ジュリスト2015年1月号「労働法なう。」第10回から。
今回の水町教授の「おはなし」の部分は、販売部門にいた者としてはいろいろな意味で頭の痛くなる問題。パワハラの相談あるいは通報は、年に何回かは受け付けますからね。

 自分がいる業界は荒っぽい面がありますので、長年仕事、特に販売や施工の仕事をしていると、どうしてもその荒っぽさが身にまとわりつきます。部下・メンバーへの愛のムチのつもりが、ただの鞭打ちになっていた、ということはあってはならないことですが「あります」。
 今にして思えば、あのとき自分が受けた仕打ちはパワハラだったかもしれないということがあるのですが 、どうやってやり過ごしたのかもう定かではありません。あまり気にしていなかったのかもしれません。逆に「怒鳴り甲斐のない奴」といわれたことがあります。

 販売部門でいうと、パワハラをする側は営業所長や営業部長であったりですが、彼らはほぼ「凄腕の営業マン」です。彼らは若い頃からがむしゃらに働き、売上と利益を稼ぎだしてきています。顧客との対人・商談スキルには到底敵いません。絶対の自信をもっています。
彼らがマネージャー、プレイングマネージャーになる頃問題がうごめき始めます。こと「売上」に関して絶対的な自信がある彼らのこと、部下・メンバーに対して自分と同じことを求めるわけです。「俺がお前の年齢ぐらいの頃にできていたことがなぜ出来ない」例えばこんな風にスタートするのです。

 パワハラの法的問題について、会社(使用者)が不法行為責任、使用者責任を負う事を取締役ほか幹部が理解し、ハラスメントが起こりにくい職場環境整備を推進するというのは当然のことですが、これをいかに現場に落とし込んでいくかが課題。
 たとえば毎日の売上と利益で追われている販売の現場で「法的責任」云々を説くだけでは面従腹背、あるいは露骨に「うっせい!」と反応されるのがオチだろうと思っています。






 

 










 
 どんなに正しいこと、筋が通ったことであっても相手に通じなければ意味をなしません。

「売上利益必達こそ正義、未達成は悪」を信条にしている人間に、いかにパワハラが「悪」かということを腹に落とすにはどうすればいいのでしょうか。

 部下・メンバーがパワハラを理由に離職、休職という事態は、会社にどのような影響を与えるのか、これを理解していないから、平気なのかもしれません。
短期間での離職者を出せば、その人にかかった採用コストをどぶに捨てることになります。
休職者を出せば、原因は本人にないとはいえ働いていない人の社会保険等を負担することに変わりありません。
短期間で求人広告を出せば、「離職者の多い職場」との評判がたつかもしれません。簡単にいえば「あそこブラックだぜ」といった話。
ハローワークからも睨まれる可能性もあります。
訴訟沙汰になれば、もう。。。

「俺が売上を叩き出している、利益を稼いでいる」とカネ・数字に強く拘る人間には、カネ・数字の面からパワハラを理解してもらうほうがいいかも、と思うときがあります。

「あなたが稼いだと主張する利益は、あなたがこのままパワハラを続けるとパーになる」

相手の思考回路にはまる説明をするのが一番伝わりやすいはずですが、これはこれで少し問題ありますかね。