企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2016年09月


Everything's Beautiful 25年目の再構築盤

 本日は音楽ネタです。

 モダンジャズの帝王マイルス・デイヴィスが逝去して今月の28日で25年になります。訃報をきいて呆然とした日から四半世紀経つのかと思うとめまいがしますね。

 今年は没後25年と生誕90年にあたる年ということで、5月のマイルスの誕生日に合わせて1枚のアルバムが発表されています。
それがこれ。


 
   1991年のマイルス逝去後、様々なミュージシャンによるトリビュート盤、カバー盤、リミックス盤が発売されましたが、熱心なマイルスファンに受け容れられるもの、そうでないもの、賛否両論でしたが、「マイルスの不在」を思い知らされるという点で共通していました。

 さて今回はどうかといえば、何の情報もなく聴けば「2010年代のR&B、HIPHOP」。
注意深く聴けば、マイルスのナンバーの音の断片が散りばめられているのがわかりますが、これはどの曲のトランペットソロだ、リズムだなどとウンチクを垂れてもまったく意味はないよなあ、まず楽しめばいいという1枚だと思います。「マイルス」の冠が付くと「これはジャズじゃない」「こんなのはマイルスじゃない」と憤激する人が必ずいますし今回も例外ではないのですが、これはマイルスが存命の頃からのことなのでなんというかお約束のような反応ですね(怒られそう)

 実質未完成のまま死の翌年の1992年に発表された最後のアルバム「Doo-Bop」がヒップホップに取り組んだものでしたから、マイルスが1991年に逝去せず「Doo-Bop」を完成させ、そのままヒップホップ路線を突き進んでいたらこうなっていたかも、と妄想しながら聴いています。

 それでは今日はこんなところで。




 
  

羊の皮を被ったオオカミ少年

 過日、レクシスネクシスさん主催の山口利昭弁護士のセミナーを聴講したのですが、そこで思ったことを少し。

 企業は人間の集合体なので、過ちや不正の発生をゼロに抑えることを理想やスローガンに掲げても、実態はそうはいきません。予防法務をおろそかにするわけではありませんが、発生した場合にいかに迅速に対応するか、というところに軸足を置かざるをえないというのが現実的なところかもしれません。

 組織に能力のある「オオカミ少年」が必要、企業法務がその役割を担うという主張は企業法務担当者にとって共感できる部分がありますが、はたして。

 「大変だ、大変だ」と騒ぎ立てる目明しのような渉外担当、指摘する事項はもっともだが、どこか上から目線で「べき論」だけ展開するコンプラ担当(役員含む)など、これまでも様々な人物を目のあたりにしてきましたが、人材・人員豊富な企業であればともかく、そうでない企業では「言いっぱなし」「汗をかかない」人間は特に疎まれるもの。正しい指摘であろうとも受け容れられなければそれまで。リスク情報を感知するセンスやどこからか情報を仕入れてくる術と、その情報を活かす先(必ずしも上司とは限らないし、社長とも限らない)を確保する術を身につけていかないとリスク管理担当者(法務含む)は厳しいと思った次第。
 一方このような人間はやはり経営陣からは好まれないだろうもと思います。「まあまあ、今わが社には事情があってだね。」と懐柔しようとしても難しそうですからね。有能なオオカミ少年は多分上にとっては可愛くないはず。尻尾を振ってくる犬は飼えても、なつかない狼は飼えませんからね。また経営陣が誰を重宝している、煙たがっているというような情報は組織内に案外広まっていくものです。仮に物分かりの良い経営陣が有能なオオカミ少年を認めたとして重用されてもそれはそれでまずいなとも。法務やリスク管理担当者は組織の中で色付けられたら終わりだと自分はそう思っていますので。
結局経営陣には役割を認めさせて一定の距離を保つようにするか、日頃は羊の皮を被り、あるいは昼行灯を決め込み経営陣や社内に必要以上の警戒心を抱かせないか…

 ともかく企業法務(リスク管理)は神経を使い思い悩む業務であることよと改めて思ったのでした。







 



余熱  第4回法務系LT #LegalLT

  一昨日のことになりますが、第4回法務系LTに参加、前回に引き続き登壇させていただきました。
既に@kataxさんによるまとめや当日登壇された方のブログ、SNS等で当日の会場の雰囲気が伝わっていると思います。感想をひとことでいえば「熱かった」。著作や論文等で活躍めざましい気鋭弁護士のトークが生で聴くことができるというのは(セミナーを除けば)滅多にないことですし、異業種企業の法務担当者が今何に関心があるのか、何を問題視しているのかがわかりますからね。


 2年ぶり4回目のイベントでしたが、「5分で法務ネタを話そう」という柱に変わりありませんが回を重ねるごとに運営やイベントの姿が変貌していくことは止められませんね。小さなハコとはいえ商業施設で開催し 、入場料と飲食代を支払って登壇、聴講というスタイルが受け容れられるかと思っていたのですが、イベント告知とほぼ同時に満席という驚きの状況としか言いようがありません。 皆、このような機会を待ち焦がれていたということなのでしょうか。
 登壇者とすれば入場料からギャラが支払われるわけではありませんし、自分も支払ってはいるのですが
カネ取っているイベントということが頭の隅にこびり付きます。(その割には手ぶらで登壇しましたけどね)大いに盛り上がり楽しみましたけれども、このまま「商業化」するわけにもいきませんしねえ。
 一晩ちょっとおいてこんなことをふと思ったのでした。

