2015年03月08日 14:11

拾い読み以上熟読未満 ジュリスト3月号から(2)

 (2)です。引き続き特集「企業法務における消費者法」から。

 ジュリストに限らず、消費者法等消費者関連の記事だと、どうしても企業/消費者の立場を分けて論じられる構成になるのは仕方がないとしても、読後にもやもや感が残るのはなぜでしょうね。

 適格消費者団体の副理事長を務められている片山登志子弁護士の「企業と消費者の真の信頼関係を目指す」。意見・主張はわかるのですが、企業と信頼関係を構築することをめざしましょうといいつつ、消費者は「自立した主体」、積極的に事業者を選択し淘汰する存在だと切り出されて、身構えない企業担当者はいないでしょうなあというところ。

 前述の片山弁護士の論稿とACAPの方の「「消費者教育推進法」と消費者教育への取組み」を読みながら思ったのは、ところで「消費者」とはいったい誰のことを指すのだろうと。
 企業に勤める「ビジネスパーソン」もいまや老若男女さまざま。1日24時間ずっと「消費者」の立場にある人は、学生か専業主婦、完全リタイアしたシニア世代ではないでしょうか。ビジネスパーソンは事業者の立場、消費者の両方の立場を1日の間に何度も行き来しているわけです。ざっくりと「消費者」で一括りするのはどうも違うのではないかと思うのです。(自分は「事業者」「消費者」などと顔も名前もみえない存在に扱われることに抵抗があるのですよ。)




 


 

 さて、企業法務担当者は消費者問題にどう向き合うかということですが。
消費者問題の対応を一歩間違えれば、企業体としての存続が危ぶまれるのはいうまでもないところ。
わざわざここで自分がどうこういう必要はないかと思います。

 ところで消費者対応については、企業内部ではもうひとつのリスクが顕在化してきています。
今回の特集で消費者契約・約款についての記事を執筆された森大樹弁護士が、BLJ2015年1月号の特集「部門別リスク分布図」の「顧客対応部門」の稿の冒頭 で言及されています。

顧客対応部門を取り巻くリスクは、近年高い水準で維持されている。特にハードクレーマーからの長時間かつ執拗な苦情電話等によって窓口担当者がうつ病などの精神疾患を発症して休職を余儀なくされている企業も少なくない。

これです。
疾患、休職という例は幸い自分の勤務先ではまだありませんが、ハードクレーマー対処の相談件数は増えています。
そしてこのハードクレーマーがいわゆるプロの筋の人という事例よりも、ふたをあけてみたら普通の企業勤めや役所勤めの人だったという事例のほうが多いのです。決まって「【消費者】をなめているのか」とうなります。
 法務担当者は企業の消費者対応の舵取りだけでなく、その従業員の身の安全もはかるという役割も求められる時代になりつつあるのだと実感しています。



 

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