また売られるわけではありません。まあ、少し前に話題になったTBOに関して思ったことの断片。

 上場企業に入社したばかりの頃は、自社の株価が上がっていくことはマーケットが評価してくれたのだろうと単純に思っていました。幸せなものです。
 20年後、勤務先の株式譲渡が決定したとき、売却予定価額の高さに唖然とさせられました。その何年か前に吸収合併された上場同業者の価額をはるかに上回っており、何がどうしてこんな価額になったのだろう、その価額で買おうという買主は何を考えているのだろうかと。

 事業会社による買収は対象会社や事業をいずれ一体化するのですが、(長期ホールドが目的でない)投資ファンドによるものは概ね5年以内に「出口」がやってきます。取得時の株価が出口戦略の足かせになる可能性もはらんでいるわけで。
 投資家からすれば高い目標を掲げ対象会社の経営に携わり短期間で企業価値を高めてもらえればそれに越したことはありません。対象会社も短期間で急成長できれば良いのですが、さて。

 IPO準備の際に主幹事証券の公開業務担当者からいわれたのは
「あまりに冒険的な事業計画だけでは投資家は評価しませんよ。年次計画を確実に達成し徐々に右肩あがりの事業計画を策定することです。」
 出口に向かって下駄をはかせた事業計画は、見る人間が見ればすぐに「実態と乖離」とばれてしまいます。

 対象会社側も、自分が所属する事業領域の成長性や自社の立ち位置、実力値はわかっているものです。
根拠に乏しい買値を付けられると、その大株主に対する信用というか信頼というものは生まれない、何を仕掛けてくるのだろうと警戒心を抱くだけになります。

 売れればよいのか、高ければよいのか。
「そうとは限らない」ときっぱり回答できればよいのですがね。