2014年12月

2014年12月30日 23:05

 昨日どうにか御用納め。納まったいう感じが乏しいのですが、そもそも2014年をどう始めたのかというと、もう朧げ。

「公」について。
 もともとこの場で詳細に書けることが少ないのですが、今年は災害やら事故のようなものの対処の業務が多かったという印象。
 代表的なものとしては今年2月の関東地方大雪。勤務先工場一部損壊という事態に見舞われ期末年度末・消費税増税直前の生産・出荷に打撃を受けました。「不可抗力免責」を主張するのは簡単、しかし販売先の怒りにうろたえる営業担当者を前をいかに落ち着かせるか、被災公表の要否など短時間のうちにいろいろと悶着があったなあと。しかしこの期間に業界団体を通じて所管官庁と直に連絡をとる機会を持つことができ、所管による緊急措置にほんの少しは貢献できたかもと勝手に思っています(笑)。当初はぶつぶついわれながらも被災公表に踏み切ったのですが、後日同業者から「あれはいいタイミングだった」と評価されたのもまあよかったかなと。多少の自己満足がなければやっていけませんよ。
 リスク管理体制をそれなりに敷いていながらも、いざ事が起きるとうまく回らないというのは悩ましいことです。仕組みがあってもリスクに臨む人間次第という部分がありますからね。人間はそんなに強くないのはわかっていますが、いつまでも弱さを言い訳にはできないのですがねえ。
 無知や弱さを言い訳にしない、無知や弱さが原因で余計なリスクを負わないようにとようやく社内ガイドブック作成に手をつけたのが秋。業務の合間を縫って作成するので遅々として進まず、というのが反省点。この休暇期間に少しでも前に進みたいところ。
 公の面ではこのぐらいでしょうか。

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2014年12月27日 21:58

 皆さん、無事御用納めされたでしょうか。自分はあと1日あります。
ここにきて左目が角膜炎を起こし、なんともさえない年末を過ごしています。

 それほど話題にならなかったような気がするのですが、今年は製造物責任法公布から丸20年ということでちらほらと書籍が出版されていました。判例の数がまとまってきたのでしょうか、手元にとりあえず置いておこうと入手しました。
 わざわざいうまでもなく「製造物責任法」は6条しかない小さな法律です。しかし製造事業者にとって重くのしかかる法律です。場外不良発生、製品事故発生ゼロは常に目標においていますが、残念ながらそうならないのが現実です。幸い勤務先ではまだ裁判で争う事案にはまだ遭遇していませんが、判例の動向は確認しておきたい事項です。

 今年出版されたもので購入したのは「逐条講義 製造物責任法(土庫澄子著 勁草書房)と「製造物責任 判例ハンドブック(羽成守・青木荘太郎編 青林書院) 」。
 前者は元消費者庁消費者安全課課長補佐が書かれたもの、後者は弁護士の共著です。各条の解説と判例で構成している点で共通していますが、立ち位置は異なります。前者は行政の立場から、どちらかといえば事業者を対象に本法の「現在」の姿を説明したもの、後者は事業者よりも弁護士、消費者関連団体を対象にしているように感じました。複数の視点による同法や判例解説を同時期に比較しながら読めるというのはいいですね。現時点での自分の関心事は「指示・警告の欠陥」ですので、さっそく該当箇所を読みました。

 この20年のあいだに行政が軸足を消費者保護に移したことを経験している身からすれば、判例動向を知ると同時にそこから先の「行政の動向」を視ること、さらにその行政が気にしている「(マスメディアが作る)世論」をも意識しておく必要があると思っています。判例のほかにメディアの反応も併せて取り上げたものがあればよいのですが、そうすると本法の現在の姿を描くという趣旨とは離れてしまうのかもしれませんね。

 また本法関連の書籍は、品質保証部門や製品開発部門の人間にも目を通してもらいたいのですが、書店ではどうしても法律関連のコーナーに並べられてしまいます。技術、工学のコーナーにもさりげなく並べてもらえないだろうかとも思いました。

 ともあれ今年は改めて製造物責任法を捉え直す年だったのだなと。(暮れになっていうな)








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2014年12月20日 22:22

 カレンダーを眺めていて、法務担当(法務部ではない)に異動して丸8年が経過することに気づきました。
 生粋の法務畑出身でないこともあり当初は「にわか法務」とかまえていたのですが、さすがにもう「にわか」ともいえませんが、基礎体力のなさもあり一向に中身が伴わないのでこれはどうしたものか。
 自分の法務職の履歴は、会社の変遷とほぼ重なります。整理もかねて、主だった登記履歴を記してみます。(定時株主総会後や期中にたまにあった役員変更登記は除きます)

・法務2年目
 (株式譲渡制限廃止) ⇒このため期中での取締役・監査役辞任と再選任
 (監査役会設置)   ⇒公開会社になったため
 (公告方法変更)   ⇒官報から某日刊紙に
 (吸収合併)     ⇒投資ファンド設立のSPCを吸収合併

・法務3年目
 (減資)
 (種類株式発行)   ⇒このへんはもう何がなんだか。
 (増資)
 (吸収合併)     ⇒子会社2社を吸収合併
 (商号変更)     ⇒「正しい会社の売られ方」

・法務5年目
 (持株会社設立)   ⇒定款作成から手がけた。
             プレスリリースの日(これも自分が書き投函した)東日本大震災。     (株主名簿管理人)  ⇒「持株会社での上場を目指す」ことになっていたので。
 (種類株式廃止)   ⇒自己株式で取得。

・法務6年目
 (株式譲渡制限)   ⇒上場企業に買収されたので。
 (株主名簿管理人廃止)⇒上場の必要性がなくなったので。
 (決算期変更)    ⇒親会社方針
 (会計監査人変更)  ⇒親会社が変わったので。

