企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2015年08月


拾い読み Business Law Journal 2015年10月号から (1)

 拾い読み、とタイトルにいれたものの、そんなレベルでは済まない記事がてんこ盛りのBLJ10月号。
己のスキル不足を痛感反省しつつ、やはりタイトルはいつもどおり拾い読みで。

 FOCUSの「消費者契約法見直しのインパクト」には触れなければなりませんね。「中間とりまとめ」について日経が煽り気味の記事掲載した時点で、企業法務戦士の方がさっそく反応されていましたね。
気にはしていたので、折をみて消費者契約専門調査委員会の議事録はチラ見の域をでないのですが目を通していたのですが、そのたびにもやもや感というかざわざわ感が先に立ち首をひねっていたのですが、この内容ではそのうち事業者団体に対して所管から説明なりヒアリングがあるだろうと思っていたところ、中間とりまとめが公表されたという、正直唐突感が否めないといったところ。なので本誌の企業法務担当者による座談会は非常にタイムリーだと思うし(発売日から逆算するとアクロバット的な編集スケジュールではないかと)、特にメーカー担当者のご意見には呻きながらうなづいていました。

 身元バレをある程度覚悟していうと(一定数の読者の方には既に知られていますしね)、自分が生息している建材や設備の業界はけっこうな割合でB to B to Cの取引形態に該当します。消費者契約法の対象取引ではないもののまったく今回の見直しは影響がないと言い切れるかといえばそんなことはない、むしろ神経を尖らさざるをえなくなるのではないかと危惧しています。
 その理由が、ショールームという存在。消費者と接点を持ち自社の製品またはサービスの説明を行い、ときにプランニングや見積書を作成しお渡しします。まったく「フリ」で来場される方を相手にするケース、販売先が消費者をお連れしてきた場合には「販売先と消費者との商談のサポート」に徹するケース(競合メーカーとの比較にみえるときも含む)があります。このような業務は、勧誘として捉えられるのか、販売事業者と消費者との間の契約行為の一部として捉えられるのか、どうなのでしょう。
 消費者を勧誘する場として広告規制の範疇に含まれるのか、重要事項の説明義務を負う業務となるのか、消費者との契約当事者ではないから本法の対象外となるのか。しかし本法の対象から外れたとしても、ショールームでの商談が「契約の内容」を構成する一部と捉えられる可能性のあり、もろもろリスクの回避を図ろうとすれば実務に相当の負荷がかかることが容易に想像できます。

 中間とりまとめ公表後、事業者団体の意見をきくということではありますが、自社が所属する業界団体がその対象になっているか今のところわかりません。個人的には声をあげる必要を感じています。

 (続く)
 

  

拾い読み ビジネス法務 2015年10月号

こんな半端な時期に諸々あって、いつも以上に読めていません。拾い読みどころか、ほんとうにスポット読みです。

 対象購読者の幅が広いビジネス法務、今回のトップ特集は「類型別裁判文書作成のポイント」。
あまり裁判まで発展する事案がなく、自分が裁判文書を作成するわけではないのでコメントが難しいです。企業法務と代理人(弁護士)の関係で考えてみれば、裁判文書の質のおおもとには依頼する企業法務の事実の伝え方があると思うので、自分らに求められる仕事の質というものをこういう記事の内容から逆引きで考えていくということなのでしょう。

 実務解説「優越的地位の濫用に対するコンプライアンス上の注意点」。MHMの池田弁護士が、日本トイザらス事件の審決についてがっちり書かれています。ちょうど資材部門長と打ち合わせをする機会があり(まあ、当然楽しい打ち合わせではありません)、この記事をその部門長にも読んでもらいました。
 下請法についてはかなりの時間と神経を注いでいるのですが、ともすれば特別法である「下請法」の資本要件や支払期日のところだけ注意がいってしまいがちなところがあり、「優越的地位の濫用」のところが飛んでしまっている担当者もちらほら。ということで、もう1回ネジを巻き直そうとするところで本記事はよいタイミングで掲載されたとありがたく思っております。

 とりあえずこんなところで、すみません。



 

こんぷら坊主の憂鬱

アップ忘れ、まあ雑感とも愚痴ともつきませんが。

 不祥事とも重大な法令違反には該当しないまでも、ちょこちょこと会社規則に反する、業務マニュアルから外れる行為というのは発生するものです。残念ではありますが、人間の集合体である以上仕方がない部分があります。ま、そんなことがあるとなにかとコンプライアンス部門にお鉢が回ってくるのですが、規則を厳格化しろ、警告を行え、チェックを行えという指示がきたり、またはここぞとばかりにいきり立つコンプライアンス担当者もいるわけですね。条件反射的に警告・注意喚起といった文案を作成して、イントラ掲載やメール配信の準備をしてくる。
 
 毎日の些事こそ重要、些事の積み重ねを疎かにしてはならない、というのはもっともなのですが、通知1本、メール1通でことが済めばこんなに簡単なことはありません。それで済むことであれば、そもそも規則やマニュアル違反など起こらないだろうと思うのです。

 条件反射的に「コンプライアンスな仕事(なんだそれ)をする」ときの担当者には通知を出さなければコンプライアンス部門の仕事をしたことにはならない、通知を出したからにはそれに従う義務があります、違反すれば罰します、という心理が少なからずあり、またそれがストレートに表面に出る場合にはいらぬ摩擦を起こすことがあります。仕事をした風の「アリバイ」にみえないこともないですからね。「こんぷら(茶)坊主」などと揶揄されるのはこういう所以なのでしょう。

