうが、「活きる」部門もあるかもしれません。
 売主にとっては株式の「譲渡価額」が重要なのはいうまでもありませんが、他の事業者に売却部門の未来を託すわけですから、買主候補が提案する買収スキーム(事業再生計画)をどのように評価したのか知りたい、というのが本音です。まあ、今となってはという話ですが。

 買主が対象会社を買収したのちに、買主の「企業再生計画」の前提が崩れる事態が起こることがあります。
勤務先の事例でいうと、「性急な法改正が引き起こした官製不況」と「リーマンショック」でした。前者は株式譲渡があった年度の決算を直撃し金融機関が態度を硬化させました。後者はその影響により買主(投資ファンド)が事業再生計画上ビジネスパートナーとしてあげた企業2社のうち、1社が経営破綻、もう1社もまったくさっぱりという有様になってしまい、買主が用意した事業計画が「使えないもの」になってしまったのです。
たしかに「予期できない状況」だったかもしれません。「不運」といえばそうかもしれません。
状況からいって買主に出資している出資者も理解を示したことでしょう。

 しかし対象会社が「不運」ですまされることはありません。LBOにより金融機関と締結した「金銭消費貸借契約」の条項が重くのしかかってきます。
 結局、大幅な固定費削減を実施し状況を乗り切ったわけですが、その代償は小さくありませんでした。


 売却スキームのツケは対象会社が払う、ということではつらいですね。実際のところ。
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