・法務7年目
 (吸収合併)     ⇒事業会社に持株会社を吸収合併。
             持株会社、短命に終わる。

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2014年12月19日 07:00


 不定期シリーズです。

 あらためて上場企業の完全子会社になったことの利点、といえば、あくまで自分個人の感慨ですが【資金調達】に関して苦労することがなくなったことを一番に挙げざるを得ません。
投資ファンド傘下時代の金融機関とのリファイナンスの際の契約条件、金利、フィーに四苦八苦していた頃を思うと比較のしようもありません。
 そうであっても金融機関から借入をする以上、彼らの視線・目線というものを感じていないとねえ、というのが今回の話。

 業績に関する会議や報告会において子会社が親会社から提出を求められる経営指標数値というものがあります。
子会社は、その数値の達成に邁進するわけですが、指標そのものはあくまで親会社の都合で把握したい数値に過ぎません。ただ親子会社が同業種であり、その指標をもって金融機関が親子双方の企業を査定できるのであれば問題はないと思います。
 しかし異業種間親子会社の場合、金融機関が子会社の業種を「査定」する際の指標が、親会社が子会社に対して要求する指標と異なるケースがあると考えられます。融資にあたっては親会社の保証があるといっても、借主はあくまで子会社なのですから業種別の査定項目に沿ってひととおりチェックするはずです。親会社と金融機関とで相反する指標があるとは考えにくいのですが、金融機関が自社の業種をどう視るのかを子会社は把握しておかなければならないと思います。
 とはいっても、金融マンと日々それほど接触があるわけでなし、仮に知己がいたとしても現役の金融マンが手の内を簡単に明かしてくれるわけもありません。
 しからば、、、大型書店の金融コーナーにいくと、融資先査定に関する書籍がけっこう並んでいます。銀行業務はよくはわかりませんが、書籍があるということは一定の需要あるのでしょう。
市販書籍を読むだけで金融マンと同じ感度を持てるわけではありませんが、「査定する側の視点」をある程度知ることはできます。敵を測るとでもいうのでしょうか(敵、ではないけれど)

 そんな必要あるの?だいたい法務がそこまで気にするのか?といわれるかもしれません。
 親子会社の縁をぶっつり切られ、資金で苦労したことがある側とすれば、取り越し苦労であってもいろいろと備えておかないというのが心のどこかに残っているのです。
 それに融資契約やその付随契約のチェック(まあ、ほとんど金融機関のいうことには勝てませんが)が財務部門から回ってきても先方の理屈を知らないと読みようがないですからね。

 本日はこんなところで。なんとなく消化不良気味なエントリーですが。






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2014年12月14日 11:51

 今回は【法務系Advent Calendar2014】参加エントリーです。
 高レベルを維持しているこの企画、自分も少しは気張ったものが書けるといいのですが。まあ、今日は討ち入りの日でもあるし。

【流通・取引慣行ガイドラインの見直しに関する提言】が今回のお題です。無謀にも。

 秋の深まる先月だったか、勤務先の品質保証部の人間から「耳に入れておいたほうがいいと思って」とメールと電話。彼はある事業者団体の下部組織である某製品事故関連協議会の出席メンバー。定例会に出席していた所管の人間が席上された発言を伝えてきたのでした。未だアナログ色の濃い業界ですが、Web通販サイトなどによる流通・販売業者も増えてきましたが、同時に消費者とのトラブルもちらほらと増えてきているようで、所管の発言は指示命令といったものではないものの何らかの反応を期待してのもののようでした。。 その協議会の事務局とは旧知の間柄なので、念のため「どういうニュアンスだった?」と確認を入れました。
そして
「これ、壁があるよね。」
「この壁は事業者側だけではなんともできないね。」
という会話を交わす事に。
 何が壁かといえば「流通・取引慣行ガイドライン(以下「ガイドライン」)」です。

 このガイドラインについて、経済団体はじめ各団体が見直しに関する提言を公表しています。
例によって目立つところを「拾い読み」していると、まず経団連が今年5月に政策提言「流通・取引慣行ガイドラインの見直し」を公表。そのなかで「選択的流通」について要件を明確にして認めるようにとの意見があります。また、直近でも11月下旬に経済同友会が公表した「産業構造に合った競争政策の実現を〜流通・取引慣行ガイドラインの見直しに関する提言」のなかでも選択的流通について原則として適法とし、具体例を示すべきと提言しています。
経団連の提言は「選択的流通」は事業者一方の利益ではなく、消費者の利益にも通じると強い主張があるように感じました。それにしてもここまで「消費者利益」を強調するとは。

 この背景のひとつに年々強まる一方の消費者保護の政策、制度に対して、製造事業者が思うような対応がとれない現実があるのではないかと。これは消費生活用製品(消安法の定義上。商品です。)の製造事業者の端くれとして実感しています。
 製造事業者と消費者とが直接契約を交わして商品を引き渡すことなど皆無です。必ず流通が介在します。消費者に対して商品の説明は直接契約する流通事業者が行うわけですから、事業者は新商品発売時には流通事業者を対象に販促の勉強会や研修を実施します。ただこれも一次取引先である代理店や特約店、扱い高の大きい二次取引先までで、消費者に至るまでの全ての段階の流通事業者の実施できるわけではありません。数次にわたる流通が介在する業界では、消費者に一番近い所にいる流通事業者が誰なのか、製造事業者の「商品に係わる情報」を正確に伝えているか、すぐに把握確認できないというのが実情です。(いかに情報が伝わっていないかの例としては本ブログでも取り上げた「長期使用製品安全点検制度」の浸透具合を挙げておきます。)




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