 自分自身はことある場合は当然対応はしますが、いちいち規則厳格化や罰則規定を追加することには反対な方なので、意に反して上記の文書など作成、配信することがままあるわけです。
 
 そんな日は、役目とはいえなんとなく憂鬱な気分になりますね。喜んでこんぷら坊主の役をかってでているわけではないのですよ。(そういう人もいるかもしれませんが)

 さて8月も実質最終週ですね。夏バテの出始める時期です。仕事はほどほどに(嘘



 

とかく「表示」というものは 警告表示と誤使用の判例と法理

 積ん読解消の1冊、「警告表示・誤使用の判例と法理」(升田純著・民事法研究会)

 製品に関する苦情・クレームそして事故があった際に、確認するのが「取扱説明書」の記載内容。
免責の「砦」とでもいいましょうか、ユーザーが取扱説明書に記載している使用方法から外れる、あるいは禁止事項に該当していれば、無償修理要求や損害賠償請求を回避できる、というものですが、そう単純なものでもない、というのが正直なところ。そうであれば訴訟になどなりませんからね。販売事業者や工事業者が組立・据付作業を行う製品については、取扱説明書だけでなく「設置工事説明書」の記載内容も問われることがありますから、製造事業者の「表示」に関する仕事はけっこう広範囲にわたります。
 
 なにをもって「誤使用」とするのか、そもそも「誤使用」とは何なのか。業界団体の分科会での協議などに出席していると、同業者であっても必ずしも定義が一致するとは限りません。最近はホームページなどで取扱説明書を公開している企業が増えていますが、本書253ページの「3 誤使用の意義 (1)誤使用の意義・定義」にあるように様々な用語が使用されていますが、その意味するところがはたして肝心のユーザーに通じているかというとどうなのでしょう。
 警告表示も同様ですが製造事業者が使用者に期待する社会常識、コミュニケーション能力(ここまで書いておけばわかるだろう)といったものがあります。本書22ページでも指摘されていますが、やはりそれらが時代とともに変化(低下することも含めて)することを念頭に入れておく必要があるでしょう。年配の(自分ももはやその領域に近いかもしれませんが)品質保証担当者が「そんなの常識もないのか」と嘆いたところで、なんの解決にもならないのです。
 消費者向けの製品を扱う製造事業者の置かれる状況の厳しさを改めて感じた次第です、


 ところでちょっと引っかかったのが次のようなくだり

取扱説明書等の情報が添付された類型の製品等の使用にあたっては、使用者は取扱説明書等による情報を含むものとして製品等を購入するのであり(たとえば、製品等の売買にあたっては、製品等のほか、製品等に関する情報も付随的に売買の対象になると解するのが合理的であり(略)本書257ページから

 取扱説明書等の記載内容も「契約の内容」であるということになりますよね。(ため息)

 

子会社こそ理解が必要 コーポレートガバナンス・コード

 夏休みです。盆に休みをとるのはバカだという方がいたようでしたが、大きなお世話です。

 積ん読の消化にあてています。
 ようやく「コーポレートガバナンス・コードの実践」(日経BP社 武井一浩弁護士編著)と「変わるコーポレートガバナンス」(日本経済新聞社  森・濱田松本法律事務所編)を読みました。勤務先が非上場なので、コーポレートガバナンス・コード関連は直接業務に関わってこないもので。
 
 2冊のうち前者の「〜の実践」のほうが面白く読めました。コーポレートガバナンス云々については機関設計や社外取締役が取り上げられるものが多いのですが、本書に収められている編者の武井弁護士とニッセイアセットマネジメント、フィデリティ投信の方との対談を読んだほうが妙に腹落ち感があったのですね。
 これはあくまで個人的な感想なのですが、上場企業の子会社(特に完全子会社や被買収子会社)の幹部社員は読んでおいたほうがよいと思いました。子会社の人間が投資家と対話することはないのに?と思われるかもしれませんが、まず今年5月の改正会社法施行と6月からこのコードの適用により親会社がどのような環境におかれるようになったのかは知っておくべきでしょう。

 上場企業の完全子会社というのは株主が親会社だとの理解にとどまりがちで、その親会社が投資家と向き合っていることまでなかなか意識が回らないというのが実情。しかし親会社グループにおける非主流事業子会社や、新規事業のために新たに買収した子会社の事業の見通しや成否というのはときとして投資家の関心をひくものです。たしかに子会社の人間が投資家の直接「対話」をする機会はありませんが、上場企業グループの一員である以上子会社事業にも投資家の目線が注がれているという意識は持っておいたほうがよいと思うのです。(こう思うのは、度々このブログでも触れていますが、勤務先の最初の売却劇の理由について苦い記憶があるからなのですが)
 子会社を含むグループ経営に関する具体的な方針決定は親会社によるものになりますが、ともすれば目標とする経営指標と数値のみが子会社内では伝えられがちです。たとえばROE7%達成という指示ひとつとってもそれがどういう理由に基づくものなのか、子会社の経営幹部にも理解がないと分母分子をいじることのみに終始しその結果として子会社自身の未来を苦しいものにしてしまうかもしれません。

 上場企業の子会社にとって、コーポレートガバナンス・コードは親会社の他人事ではないと認識を改めた次第であります。






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