ジュリストNo.1497特集「震災の企業法務」。すでに企業法務戦士さんがエントリーにあげていますが、非常に読み応えがあると同時に日頃の業務の緩さを反省させられる内容でした。

 勤務先は5年前の東日本震災と一昨年の雪害で少なからず事業活動に影響が出たのですが、後者の時に
弁護士から指摘されたのは「東日本震災以降、不可抗免責のハードルは上がっていますよ」ということ。
あの震災を経ていながら、生産設備の耐震診断・補強を実施していない、サプライチェーンの見直しを図っていない というような場合、その企業はリスク管理に真剣に取り組んでいない、不作為があると判断される可能性がありますよ、災害の規模まで予測できないし、完璧な対策というものはないにしてもやれることはやったのか、免責を主張するにはその点を証明できますかというような話でした。
たしかに指摘の通りで、東日本に拠点を置きながら「何もしていませんでした」では理解を得られない可能性は高いかもしれません。

 不可抗力免責事項が契約書に設けられていればなんとかなる時代は終わったというのが実感で、新規の契約では不可抗力事由の発生報告義務や契約解除まで織り込むなどの提案はしてみるものの、
事業の現場では「喉もと過ぎればなんとやら」なのか、「ネガティブ思考」と取られるのか反応はまちまち。そこは理解、納得してもらうしかありませんね。

(ここから加筆)
 さて、実際に過去の災害時に法務担当者はどうしたのか、広報も兼ねているよろず屋の場合。
 販売の現場からは、被災と納品遅延の謝罪を入れ、かつ免責の文言を入れた文書を出して!と悲鳴に似た依頼が入ります。荒っぽい業界ならではのものなのかもしれません。一方、経営陣の中には被災した事実をあまり公表したくない、という人もいます。それなりに何かを守りたいのかもしれません。
 ひと昔前であれば販売先に事情説明の文書を配布するだけでよかったのかもしれませんが、今や企業ホームページで企業情報を確認される時代です。「ホームページに載っていない」となると会社の公式発表ではないだろうと現場の担当者が責められることもあるわけです。災害時においても「公表するリスクよりも公表しないリスク」の方が大きいのです。ホームページでの公表と同時に文書と弁護士の意見を確認したQ&Aを現場に配布まででひと段落というもの。
 しかしこれは被災の規模が致命的なものではなかったからこの程度で済んだというもの。
 事業所閉鎖や事業撤退まで検討しなければならない被災規模の場合、自分は何ができただろうか、できるだろうかというのはずっとモヤモヤと残っています。

 震災だけでなく、ここ数年顕著なゲリラ豪雨、巨大台風といった自然災害リスク、それだけでなく海外でのテロ、内戦と、「不可抗力」事由が続発する時代。予防法務の重要性をもう少し啓発する動きが必要ではないかと思います。