 また会場内で複数の若い方から「レベルが高すぎて自分なんかまだまだとても」という声を聞きました。
 確かに今回は弁護士の登壇が多かった点はありますし、皆破綻することなく見事に5分間に収まっていたからそう思えたのかもしれませんが、それは蓋を開けてみての結果に過ぎないのですよ。
まだまだ、なんていっているうちにすぐ歳をとってしまいます。グイグイと前に出てしまえばいいのですよ。情報というものは発信した人に集まるのです。長い人生の中で5分間、ちょっと恥ずかしいだけのことですよ。次、期待しています。

 さて当日の口頭メモは以下の通りでした。

 1 DD対象会社は為すすべがない
 2 嘘も方便、従業員には「監査」で通す
 3 FAの仕切りは保って3日
 4 資料作成不要は嘘
 5 粘れるだけ粘る(当日カットしました)
 6 リークはつきもの
 7 登記が終わるまでがM&A

 最後にしばけん先生はじめ運営スタッフ一同、聴講していただいた方に御礼申し上げます。
 

5分間 その2 

 2年前にも同じタイトルで書いております、そう法務系LTの直前に。
今回もそのパターンで。(ネタ切れ)

 5分、300秒。 
 短そうで長い、長そうで短い。パワポ1枚につき1分話すとして5枚。30秒でも10枚まで。

 30年以上前、学生時代。「法曹」ではなく「放送」研究会にいた頃。アナウンス部の練習にタイムキーパーだかなんだかで顔を出すことがありました。練習はフリートーキングだったかな。
制限時間は1分間、3分間とあって(おそらく放送局の入社試験の科目だったと思われ)、題目があったかどうかはその日によって違うけれどもとにかく話す側は時計を見ず、原稿もなしで話します。
 最初のうちは1分間の場合は1分未満で話し終わり、3分間の場合はオーバーする、そんな傾向にあった記憶があります。それでも練習を重ねるうちにほぼ制限時間通りに話せるようになるものです。
 
 研修講師育成研修でもやはり時間厳守が課題のひとつ。テキストの解説に終始すれば時間が余り、自分なりのエピソードを盛り込めばあっという間に時間オーバー。テンポとメリハリ、キーワードを選べと厳しく指摘されたものです。

 はい、要は練習なのです。
 その前にトーク内容が詰め切れていないという、いくつになっても尻に火がついてもちんたらしている自分がここにいます。 
 

災害の時、法務は(加筆)

 ジュリストNo.1497特集「震災の企業法務」。すでに企業法務戦士さんがエントリーにあげていますが、非常に読み応えがあると同時に日頃の業務の緩さを反省させられる内容でした。

 勤務先は5年前の東日本震災と一昨年の雪害で少なからず事業活動に影響が出たのですが、後者の時に
弁護士から指摘されたのは「東日本震災以降、不可抗免責のハードルは上がっていますよ」ということ。
あの震災を経ていながら、生産設備の耐震診断・補強を実施していない、サプライチェーンの見直しを図っていない というような場合、その企業はリスク管理に真剣に取り組んでいない、不作為があると判断される可能性がありますよ、災害の規模まで予測できないし、完璧な対策というものはないにしてもやれることはやったのか、免責を主張するにはその点を証明できますかというような話でした。
たしかに指摘の通りで、東日本に拠点を置きながら「何もしていませんでした」では理解を得られない可能性は高いかもしれません。

 不可抗力免責事項が契約書に設けられていればなんとかなる時代は終わったというのが実感で、新規の契約では不可抗力事由の発生報告義務や契約解除まで織り込むなどの提案はしてみるものの、
事業の現場では「喉もと過ぎればなんとやら」なのか、「ネガティブ思考」と取られるのか反応はまちまち。そこは理解、納得してもらうしかありませんね。

(ここから加筆)
 さて、実際に過去の災害時に法務担当者はどうしたのか、広報も兼ねているよろず屋の場合。
 販売の現場からは、被災と納品遅延の謝罪を入れ、かつ免責の文言を入れた文書を出して!と悲鳴に似た依頼が入ります。荒っぽい業界ならではのものなのかもしれません。一方、経営陣の中には被災した事実をあまり公表したくない、という人もいます。それなりに何かを守りたいのかもしれません。
 ひと昔前であれば販売先に事情説明の文書を配布するだけでよかったのかもしれませんが、今や企業ホームページで企業情報を確認される時代です。「ホームページに載っていない」となると会社の公式発表ではないだろうと現場の担当者が責められることもあるわけです。災害時においても「公表するリスクよりも公表しないリスク」の方が大きいのです。ホームページでの公表と同時に文書と弁護士の意見を確認したQ&Aを現場に配布まででひと段落というもの。
 しかしこれは被災の規模が致命的なものではなかったからこの程度で済んだというもの。
 事業所閉鎖や事業撤退まで検討しなければならない被災規模の場合、自分は何ができただろうか、できるだろうかというのはずっとモヤモヤと残っています。

 震災だけでなく、ここ数年顕著なゲリラ豪雨、巨大台風といった自然災害リスク、それだけでなく海外でのテロ、内戦と、「不可抗力」事由が続発する時代。予防法務の重要性をもう少し啓発する動きが必要ではないかと思います。


  
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