企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2014年11月


拾い読み BLJ2015年1月号から

 連休だったのだからちゃんと読めよ、と自分に突っ込みつつ。

【Business Law Jounal 2015年1月号】から自分に関係の深いところからぽつぽつと。

1.特集「部門別リスク分布図」
 NOTの森大樹弁護士の「顧客対応部門」の項を。品質・安全性リスクを「顧客対応部門」の一要素にしているのは少々疑問が残るがそれはさておき。
「子ども・高齢者向け製品等におけるリスクの高まり」は常々意識している点。バリアフリーデザインがバリアフリー本来の意味から離れ、「高齢者配慮」と同意義のように捉えられていると感じています。高齢者には配慮したものがかえって子どもにとって危険、というものがないわけではありません。誰にとっても安全な製品・技術開発というのは実際ハードルが高い。しかし幼児の事故は住居内でのものが多く、業務で実例にも接したことがあります。産総研の「キッズデザイン」ほか最新の研究を製品開発に取り込んでいくことが必要ではないかと。

「製造物責任訴訟における「欠陥」の原因・因果関係等の特定との程度の緩和・推認」
製造物責任法については改めて考えたいテーマですが、

企業側としては、事故原因が不明であれば、被害者側による立証は困難であるという見立てで顧客対応の方針を決定すると予想外の判決に直面する可能性がある。

という指摘はその通りだと思います。
製造物責任法とは別に、改正消費生活用製品安全法施行前後の時点で既に「類似の製品事故が頻発すれば、製品に欠陥があるということ」という考え方を示されていました。ひとくちに欠陥といっても、設計上・製造上の欠陥から警告・表示上の欠陥まで含まれますので、製造業、特に消費者が直接手にする、口にする製品を手がける事業者はまさに「全方位でリスク管理」です。

警告・表示となると消費者庁所管となった景表法が気になるのですが新連載の「景表法の道標」の展開に期待。

とりあえず拾い読み、本日はここまで。


  

手帳に関するいくつかの事柄

 なす術もなく、まもなく年末。スケジュール確認のために手帳を繰っていたら来年の月間・週間のリフィルを追加していないことに気づく次第。
 ということで、標題。

 仕事用にシステム手帳を使い始めて10年以上。最初はバイブルサイズでしたが、内勤中心で携帯性の優先順位が下がったのと書き込む内容が増えてきたのとでA5サイズのものに切り換えてはや5年近く。そして、業務以外のためにもう1冊手帳を持ち始めて4年目。
効率やダブルブッキングといった失態を避けるためにも手帳は1冊に纏めておくのがよい、とわかっていながらそれでも2冊目を持ったのは、ここ数年の業務がその理由ではないかと。

 勤務先が投資ファンド傘下にあった2008年から2011年にかけての年末年始は金融機関とのリファイナンスの業務スケジュールでがっちり埋められました。年によっては春先の組織再編スケジュールがそこに加わりましたし、一時期持株会社と事業会社の業務を兼任したこともあり、分厚くなる一方。見方によっては「仕事で充実」した日々だったのかもしれませんが、今見返してみても特に年末年始にかかる部分は当時の殺伐とした空気と苛立つ自分の姿しか蘇りません。たいしたものではないにせよ私生活と仕事とは別の手帳に記録しようと思ったのは自然の流れだったのかもしれません。

 というわけでもう1冊の手帳として「ジブン手帳」という手帳を2011年から継続して使用しています。
 理由はといえば、手帳の製作者と会う機会があったというほぼその1点。
4年前の秋、あるツイ呑み会に参加したところ、「文具好きがこうじて手帳を自主製作しました。よかったら買ってください。」というような自己紹介をされた広告プランナーがいました。それが製作者の佐久間氏でした。
 素人でも小説や句集歌集を自主出版される方は珍しくはありませんが、それはほとんど「自分のため」です。他人が使う手帳を自主製作するとはさすが考えることは違うと驚くばかり。一期一会、これも何かの縁ということでその呑み会のあと発売と同時に購入しました。
 ただ2011年版は業務だけで精一杯、ほとんど活用できず「白紙」に近い状態で終わりました。リベンジの意味で2012年も引き続き購入(この年もまだ自主販売だったはず)。2012年年明けの人間ドックで「でぶ」(実際は違いますが、意味するところはこの二文字)と怒られたのをきっかけに、毎日体重・体脂肪の計測記録を記録するというまったくさえない事情で私的手帳の活用が始まったのでした。(やだね、中年は)

