2016年12月

2016年12月31日 16:15

 更新もままならず、大つごもり。
 秋の終わり頃に引いた風邪がぐずぐずと長引き、クリスマス連休前についに発熱、ダウンしてしまいました。 体力が落ちると、当然ながら頭の方の働きも落ちるもの(いや元気な時もそんなに働いていないか)

 発熱中に、法務異動10年を迎え、そして通過しました。
 例年になく白熱した#legalACの初日の@kataxさんの有資格・無資格法務のキャリア論ですが、無資格法務にも何通りかに分かれると思います。ざっくり分けてしまうと法曹を目指したが武運に恵まれず企業勤め・法務部員に身を落ち着けた向きと法曹を目指したわけでも企業法務を志望したわけでもないが異動の結果として法務担当者に就いている向き。自分は後者で、しかも40を過ぎてからの異動でした。キャリアチェンジというものではなく、空いたポストに「そういえば法学部出身だったね」程度の理由での異動。大した引き継ぎもなく、当時は勝手に隠居を決め込んだものです。
 皮肉なことに異動後にトップ交代や大掛かりなリコールや株式譲渡といった応用編の事件(イベント)が続きました。企業法務としての基礎体力のない自分にとっては劇薬を注入されて走らされたようなものです。一方で「劇薬」があったからこその今の姿だとも思うことがあります。あのまま何もなければどんな法務担当者になっていたでしょうか。想像がつきません。

 法務担当者として遅いスタートを切った自分にとってIPOは年齢的にもキャリアを築く最後のチャンスとどこかで決めつけていました。それが潰えてはや4年。
 バックオフィスの仕事に徹しつまらないだの面白いだのいわず、前線を支えているつもりではあります。しかしどこか次の劇薬を求めている自分がいるようで、年齢と体力を考えろといいきかせ、そもそも何のキャリアもないだろうと空を仰ぐ…
 
 通過点とは目指すゴールが定まっていてこそのもの。
 では自分にとってのゴールとは?
 
 舵も舵を操る綱を失った酔いどれ船、などとうそぶいている場合ではないですがねえ。





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2016年12月17日 17:03

  連休前日の夕刻、オフィスの小会議室。人事部長が処分通知を読み上げている。
ほどなく「彼」が退室してきた。こわばり、蒼ざめた表情。
彼はどのような最後の弁明をするだろうか。数ヶ月に渡った調査の日々を思い出してみる。
 ー 連休明け、オフィスに届いたのは、「彼」の代理人からの通知書だった。

 従業員の数が1,000人を超えると残念ながら一定の割合で不祥事が発生してしまいます。当事者に対する処分については事案の性格、内容、会社に与えた損害の規模などを就業規則の規定に当てはめ検討するのですが、懲戒解雇処分まで検討しなければならないケースはかなり時間と神経を費やします。非は当事者にあるといっても人生を左右させてしまうほどの処分です。慎重に検討しなければなりませんが、かかわる法務担当者の肉体的・精神的な負荷も決して軽くはありません。
まず、なぜ軽くないのかということについて。(自戒も含めて)

1.バイアスとの戦い
 その企業での勤務期間が長ければ、よく知っている従業員が「処分対象者」として目の前に現れることがあるかもしれません。法務担当者といえど生身の人間。「彼に限ってそんなことをするはずはない。」「彼はいつかこういうことをやるかもしれないと思っていた。」「裏切られた。許せない。」といった感情が瞬間的に渦巻いたとしても誰が責められようか、とは思います。しかしあくまで「瞬間的」でなければなりません。裏付け調査を進めるときに法務担当者が特別な感情をもつことは調査を誤った方向に導きかねません。どんなに親しかった従業員といえど処分対象者として現れた以上、もはや自分の知らない人間として接する「思い切り」が必要でしょう。

2.勘違いとの戦い
 法務・コンプラ担当者は正義の味方でも裁判官でもなんでもありません。稀に勘違いしているような人がいますが、まずは処分検討調査のための事実の積み重ねに徹することです。調査の過程で経営陣から進捗を訊かれたり、法務担当者の意見を求められることがあっても判明した事実の報告に止めるまででしょう。もっとも弁護士を入れた裏付け調査は処分に関する仮説を立てたうえで行うものでしょうけれど、決裁者を含む経営陣に事前に余計な「情報」を持たせないことです。繰り返しますが、法務・コンプラ担当者は勘違いしてはならないのです。

3.社内政治、圧力との戦い
 調査が進展し、当初の処分対象者の他に新たな人物が登場すると別の戦いが生じる場合があります。「Aの処分は仕方ないが、Bには影響が及ばないように」「CもAとあわせて厳しい処分が下せるようにならないか」などなど。善管注意義務違反など役員の進退にかかわるような事実が出てくると、ますます生ぐさくなります。経営陣の面々の思惑や本音を曖昧な笑顔でかわしながら調査の収束を急ぎます。

 さてタイトル、着地点について。

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2016年12月10日 15:37

 師走も10日を過ぎ。エントリー更新もせず何をしていたのかというと、単にガス欠です。
11月半ばから監査のための出張やら、詳しくは書けませんが変更登記の事務などが重なり止めは「ギャラがかからないから」と記者説明会の司会役に引っ張り出されるなど。
 ひとつひとつは時間のかかる(変更登記はそうでもないか)ものではありませんが、全く異なる種類の仕事に交互に進めるのは効率が悪く疲れるものです。兼任という名のよろず屋の哀しみですね。

 さて今回のタイトルは、とあるtwitterのフォロワーさんから頂いたリプから。
バタバタとしている合間に販促部門の担当者から「お願い!」と頼まれた仕事がよりにもよって「資金決済法」がらみ。当面自分の業務とは関係の薄い法律だと思って「いつか時間があるときに」と後回しにしていたのですが。
 親会社との事業との関わりが深くなれば、販促部門が親会社が提供しているサービスを活用しようとするのはごく自然な成り行きであり、まあ自分がうっかりしていたということです。
 弱ったなと外出ついでに書店に駆け込み、第二版が刊行されたばかりの「実務解説資金決済法」(商事法務:堀天子著)を買い求めたという次第。
 「ワールド」というからには、一筋縄でいかない世界なのでしょう。本1冊斜め読んだくらいで何がどうなのか語れるわけもなく、降りかかる火の粉をはたきおとすのに専念するよりありません。
 
 #legalACでキャリア論が燃えています。それについてはいろいろと思うこともあるのですが、少なくともいい歳をしたにわか法務の人間が何かしら新しい分野の仕事に関わることは幸福なことなのだろうと思うしかないのでしょうねえ。






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