2015年10月24日 13:47

請負(うけ負け)と性善説のようなもの(加筆修正)

 横浜のマンションの件は話がどんどん拡大してきて、道筋が混沌としてきた感があります。
当該下請業者が巨大企業グループの子会社だからなのか、もっぱらそこだけが叩かれていますが、本来監督責任のある元請や一次請負の姿が全く見えないのが不思議です。まだ表に出て来ない、出せない調整が続いているのかと勘ぐってはまずいのかな。これが下請業者が小さな土木会社だったらどんな扱いをされたのだろうと思います。

 数次に渡る請負関係と上位請負者が絶対的に権限を持つ、請け負ったら報酬といい工事期間といい泣きながらでも守らなければならない、「うけおい」ならぬ「うけ負け」というのは今更いうまでもない建設業界の構造です。一方、負けさせ、泣かせながらも、組下の業者がまさか偽装や不正を行うことがないだろうと思い込んでいる元請と(現場ごとに協力業者会が作られますからね)、請け負った以上はきっちり仕事をするのが職人(プロ)だと我慢する下請、こんな前提があったような気がしますが(あくまでそんな気がするというレベルですが)、今回の一件はこの前提(ある種の性善説のようなもの)を吹っ飛ばしてしまったと思います。

 元請からの工期厳守、品質厳守のプレッシャー(請負金額減額ということもあるか)が原因なのか、当の現場代理人個人の問題なのか、真相にたどりつくのを待つばかりではありますが、もし元請(発注者)からのプレッシャーが原因ということだと建設業界に限った話ではないですよね。不正のきっかけに発注者、上司からの過度のプレッシャーを挙げるパターンは珍しくもないですからね。
 鬼の首を取ったように騒いでいるマスメディア業界も多重請負の世界なので、あまり他業界のことはいえないだろうと思ったりもしています。

 請負業者だからまさか不正・偽装はしまいという前提で無理を強いれば手痛いしっぺ返しが来る、これが発注者だけに返ってくるなら自業自得で済みますが、企業の仕事というのは第三者を巻き込むというリスクがついて回るのですから、発注者はその責任の重みを常に意識していなければならないということでしょうね。

 それにしても、この事件を受けてまた確認申請や杭打ち検査、工程管理や下請管理の厳格化ということになると、諸々つまづいている東京オリンピック関連工事に及ぼす影響が懸念されますね。


 ところで週刊誌やメディアの見出しで「傾斜マンション」「傾きマンション」と文字が躍っていますが被害者である居住者への配慮が不足していると思いますよ。






 

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