2月25日付で東京商工リサーチが発表した企業倒産調査によると、2018年の負債1000万円未満の倒産は3年連続で前年を上回る521件。このうち人手不足関連は31件、うち代表者の病気・死亡による後継者難によるものが27件、とのこと。

 BLJ4月号の特集は企業法務担当者が心躍らせる?「M&A」特集。今回は「コンパクトM&Aの対応実務」。先月号の実務解説「カーブアウトM&Aの法的留意点」に続いての特集です。読者の需要が高いのでしょうね。

 大掛かりな企業買収・合併というよりは「カーブアウト」のような事業部門の切り出しと売買、中小企業の事業承継といったケースに備える方が企業法務担当者としては現実的かもしれません。直近でも同業他社がとあるサプライヤーの親会社との間でカーブアウトM&Aの手法で、まんまとサプライヤーを完全子会社に収めた事例がありうまいなあと感心したことがありました。(いや、実際は感心している場合ではないのですが)当該企業の渉外担当者曰く「弱ったところを狙って安く買う、いつもの手」とのことでしたが、こういう企業の法務担当者はどのようにM&A業務に対応しているのでしょうね。

 取引規模が大きくないM&Aでは、DDを大手法律事務所や会計事務所に丸々託すわけにはいかないでしょうから、買主企業の法務担当者の関与する割合も大きくなると思います。ではどうすれば?というのが今月号の特集の趣旨なのでしょうか。この点ではTMIの佐藤義幸弁護士の「法務デューデリジェンスにおけるメリハリの付け方」が的を得ているように思いました。この記事と先月号の「カーブアウトM&Aの法的留意点」を合わせ読むと「コンパクトM&A」での法務担当者の仕事のありようというものが掴めると個人的には思いました。取引額は大きくないが売買の対象事業(対象会社)を従前と変わりなく運営していくために諸々のコスト発生、ということがカーブアウトではありますからね。

 M&Aの記事というとどうしても横文字が多くなりますね。活発に企業買収に投資をしている産業がIT系や金融系であることもあるのかもしれませんし、ファイナンス用語は日本語に置き換えられないという事情もあるとは思いますが、本当に「コンパクトM&A」を必要としている層はどこなのかということを考えるとどうももやもやとした思いが残ります。
 自分が今いる業界(そして勤務先)の事業は裾野が広く、冒頭で引用した事業承継に行き詰まる可能性がある小規模企業がサプライチェーンを構成しています。
 (法務担当者がいるわけがない)小規模企業の存続の手段としては「コンパクトM&A」が一つの手法なのですが、法律雑誌に掲載されるだけでは必要なところになかなか届かないのですよね。