過日参画している事業者団体の会務の一環で、国交省所管団体のうち関連の深い事業者団体で構成している連絡協議会に出席しました。内容は講演二本立てだったのですが、ひとつが著名な消費者団体の常任顧問の方によるものでした。その講演の内容が印象的なものだったので、備忘録代わりに。

 テーマは「長期使用製品安全点検制度」。本ブログでも何回かネタにしている制度です。
この制度は消費生活用製品安全法を支える制度として2009年に定められたもの。今年から本制度に定めた製品安全点検がスタートするのですが、制度上「製品の点検義務」を負う消費者への認知・浸透が進んでいないため、製造事業者が点検する製品の数量が非常に限られている状況になっています。(本制度上、制度について消費者に対する説明義務を負っているのは流通などの「販売事業者」なのですが、制度の検討段階から我々事業者団体が危惧していたとおりだったといえばそれまで。)
 こういう制度をネタにする以上、事業者に対して厳しい内容の講演になるかと少し身構えていたのですが今回はトーンが違っていました。
 消費者法というとか弱く保護すべき消費者のため強者たる事業者に対して厳しい義務を追わせるという面があります。確かに消費者を喰い物にする悪徳業者はいますが、そのために真っ当な商売をしている事業者がとばっちり(さらに規制を受ける)を受けるという構図があるというのが正直なところ。しかし、時代が変わり「消費者像」も変わりつつあります。

 今回の講演で印象的だった点は二つ。
 一つは「もはや「私使う人、あなた作る人」の時代ではない。」というコメントが消費者団体側から出たこと。インターネットが進み誰でも起業家になれるし、CtoCビジネスも活用する、シェアリングエコノミーやリノベーションなどの「中古品に抵抗感がない」という世代が社会の中心になる時代に、自事業者・消費者とを対立する関係に「放置」していても、「消費者市民社会」には辿り着かないという点。
 二つめはインターネットによる「中抜き社会」では、消費者と事業者とをつなぐ新しい関係性の構築が必要という点。
 なぜ「長期使用製品安全点検制度」が消費者に浸透させることができなかったかという点に戻りますが、製造事業者と消費者との間に入る販売事業者(対消費者という点では住宅事業者や住宅販売事業者や地域の工務店等も含まれますが)がその役割を果たせなかったところがあります。個人的にはそもそも「ないものねだり」だったと考えています。制度を検討していた2007年から2008年ごろ、所管がどこまでネット社会の進展を想定していたかはわかりませんが、取引構造に忠実に「中」を入れてしまったのが響いているように思います。
 消費者は販売事業者からの情報提供の有無によらず、必要な情報はネットで自分で収集できる存在になりつつあります。製造事業者(特に製品取引の最後がtoCになる事業者)は、販売事業者に求める役割を本気で再考する時期を迎えていると思いますね。