2016年01月24日 17:45

現在地のガイドブック 『消費者取引の法務』

 寒いですね。庭先の雪が融けきっていない東京・北多摩です。

 消費者の目線を忘れるな、の目線で物を考えろ、モノづくりをしろと日々掛け声がかかる昨今でありますが、経営企画や設計、製造、総務、経理などの部門は日常業務が消費者取引のどの部分に関わっているのかすぐにはイメージしにくいのではないでしょうか。販売部門でも、訪問販売や店頭に立ち直接消費者と向き合っている販売員以外は消費者取引とは無縁です。
法務、コンプラ部門だと消費者やその側に立つ人を顔を合わすときは、あまりよろしくないケースです。
自分のところに話が上がってきた瞬間にそれまで「お客様」だった存在が「消費者」とか「使用者」という存在に入れ替わるので、なんといってよいのやら。

 それはさておき。
 森・濱田松本法律事務所編「消費者取引の法務」 。昨秋、刊行されていたのを手に取りました。
編、なので章ごとに執筆される弁護士が異なります。一人の弁護士が執筆しきれるテーマではない、ということですね、多分。
 章の構成は第1章から順に表示、不当勧誘規制、約款・利用規約、パーソナルデータの活用・セキュリティ、景品規制、製品の安全性確保と事故対応、消費者団体訴訟制度、消費者取引と取締役の責任、の全部で8章。順に関係なく実務に関わりに深い、「製品の安全性確保と事故対応」あたりから読みました。
 各章ともそれだけで何冊もの書籍、論文諸々があるテーマですので、本書一冊を読めばそれで十分というものでないことはいうまでもありませんし、著者サイドもそこまでは考えていないと思います。
範囲が広大で、また業種業態によっても事業者の立場や義務、責任が様々な消費者取引に関わる法務の「現在地」のガイドブックのような存在の一冊ですね。
内容は企業法務担当者なら前置きなしで読めるものですが、これをどのように現場に噛み砕いて伝えるか、それが課題だなあとぼやきつつ付箋を貼っている週末でした。








 

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