2016年01月16日 23:47

読んだ本 企業不祥事の緊急事態対応「超」実践ハンドブック

 「すべての企業で不祥事は起こる!」と目に眩しい黄色系のオビが巻かれた書籍『企業不祥事の緊急時対応「超」実践ハンドブック』。レクシスネクシスとエス・ピーネットワークによるミドルクライシスシリーズの第4弾です。
 企業の事故・不祥事が相次ぐなか、危機管理対応に関する書籍や記事を目にしない日はありません。しかし、こういう状況においても「ウチの会社に限って」と思っている企業や企業経営者が少なくないと思います。この手の書籍は大型書店でも「法務」コーナーに積まれていることが多く、経営層あたりが立ち寄るであろう「経営」「ビジネス」のあたりには置かれているところはあまり見たことがありません。ひょっとすると経営者には書籍の存在すら知られていないかもしれません。うーむ。

 それはさておき。
 危機対応の専門家がまとめた本書は緊急事態の「その日」に企業はどのような状況に置かれそして何をしていかなければならないか、第1部では誰もが知っている実例(成功例と残念な例の両方)、第2部では緊急事態対応の基本と実践について、「現場」の実務が進むことを最優先としてコンパクトにまとめられています。巻頭の「チェックリスト」や本文の要所要所に挿入される図表やチェック項目は、そのまま活用できると思います。(日頃からの準備ができていない状況ならなおさら)第2部のほとんどを占める第7章は微に入り細に入りで、ポイントとして監督官庁や制度が要因となるケースを挙げている点、対策にあたる従業員のメンタルケアに触れた点など、さまざまな現場を押さえているなあと思いました。

 とはいえ、この本書に書いて有る事をやれば十分ということではないことはいうまでもありません。
 企業の緊急事態対応に対する満足度(というのが適切かどうか)の基準は当該企業が決められるものではなくマスコミ含めた世間が決めるもの。この点が緊急事態対応の難しさだと思います。
 そして、ここ10年ほどの企業の不祥事対応の事例のストックや本書のような「危機管理ハンドブック」の存在は、満足度の水準を引き上げているように感じます。ときに過剰とも思える報道があるのは、期待値が上がっているからではないでしょうか。

 ところで、本書のようなハンドブックは大企業を想定して書かれたものが多いですね。不祥事を起こす企業は大企業ばかりではありません。大企業以外の企業では法務、広報、渉外といった専門職部門がない方が多いでしょう。そのような企業の緊急事態対応にフォーカスしたものもあるといいですね。





 

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