企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2015年06月


「契約の内容」って何だろう

 身の程知らずで民法改正について書く不定期エントリ。

 自分の所属する業界向け民法改正セミナーで真っ先に取り上げられるポイント、それが「瑕疵」から「契約不適合」への用語変更です。
 
 この「瑕疵」という用語、契約はもちろん通常業務でもことのほか使う場面が多いもので、読めても書けない、意味もなんとなくながらも、若い営業担当者も慣れ親しんできた(?)ものです。
 この用語が変わる、ということですが用語が置き換わるだけなのかというとそう簡単なことでもなさそうですね。
 「契約不適合」ということは、当事者間で何が「契約の内容」となっているかが明確になっていないと適合も不適合もないわけですからね。

 例えば、改正民法の時代になってから皆さんが戸建住宅を建てる、分譲マンションや戸建住宅を購入する、住宅をリフォームするということがあると思いますが、このとき交わす請負契約や売買契約で何を「契約の内容」にしますか?

 契約書にびっしりこれから建てる住宅に関する条項が書かれていれば納得できますか?
 現在でさえそんなことはありません。
住宅展示場や販売モデルルームなどで現物(厳密には現物ではないけれど)や設計・プラン図面を閲覧しますよね。ただ建築従事者ならともかく普通の人が二次元の設計図面から三次元の現物を頭に描くことは相当難しいと思います。またモデルルームなどで現物を確認といっても、建築というものは目に見えるものがすべてではありません。

 住宅・マンションというものは一括で購入しようとローンを組もうと大きな金額の買い物であることに違いはありません。何が「契約内容」として明確になっていれば、皆さんは安心して契約書にハンコを押せるでしょうか。



トラブルを通じて

 3つほど前のエントリの続きのようになってしまいますが。
諸々長引いていたトラブルがようやく次の段階に移行、収束方向がみえてきた6月初旬であります。

 一連の騒動を通じて新任の客相部門役員といろいろと意見が交わす機会が増えたのはよいことだと思っています。

 で、お客様との交渉ごとを「消費者問題」「クレーマー問題」と扱うようになる要因はやはりこちら側の「初動」にある、「初動」スキル(というのが適当かは別として)の向上に取り組もうということになったわけです。

 そんなことは当たり前だといわれるかと思いますが、当たり前のことを徹底することほど難しいものはありません。
客相部門に配置される担当者はベテラン社員が多いものです。彼らの経験値が実務で役に立つことは確かなのですが、「経験」というものは諸刃の剣。その経験が逆にトラブルのきっかけになったと思われる事例もありました。
 かくいう自分も販売の現場から離れてすでに10年近くが経過しています。もう自分の営業担当者としての経験は役に立たないことを肝に銘じなければなりません。

 ということで初心に戻り、経験をゼロベースに戻し勉強会を立ち上げることになったのでした。

 いろいろネタを探さねば。




 

 
  

プロジェクトマネジメントが登場した意味合い システム開発紛争対応ハンドブックを読みながら

 週後半に家族の緊急入院といった突発事項がありましたが2日経過し状況が落ち着いたので、6月3日のレクシスネクシス主催「システム開発紛争ハンドブック記念セミナー」聴講とその書籍を読みながら思ったことを。

 日頃、ITシステム開発関連業務にはほとんどタッチしないのに今回のセミナーに出席した理由は、みっともない話、グダグダになったシステム開発事例があったからで、著者・講師の松島淳也弁護士・伊藤雅浩弁護士のお二方の講義を聴きながら、耳が痛くなるやら頭が痛くなるやら。
このなかで「プロジェクトマネジメント義務」についての話を聴きながら、ひと昔の仕事を思い出したのでした。

 建設業界の片隅で設備機器の営業担当をしていた頃、自分のいたセクションはカタログ品を販売するというよりも、オーダーメイド品、カスタムメイド品の納品と工事といった業務でした。ホテルや医療福祉施設に納入する製品は、意匠の点でも性能の点でも事業主の要求レベルは高いものでしたから、それこそ「金型」から作るといったケースも珍しくありませんでした。金型を作る(「起型物件」と呼んでいましたが)場合、建物工事全体工期と自社製品の納入日程から
 ①金型図面の承認期限
 ②試作型製作と試作品確認期限(工場立会検査含む)
 ③金型修正、量産用金型製作開始期限
 ④量産開始時期
 ⑤納品開始時期
を仮置きし、元請(ゼネコン)と関連業種(設備サブコン)と打ち合わせを進めていきます。しかし事業主、設計者の希望と現場の都合が最初から一致することはまずありません。我々納品メーカーは、関係者の板挟みになりかなり辛い思いをするのですが、下請業者といえど①の期限については元請の工程管理表に反映させてもらわなければなりません。①が10日ずれ込めば、②以降の日程が最低10日ずつずれ込みます。「承認が遅れたから」と理由をつけたところで、それが簡単に通用するような世界ではありません。したがって金型図面承認に向けて、請負関係、業種・工事区分の地位の上下などの壁にぶち当たりながらも協議を進めます。自社の請負範囲については責任をもって段取ることが求められていたと思います。
 当時から(20年以上前ね)プロジェクトマネジメントという概念や言葉があったかはわかりませんけれども。



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あきらめてとりあげます 民法改正

 できればこのブログでは触れずにいたかったのですが、やっぱり触れずに済むわけがありませんね、民法改正。甘かった。

 顧問法律事務所主催の民法改正セミナーに参加してまいりました。通り一遍のセミナーではなく、対象業界を特定した(ようするに建設・住宅業界)内容のため、「ここがポイント」というところに絞ったもの。かなり駆け足での講義でしたが、それでもたっぷり4時間。出席者は必ずしも法務担当者ではないようでしたが、それでも法改正がもたらすあれこれというものが伝わるものでした(と思う)

 「用語」が変わる、ということでもっとも影響を与えるのは「瑕疵」ですね。
売買契約、請負建設工事契約のみならず周辺の法律・制度のなかにどのぐらい「瑕疵」という用語が登場することやら。また建物引渡後の「⚫️年瑕疵点検」サービスなど、一度数え上げたいくらいです。
それが3年後にはがらりと変わるわけですが、巨大で裾野の広い建設業界のこと、今からスタートしても建設業にかかわるあらゆる業種、職種までいきわたるのはいつだろうかとふと思ってしまいました。(許認可であったり罰則のあるものは早いのですが)

 改正により現行民法から「落ちる」規定、売買・請負と統一されてしまう規定、保証人に関する規定、定型約款の取り扱いなど、取引担当者の「理解」というよりは「考え方の切り替え」を求めることになるものがほとんどで、3年という猶予期間が長いようでまったくそうではないと思った次第です。

 今後不定期に自分の頭のなかの整理の意味で本ブログで取り上げることにしましたので、ダメ出しをお願いします。(他力)

 
 
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