 では完全に仕事と私用が分けられているか、といえばやはりそうはならなくて必須・重要事項はジブン手帳にも書き込むことに。日々脳細胞が消滅していくだけの年齢、2回書けばさすがに忘れないだろうというリスク対策といえばもっともらしいですかね。
 日々の生活に関する多岐にわたる記入項目がある手帳、未だに全ページを埋めたことがないのですが、そのうち埋まるときがくるだろうと勝手に思っています。

 今日はこんなところで。



登記が終わるまでがなんちゃら

 家に帰り着くまでが呑み会、登記が完了するまでが法務の諸々ということについて。

 自分が法務に異動してからというものの、定時株主総会・直後取締役会後の変更登記申請1回で終わった年度はありません。何の自慢にもなりませんが、事実です。
 法務異動直後、引き継ぎらしい引き継ぎもないなかで真っ先に書籍やら何やらをあさったのが会社法と商業登記に関する項目でした。法務の仕事は「うまく回って当たり前」、こけて洒落にならないのは「登記」だろうと勝手に思い込んでいた部分はありますが、それは虫の知らせだったということでしょうか。その後諸々があり(過去記事>正しい会社の売られ方)、自分の法務職としての歩みは繰り返される変更登記とともにあるといっても過言ではありません。

 秋の盛りを過ぎかけ、今年は何もないだろうと油断していたのを天は見過ごしてくれませんでした。ありましたよ、役員異動の変更登記が。(「子会社はつらいよ 7」を参照ください)
「実印」「印鑑証明書」が必要なパターン。しかも時間があまりないというおまけつきで。
事業年度中のこのパターンは6年振り2回目です。
(前回は株式譲渡制限を廃する定款変更に伴う役員任期終了、だったかな)

 役員選任の臨時株主総会は完全子会社なので決議省略で済むのですが、臨時取締役会への取締役・監査役全員出席と取締役会議事録への実印押印と印鑑証明書取り揃えのハードルの高さ。これが定時の総会であれば候補者に対して事前に3回くらいお願いができるのですが、それでも「あ、忘れた」という方は必ずいらっしゃいます。まして全国を飛び回っている取締役(非常勤・親会社の方)をつかまえるのは至難の業。うっかりしていると登記申請期限になってしまいます。
したがって「今回こういう役員人事だから」ときかされたときに頭をぐるぐる回ったのは「役員全員の実印、印鑑証明書を必要としない」手続きをとることでした。
ま、オーバーにいうほどの手法ではないのですが(商業登記規則61条4項)、辞任・就任の日について親会社からおりてきたものとは異なりますので親会社の了解が必要でしたが。

 「毎年、何かしらありますねえ」といつも相談している司法書士の反応はがどこか楽しそうだったのは気のせいでしょうか。
こんな半端な時期の変更登記。申請してから5日で登記簿謄本と印鑑証明書があがっていました。

 

永遠のテーマ 社内向け法律ガイドライン

 少し前にリンクの書籍の刊行に合わせて、SNS上でも話題になった「社内向契約ガイドライン」。
経営会議や社内研修などの場で法律や契約に関する説明や講義を行うことがあるのですが、文章や口頭でもつい使い慣れた?法律用語がぽろりと出てしまう、そんな法務部員のためには格好のアンチョコではないかと思います。勤務先でこの本を社内の各部門に配布して「順番に研修を開催しますから、読んでおくように」 というところまでたどり着くまでまだ時間がかかるというのが実感です。

 企業再編を繰り返した経緯もあり、さまざまな学歴、職歴、年齢で構成されている組織。どこの誰の目線で勉強会資料を作成するか、講義ノートを作るかが常に悩みの種。

「支払いが悪いんで、門こじ開けて担保になるものをとってきちゃまずいすかねえ」
といつまでもヤンチャな営業マン
「このキャラクター可愛くて、私大好きだし、皆さん喜んでくれるんです。どうしてチラシに使っちゃだめなんですかあ?」
という自分の娘のような年齢のショールームスタッフ。

