企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

2018年10月

 もう月刊誌の世界では、12月号ですか。
 既に評価されている方も見受けられるBLJ2018年12月号の特集「実務視点で考える適切な契約期間の定め方」、例によって走り読みのメモ。

 何らかの事由で契約解除を検討せざるを得ない状況が生じたときに真っ先に確認する項目の一つが契約期間に関する条項。継続的取引基本契約書、LOI、NDA、共同研究開発契約書などなど様々な契約書がありますが、だいたいどの契約書の「契約期間」の条項は終わりの方に設けられていますよね。わりとしっかりと契約書を読み込み検討してくる事業部門の担当者でも、ここまで確認したら大丈夫と思うのか終わりの方にある契約期間についての確認が甘くなっていることがあります。1年間で十分なのか、2年間にした方がいいのでは?自動更新条項は不要、そもそもいきなり継続的な契約にしていいの?といったようなことを担当者に確認します。(さすがにすべての契約書審査で行うわけではありませんが)
以前、某企業とLOI に基づきNDAを締結している際に、「うっかりしていたけど契約期間切れてる!」という事態が起こったことがありその反省もあってのことですが。

 先日、経理の債権回収部門との立ち話で、契約書雛形を使う場合でも取引内容や相手方によって契約期間条項を使い分けるかといった意見も出たので、個人的には「契約期間」については地味にツボなポイントでした。

 本誌の各記事でも触れられていますが、事業環境の変化がめまぐるしい昨今、特に先行き不透明感の漂う業界で仕事をしていると契約期間満了を待たずに終了、解除せざるを得ない状況は常に想定しておかなければなりません。特に「継続的契約終了の制限の法理」は契約当事者部門にもよくよく理解してもらおうと強く思いますね。何事も終わらせることの方が手間がかかりますが、案外簡単に考えている人もいますからね。
 具体的な契約解除に関する実務については、ビジネス法務12月号から連載が始まった「契約解除の実務ポイント」に繋がっていくのでしょうか。絶妙な微妙なリレー特集記事ですね。

 ではでは(いつもながら)簡単ですが。


  

 またも品質問題が発覚しましたね。日本の製造業が誇っていたはずの「品質」とは砂上の楼閣のようなものだったのでしょうか。製造業に勤務している身としてはいいようのない気持ちになります。
 
 サイレントチェンジ。製造事業者(輸入事業者含む)にとってはそれほど新しいネタでもないと思うのですが、事業者団体の分科会でNITEの講演会の情報が共有されたのと昨今の品質問題を考えると、最悪の「サイレントチェンジ✖️品質管理低下」というケースが生じかねない(すでに生じているかもしれない)と思ったのでメモしておきます。

 サイレントチェンジとはその名のとおり「発注側が知らない間に受注側によって納入品の仕様変更を実施する」という行為です。サプライチェーンのどこかでサイレントチェンジが行われ、すべての取引先に影響、最終製品の品質に影響し重大製品事故が発生するようなことがあれば最終製品の製造事業者(輸入事業者含む、以下同じ)の経営を直撃します。(具体事案についてはNITEのサイトを参照いただければ)しかし、海外まで調達網が拡がった現在では最終製品の製造事業者がサプライチェーンの全てを管理するのは困難、というのが残念ながら実態でしょう。
 NITEの講演では契約法との関係でサイレントチェンジを行ったサプライヤーに対して過失責任を問えるかどうかは「納入仕様」が契約書に規定され、仕様書等の合綴など視覚化されているかが肝要と指摘してました。加えて製造物責任法との関係について指摘されています。サプライヤーに契約違反があった場合にもかかわらず、世の中に最終製品を出してしまえば製造事業者は、受け入れ側の品質管理の点から「製造上の欠陥」が問われる。世に出された最終製品が結果として契約書の規定が曖昧で契約違反と問えない場合では、「不適合品でも使用できてしまう仕様が問題」として「設計上の欠陥」が問われる。サプライヤーに対して契約違反を問えても問えなくても、製品事故が発生した場合には最終製品の製造事業者は厳しい状況に置かれることになります。

 サイレントチェンジをいかに防ぐか。
 発注者側の法務担当者は契約書に水も漏らさぬ条項を設けることに躍起になるでしょう。しかし契約を守る意思のない者に対してはこれだけでは効き目はありません。契約書上の検収要件を厳しくしていても、実際の検収体制が不十分では意味がありません。受け入れ検査の厳格化でサプライヤーを牽制することが肝となるのはいうまでもありませんね。それとやはりサプライヤーと良好な関係を築くこと。違反する側にもそれなりの理由がある、自社が無理難題を吹っかけていないか、優越的地位の濫用や下請法に抵触するようなことを行っていないかといった点です。

 しかし昨今の「品質管理」問題を思うと、サイレントチェンジを見逃す可能性を否定できません。
 自社の品質基準を公的基準より高いところに設定するのはよいのですが、その基準を満たさなくても公的基準を満たしていれば問題ないというすり替えのような理屈を立てるケースがあるのですが(というと社内でも険悪な状況を招きますがね)、自社の品質基準を満たさなかった原因が「サイレントチェンジ」にあるとしたら。その可能性は考えたのか。公的基準を満たした時点で思考停止していないか。
 法務担当者(特に製造業の)が製造や品質管理の分野にももう少し踏み込んでいかないと、自社を重大リスクから守れない時代になっているように思います。   続きを読む

 使わない業務知識は忘れていくし、知らなくても済むことは知らぬままに…というのはまずい事態だと反省し久々のコーポレートネタを脳がつりそうになりながら。
 
 3年ほど前に非上場完全子会社こそコーポレートガバナンス・コードを知るべきと大口を叩いたものの現在地はどうかということで、「実践取締役会改革」(中央経済社)を読みながら考えたことを。 
 子会社の取締役会のあり方、は上場親会社の子会社管理方針によるところが大きいのはいうまでもないところです。上場企業の取締役会がコードに対応しつつあるのは法律系媒体で伝わってくるのですが、子会社の取締役会の運営についてはどうか、ほぼほぼ子会社人生なので気にはなるのですがなかなか外に伝わる話ではないようですね。

 親会社から「コード対応だから!」というような指示命令は流石にないでしょうけれども、子会社管理規則の改正、親会社主催の子会社会議の内容の見直し、リスク情報の即時共有化の試みの導入、子会社の取締役会に付議する報告事項が指定されるなどここ2年ほどの間に細かくランニングチェンジが繰り返さされていないでしょうか。子会社の経営情報を確実に吸い上げる仕組みを張り巡らせる一方で子会社の取締役会に付議、審議される事項は親会社・子会社それぞれの決裁手続きを満たすための場になっていないでしょうか。親会社の取締役会を活性化させる(時間をかける)ということはどこかでそのための時間を絞り出さなければなりません。それなりの数の子会社を抱え、それぞれに取締役を派遣している親会社からすると子会社の取締役会をいかに「効率的にこなすか」なんてことになっていないでしょうか。

 完全子会社といえども一つの独立企業。時間をかけて審議すべき事項はあるはずなのですが、短い時間の中で決裁を得るための場での「承認を得やすい書類作り」になってしまうことがあります。「承認をえた」書きぶりが伝承され、年数をへるうちに薄っぺらに…などということを避ける為に事務局は一応書類には目を通すのですが(以下自粛

 10年以上、取締役会事務局として会議室の片隅に陣取っているのですが、今後完全子会社の取締役会や取締役などの会社機関はどうなっていくのでしょうか、なかなか表立って語られない分野ではありますが企業グループの数だけパターンがあるのではないでしょうか。
 



 
 


 
 

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