BLJ3月号拾い読みです。例によって本特集ではなく実務解説から。
 地味に厳しい「消費税転嫁対策特別措置法への実務対応」大江橋法律事務所の石井崇弁護士の寄稿。

 前回の消費税増税からまもなく5年。人事異動などで前回増税対応に当たった担当者がいなくなっていたり、前回はまだ社会人ではありませんでした!という若い担当者もいると思います。長年企業勤めをしている身でも事業年度途中で増税月を迎えるというのは初めてのことなので、増税(決定はしていないけれども)まで1年を切った年明けに「アラーム」を鳴らしていただいたと思います。

 消費税特措法の概要についてここで触れることはしませんが、守られていなかった場合には下請法以上に形式的にバッサリと指導・勧告などが下されると認識していたほうがよい、といい遺した法務担当者がいました。
 本記事47ページの図表3、4で取り上げられている対応状況や措置件数をみると前回増税時に増強された「消費税Gメン」が活躍し一定の成果をあげたということがいえそうです。そうすると次回の増税時にも消費税Gメンが活躍→企業調査を実施するのはいうまでもなさそうですね。

 消費税Gメンがどのような調査を実施するのでしょう。このエントリーの読者にも調査を受けたことがある方もいるかもしれませんが、先ほどの企業法務担当者によると次の様子。
 1.中小企業庁から調査実施と協力依頼の通知が届く。依頼といっても指示命令と同じ。
 2.調査日程の調整と調査日までに揃えておく書類の指示がある。
   ⑴ 調査対象とする拠点・取引範囲とそれに関わる特定供給事業者の名簿
   ⑵ 特定供給事業者との基本契約書、契約単価とその根拠、価格取決めの協議記録
   ⑶ 会社概要、直近3年間の決算書、直近1年の消費税申告書
   ⑷ 増税6ヶ月前までに特定供給事業者に対して発信した通知文書、電子メールの類
   ⑷ 増税前6ヶ月間の取締役会等重要会議の議事録
   ⑸ 増税前後数ヶ月の総勘定元帳

 これらの資料でほぼ取引の内容・支払額をGメンが把握します。
⑷は何のためかというと消費税増税前に会社経営陣が社内に特措法の周知を然るべく対応を取るように指示しているか、あるいは特措法に反するような指示命令を出していないかの確認のためのようです。会議資料の中に法務主催の特措法勉強会の資料などがあるといいですね。
 通知から概ね1ヶ月以内にGメンが実査に来ます。実査の規模にもよりますが、会議室を数日間使用しての実査になるようです。付きっきりで対応する必要はないようですが、呼ばれたら会議室に飛んでいかなければならないところは会計監査人監査やDDのときと同じ、のようです。
 
 本文47ページ図表4にあるように、圧倒的な措置件数となっているのが「買いたたき」。
悪質な買いたたきだけでなく「うっかり」という事案も含まれ、何らかの諸事情があったとしても何のエビデンスもなく増税前と同価格での取引が続いていると「我々としては買いたたきとせざるを得ないのです。」とバツをつけられるとのこと。本文48ページ(1)買いたたき❷に書かれていますが、日頃から下請法や建設業法などに従い取引業者との価格取り決めに神経を遣うことに慣れている購買部門や工事・営繕部門は心配なく、案外人事総務部門で「うっかり違反」があるんだよね、と前述の法務担当者がぼやいていました。例に挙げたのが借上社宅や駐車場の契約相手が町の小規模以下不動産業者や個人の地主のケース。なるほどですね。相手も細かなことをいってきそうにありませんが、それで許されるわけではありませんしね。

 年度途中の増税ということで、取引価格について年間単位で契約している取引先、毎月定額支払いとしている委託先など多数ある会社は春先から準備に入ったほうが良さそうですね。
 Gメンが来てからでは遅いのです。