2015年07月

2015年07月29日 06:51

カテゴリー分けが難しいのですが、前回エントリーの余談。

 役員研修について「そんなものなのか」と思ったことが過去にありまして。
 上場会社に買収されてまだ日も浅いころだったと思いますが上司(取締役)が役員勉強会を企画し、親会社から派遣されていた取締役に打診したところ、「完全子会社の取締役は、出先の部門長に過ぎないのであまり余計な心配はするな」というようなことをいわれてしぼんでいたことがありました。
 一理あるような、ないような。

 最近では事故不祥事のリスク発生源として扱われる子会社(特に非主流・異業種)、改正会社法でも子会社管理責任が強化されていますので、子会社の役員研修については親会社の手によるものが筋なのでしょう。「出先の部門長」という位置づけであればそうなりますよね。
 親会社からは部門長扱いの一方、法的責任は負うという、完全子会社の取締役というのは板挟み的な存在ではないですか。
 あまり論じられるところをみたことがないのですが、子会社はリスクの温床というのであればもう少し子会社の取締役という存在について、触れられてもいいのではないかとも思うのでした。企業グループによって色合いが違うかもしれませんしね。

 本当に余談レベルでした、すみません。

 
 




 
  

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2015年07月27日 06:52

 また拾い読み、です。ビジネス法務9月号から。

▪️特集「ガバナンス元年に臨む取締役の心得 法務部主導の役員研修」
 個人的には、冒頭の中島茂弁護士、ヘイコンサルティンググループの高野社長とユニリーバ・ジャパンHDの北島社長の稿を興味深く読ませていただきました。もう少し企業法務の方の手による稿があるとよかったと思うのですが、公の場で自社の研修体制を書く、というのは難しいところがあるのかもしれません。

 今の時代、さすがに役員就任でサラリーマン人生の「上がり」と思う人はいないとは思いますが、それでも(社長は別として)、中島弁護士の記事の「2.役員と従業員の違いを知ってもらう」というのは意外と重要な事項かもしれません。管掌部門をもち取締役⚫️⚫️本部長といった役職名がつくと従業員の延長線上にある役職、その管掌部門の利益代表者と思いこんでしまう、そんな方もいます。

 取締役が負う義務や責任、もたなければならない心構えや覚悟といった諸々は、取締役就任後の研修で申し伝えるだけでは十分でなく、役員の一歩、二歩手前の「役員候補生」の段階から段階的に体得していただかないと間に合わないのではないかとも思いました。たとえば内部統制ひとつとっても部門責任者時代にやらされ感覚でしぶしぶ取り組んでいた人が、たまたま取締役になったからといって途端にその姿勢を一変させるとは考えにくいからです。
 いわゆる出世ストーリーではない形で、経営のプロ(でなくては困る)取締役をいかに育成していくか
というのは、けっこう真剣に取り組まなければならない課題だと思います。
 法務部門からのアプローチ、そして会計部門からのアプローチもあるかと思いますがいずれにしろ、件の電機メーカーの一件で、形だけでなく実体を伴う企業ガバナンスがより求められるでしょうから、バックオフィスの役割も重くなるでしょう。

 さて、勤務先は完全子会社なのでどうしたものかというのは「子会社はつらいよ」で取り上げてみます。
 とりあえず。


 
 

  

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2015年07月24日 06:52

 拾い読み、です。もう、BLJもビジネス法務ももう「9月号」ですね。

 ▪️特集「社内規程の見直しのポイント」
 民法改正がここにきて年内の法案成立があやしくなってきているもののビジネスに関わる法改正が目白押しですよね。改訂が必要な会社規則をピックアップしただけで、少しめげているのですが皆さんはいかがでしょうか。最小人数法務だと誰かに仕事を振り分けるということもできませんので、つらいです。
今回のような特集は改訂の手掛かりになりますので助かります。
 (加筆)
 今回見直しが必要な規則は、自分が法務に異動する以前に制定されたものが多く、制定当時といえばまだ元々の企業グループに属していたころ。おそらくは、本社法務が作成したものをグループ間で共有したか、多少カスタマイズしたものという想像はつくものの、制定前の規則案や修正の過程が一切残っていません。したがってなぜこの文言や言い回しを選んだのか、という疑問が生じても確認ができないのですね。昔のことにこだわらずばっさり改正してしまえばよいのですが、改正の過程は残しておいたほうがよいかもしれないとふと思ったのでした。

