たまには自分が棲息している業界ネタもインプットしなければと思っていたところ、ジュリストで「不動産法の最前線」が4月号(#1504)から連載開始。
 第1回目は「既存住宅におけるインスペクションの導入(宇仁美咲弁護士)」でした。

 10年以上前、隣家(正確には実家裏)が売りに出たので、家族中の金を集めて現況で購入しました。実家と同時期に販売された建売住宅でその時点で築25年を経過していましたが、住宅を買うというよりは地続きの土地を買うほうに重きを置いていました。したがって建物の傷みは承知のうえ。隣人がどのような住まい方をしていたかは知っていましたので覚悟はしていました。しかしいざ入手してみると予想以上の傷み方だったので、1年もしないうちに改修工事の手を入れました。

 住宅ストックの活用が叫ばれるものの、なかなか中古住宅の流通が進まないのは「中古住宅の品質がはっきりしない」「買ってからさらに費用がかかるのは困る」 ということが大きいでしょう。同じ「中古」でも自動車は整備記録が付いているのに、自動車よりはるかに高いにもかかわらず住宅はきちんとした記録がない、販売業者の説明も初めて家を買う消費者にとってはわかったようなわからないような。
 2009年から始まった「長期優良住宅」制度を適用した住宅は「住宅履歴情報」の保管が義務付けられていますが、現時点でそれらの住宅が中古市場に出回る時期とも思えません。

 改正宅建業法で「インスペクション」が導入(2018年4月1日施行)されることで、「インスペクション」という用語の定義、取引過程での位置付けが明確になることは、中古住宅流通にはプラスになると思いますし、プラスにしなければならないのだろうと思います。本文記事「Ⅲ 残された問題」で指摘された点のほかにもまだまだ課題は残ると思います。質の高いインスペクション業者の育成も必要ですし、業者が利益を上げられるようにしないと制度は維持できないでしょう。

 業者として、あるいは消費者としてリフォーム工事に関わった身からすると、解体してみないと本当のところはわからないというのも既存建物なのですよね。インスペクションは既存建物の品質の一部を証明する手段ではあっても、よくあるリフォーム工事紛争の特効薬にはなりきれないでしょう。
中古住宅流通の活性化ためのハードルを下げるのは容易ではないというのが実感。