過日、レクシスネクシスさん主催の山口利昭弁護士のセミナーを聴講したのですが、そこで思ったことを少し。

 企業は人間の集合体なので、過ちや不正の発生をゼロに抑えることを理想やスローガンに掲げても、実態はそうはいきません。予防法務をおろそかにするわけではありませんが、発生した場合にいかに迅速に対応するか、というところに軸足を置かざるをえないというのが現実的なところかもしれません。

 組織に能力のある「オオカミ少年」が必要、企業法務がその役割を担うという主張は企業法務担当者にとって共感できる部分がありますが、はたして。

 「大変だ、大変だ」と騒ぎ立てる目明しのような渉外担当、指摘する事項はもっともだが、どこか上から目線で「べき論」だけ展開するコンプラ担当(役員含む)など、これまでも様々な人物を目のあたりにしてきましたが、人材・人員豊富な企業であればともかく、そうでない企業では「言いっぱなし」「汗をかかない」人間は特に疎まれるもの。正しい指摘であろうとも受け容れられなければそれまで。リスク情報を感知するセンスやどこからか情報を仕入れてくる術と、その情報を活かす先(必ずしも上司とは限らないし、社長とも限らない)を確保する術を身につけていかないとリスク管理担当者(法務含む)は厳しいと思った次第。
 一方このような人間はやはり経営陣からは好まれないだろうもと思います。「まあまあ、今わが社には事情があってだね。」と懐柔しようとしても難しそうですからね。有能なオオカミ少年は多分上にとっては可愛くないはず。尻尾を振ってくる犬は飼えても、なつかない狼は飼えませんからね。また経営陣が誰を重宝している、煙たがっているというような情報は組織内に案外広まっていくものです。仮に物分かりの良い経営陣が有能なオオカミ少年を認めたとして重用されてもそれはそれでまずいなとも。法務やリスク管理担当者は組織の中で色付けられたら終わりだと自分はそう思っていますので。
結局経営陣には役割を認めさせて一定の距離を保つようにするか、日頃は羊の皮を被り、あるいは昼行灯を決め込み経営陣や社内に必要以上の警戒心を抱かせないか…

 ともかく企業法務(リスク管理)は神経を使い思い悩む業務であることよと改めて思ったのでした。