2020年02月23日 17:47

dockとaudit

 まだ最新号が届かないので(笑)、BLJ3月号の気になった記事から。

 実務解説「法務ドックのすすめ」、ベンチャーラボ法律事務所を立ち上げた淵邉弁護士の記事。
 動きの活発なテック系ベンチャー企業を念頭に、定期的に「法務ドック」を実施して企業リスクを早期発見・治療しようという内容として読んだ。
 内部監査とは「人間ドックの企業版だから」といい、今年バツがついたら次回までに改善に取り組みマルにすればよいのだ、というのは某親会社内部監査室長。内部監査に過度に警戒(?)する必要はない、という文脈での話でそれなりに共感もしたのだが、今回のタイトルに「ドック」という文言があるので引っ掛かった次第。

 法務と内部監査といえば「ビジネス法務」にて2019年5月号から8月号にかけて弁護士・公認会計士・公認不正検査士である樋口達弁護士が「法務部に伝えたい実効的内部監査のコツ」を連載していた。こちらの記事は「内部監査体制」が確立している企業の法務担当者向けであった。内部監査メンバーに参加するとき、または内部監査で不正・不祥事の端緒を掴んだ後の企業法務担当者の関わり方というもので、今回の「法務ドック」記事が対象とする企業とは異なる。

 内部監査の対象は、基本的にモノ・カネの動きに関わる部分である。モノ・カネの処理について規則・基準が設けられているか、それらから外れた処理をしていないか、規則・基準が形骸化していないかといったもので「会計上」の不正リスク発見・回避に軸足を置いている。ただ企業によって「内部監査」に対する考え方は異なる。広くリスクを発見するという目的で内部監査に法務や労務の担当者が参画することもあるだろう。自分が法務担当者として内部監査に参画したときは、「組織風土」の確認や許認可の取得状況、必要な資格者の登録・届出状況の確認といった内容で組織運営上・事業継続上のリスクの有無の確認を実施していたし、監査部門に軸足をおいた今もその方法を変えるつもりはない。今後はむしろもっと関わることになるだろう。

 本記事が「監査」に言及していない事情は、対象がスタートアップ企業だとしても我田引水と感じたところもないわけではない。会計系の「監査」に対して、法務系は「ドック」でいくという狼煙なのだろうか。法務から監査に移籍する自分からみると監査とドックを並立させる必要があるのかと思わざるを得ない。

 ただ記事の内容は自部門の業務運営上大変参考になったことは申し上げておく。

 


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