何事も試練です。

 ところで「ガイドライン」を巡りTLが盛り上がっていたので、昔、グループ親会社(今の親会社ではない)がグループ企業の営業担当者に配った法律ハンドブックを久々に手に取ってみました。で、これまであまり斜め読みにしていた「初版あとがき」を改めて読んだのです。そこには初版の編纂責任者である文書課長が、なぜハンドブックを作成したのか、どのような点に留意したのかを記していました。
抜粋してみますと

編纂の目的については
市販の法律書は専門的または一般的に過ぎて自社の営業担当者の要求にあてはまらない。
このような状況で営業担当者に事前対策として法律知識を要求するのは不合理、反省しなければならない。
法律業務を事後でなく事前対策として位置づける。
自社の営業に密着した内容で営業上必要とされる法律知識を提供し、営業担当者の努力の効率よくしなければならない

編纂の際の留意点としては
取り上げる材料は自社営業に密着したものを選び、身近なものと感じられるようにする。
平易にかつ興味をもって読まれるようにする。
法律は堅いもの、難しいものという感じさせないようにする。

とあります。
まったく異論を挟む余地はありません。
「普通じゃないか。当たり前のことをいっているだけじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。

でも、この「初版あとがき」の日付は

【昭和39年4月1日】

今からちょうど50年前、なのです。

半世紀前の企業法務担当者も、今の自分たちと同じように「法律」と「実務」の間にたって悩み考えていた、ということですね。
ただそこから、平成の時代にまで改訂改版を重ねる「ハンドブック」の原形を作り上げたというのは、それだけ法務担当者の悩みと考えが深かったということの裏返し、なのかもしれません。

先達の遺した文書を読み返しながら、「社内向け法律ガイドライン」は企業法務担当者の永遠のテーマなのかと思い、また自分はまだまだ薄っぺらいなと反省した次第です。





 

笛の音は届いたのか 長期使用製品安全点検制度 その2

 前回に続いて「長期使用製品安全点検制度」について。
制度上、所有者の責務とされている所有者情報登録の進捗が進まない理由について。
個人の見解であり勤務先、勤務先が所属する業界団体とは一切関係ないことを念のため。

 制度の対象となっている製品9品目をご覧になるとお判りいただけると思いますが、すべて「住宅」に設置される設備機器です。
 これらの設備機器が製造事業者から所有者(消費者)が手にするまで、数次に渡る流通取引を経ています。製造事業者から住宅建設業者に渡るまでと住宅建設業者の元から所有者(消費者)に住宅を引き渡すまでと、製造事業者が直接所有者(消費者)と接して本制度について説明する機会はないといってよいでしょう。となると本制度の内容と所有者情報登録責務があることを消費者に説明する責務を負うのは、消費者と直接相対する住宅建設業者や住宅を販売する不動産流通業者ということになります。
 
 しかしここで行政のなんとやら。
製造事業者の所管は本制度のもとである経産省ですが、住宅建設業者や不動産流通業者を所管するのは国交省です。建設業者からみれば、許認可や届出、確認申請業務等で接する地方建設局や市町村の建築指導課からの要請なり指示指導ならともかく、日頃ほとんど接点のない経産省が定めた制度のこと。すぐに我が身に関わるものとは理解できなかったのではないでしょうか。制度を作りスタートの笛を吹いたのは経産省ですが、製造事業者や一部の関連業者(ガス事業者など)を除くランナーは経産省所管ではない事業者ばかり。あるいはスタートラインにすらついていなかったというのが実態だったのかもしれません。
 残念ながら縦割り行政の隙間にはまりこんだまま5年が経過してしまった、という感があります。

 とはいえ、製造事業者のなかにはこの制度のために、所有者登録情報の保管やセキュリティ、点検作業員の確保と育成などの投資を進めている企業もあるやにきいています。「うまくいかないですね」では済みません。重大製品事故の防止は製造事業者の重要課題なのです。

 本制度に基づき製造事業者が所有者登録情報をもとに所有者(消費者)に点検時期を通知する時期まではまだ時間があります。ここからどのように巻き返しをはかっていくのか。やや面倒な予感を抱きつつ、行政の出方を注視している11月であります。

 2009年以降、そしての春消費税増税前に住宅やマンションを購入した方、ご自宅に設備機器に「所有者票」というハガキがあったら、製造事業者に返送してくださいね。(何者だ口調ですみません)

 
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