 ▪️「知財」「契約」「税務」にかかわる新連載記事。
 順不同で、まず「税務コンプライアンスのススメ」について。
 以前にも同誌の連載「不祥事の解剖学」だったかでも同様の事例が取り上げられていました。詳細は書けないのですが、以前従業員が記事にあるようなことをしでかしたときがあります。自社への税務調査ではなく販売先の税務調査が発端で発覚したという、本当に絵に描いたようなパターンでした。本人や周辺調査のうえ、本人から弁済させようとする段階で立ちはだかったのが、その税務上の取り扱いでした。何回か税理士を交えて検討したものです。
 法務・コンプライアンス部門も一定の会計税務の知識、いやそこまでいかなくても「税務上どうか」「会計上いいのか」というような感度を持ち合わせていないと務まらないという時代になったと思います。
 餅は餅屋ということばもありますが、今回の電機メーカーの事件をみるといっそうその思いが強くなりますね。


 
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2015年07月19日 12:00

 連休の方もお仕事の方も夏休み中の方も、お暑うございます。

 過日、業界団体の分科会の席上で、あるメーカー担当者が「瑕疵が契約内容不適合になると、我々はどこまでやらなきゃならないのだろうね」と半ばぼやき気味でつぶやき、その場にいた者全員で「うーむ」と唸ってしまったのでした。

 建材・設備機器の取引形態は、納品・据付の段階ではB to B、引渡後の問い合わせ、修理・サービス対応は最終需要家が個人の場合はB to Cというパターンです。やや面倒なのがB to Bであっても流通が数次の段階を踏む取引が多いというところでしょうか。これは昔からの取引慣行や需要家の与信問題というところによるものです。(改正民法の個人根保証と関わりが深くなるかもしれません)

 数次にわたる流通段階を当然のものとして、我々は製品の販促に関してはカタログをはじめ様々な販促ツールを準備します。ときに最終需要家向けのプレゼンテーションシートまで作成することもあります。
しかし、それらの内容が果たしてきちんと最終需要家まで伝わっているのか正直いくばくかの不安を感じることがあります。

 改正民法施行後は、製品購入契約の内容とは「カタログほか販促物、プレゼンテーション、取扱説明書、施工説明書等」で説明を受けたものであるということが十分考えられるわけで。

 カタログほか販促物の内容については、すでに過剰・不当表現を規制するものとして景表法、誤使用防止のための警告表示を求める「製造物責任法」があるわけですが、改正民法により「契約内容」たり得る役割も負うことになるのでしょうかね。製品の態様、性能、品質は当然として、保証や免責事項といった従来なら購入したのちに読むことになる取扱説明書や保証書の内容をも契約締結前に説明する必要があるのではないか、これが冒頭のつぶやきであり声にならない唸り声の中身であります。

 前々回のエントリでとりあげたAmazonでのソニー不動産のリフォーム工事販売のサイトを確認してみると、免責事項や追加費用発生の可能性の注意書はあります。商材の説明は十分なものとは思えず、商材に関してはメーカーサイトを確認してくださいということなのかもしれませんが、そうなるとメーカー側のサイトも単なる製品PRではなく「契約の内容」となることを意識したサイトにする必要に迫られるのかもしれません。

 いやはや気の重いことであります。 

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2015年07月15日 06:52

 正式公表を待たず第三者委員会に関する報道が飛び交う、といってしまうとどの企業のことを指すかわかってしまいますが、思ったことを残しておこうと。

 公表前に「関係者の話」と報道各紙が記事にしているので、一体内部の情報管理はどうなっているのかという向きもあろうかと思います。その見方は間違いではないだろうけれども、企業はときとして意図的なリークという方法をとることもあります。リスクがないわけではありませんが、リークも情報発信の一種ということを投資ファンド傘下にいるときに思い知ったもので。

 利益水増し額の規模が当初の発表よりも増えたり、経営陣の指示があったことが明確になったり、と現時点で伝えられていることが、本当に第三者委員会報告の正式公表の日まで伏せられていて、当日一気に晒される場合のインパクト(市場、顧客、取引先、従業員とその家族)を考えると、小出しに情報を流して、公表当日は「ま、報道のとおりだったね」という反応にとどめようとすることも考えられるわけで。うがった見方ですかね。

 とはいえ一連の報道で、おそらく株式担当者は株主からのお叱りやら苦情の電話、メールの応対に追われているでしょうし、広報もさらなる裏取り取材応対をしているでしょう。では法務部門というと、公表の次の段階の準備をしているのではないかと勝手に想像しています。報道内容にいちいちとらわれている時間はないのではないかと思います。
 大きなお世話かもしれませんが。

 それにしても品質偽装や不適切会計などの企業不祥事のニュースは他人事にようには思えません。
自分の所属先で同じことが起きないといいきれるでしょうか。
 
 守るものは何だったのか、本当に守っていくものは何なのか
 守るはずだったものを失ってから気がついても遅い
 
ということを肝に銘じておくよりないのでしょうか。


 

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