2020年07月05日 18:20

業務の管理、感情の管理

 7月。今年も折り返し地点を過ぎた。依然として先の見通せない環境だが、それでも日々の仕事は回していかなければならない。

 階層別研修のうち(比較的)若手中間管理職対象のものを実施するということで、法務コンプラの時間を割当てられた。何を希望されているかといえと、ハラスメントと個人情報保護という雑駁なもの。時間が限られているので、中間管理職が踏みそうなリスクという点でハラスメントに絞ろうと考えてはいるもの、というのが今回のエントリ。

 いわゆるパワハラ防止法施行されたことの周知やパワハラの定義と通りいっぺんのことを説明するだけで済むのなら悩まないのだが、実際に「パワハラ」という名目で内部通報や相談を受け付けている側からいうとそう簡単ではない。ましてコロナ禍の対応でようやく在宅勤務の定着化に着手した状況である。「目の前で業務の状況を確認できない」ストレスを抱える中間管理職が今後増えていくだろう。
 メールやWeb会議で定期的に業務連絡を交わすにしても、①相対して話すのと同じレベルを保てるのか ②そもそも相対で話していても、うまくコミュニケーションを築けていない場合はどうなるのか、という懸念もある。気に入らない、ウマの合わない上司や同僚、部下メンバーと顔を合わせる機会が減るからトラブルも減るとは到底思えない。
 感情的な発言をなくし、「ちょっとこれもやっておいて」という曖昧な業務もなくし、理路整然とした「業務」の指示命令を出しその成果に対してフィードバックをしていれば、「業務上必要かつ相当な範囲」に収まる、と中間管理職に注意しておけばよいものだろうか。

 「業務上必要かつ相当な範囲」とはどのようなものか。
「働く人のための感情資本論」(山田陽子 青土社)の第5章「パワーハラスメントの社会学」ではパワハラが「業務」(一見、被害者に利益が生じるようにみえる仕組み)の名のもとに正当化される可能性が挙げられている。考え抜かれたはずの企業の業務ルールや制度も出先の職場での使い勝手によってはその目的から外れていくことがある。職場やその管理職の問題ではなくルールや制度の設計(本社部門)の問題、ということにもなるかもしれないが、では出先の管理職に責任はないということにもできないだろう

 そして「感情の管理」
 自身の感情をうまくコントロールができないが故に、ハラスメントの加害者側に自らを立たせてしまう事例もいくつか目にしている。個人の感情に法務やコンプラ、内部監査の担当者が無造作に踏み込むことはすべきではないと思う。目を赤くした当事者の「じゃあ、どうすればいいのですか」という問いに適当に答えることはできない。
 全く感情を排した指示命令や指導、そして相談報告というものが果たして「部下・メンバー」の人材育成につながるのか、中間管理職にとってもその先があるのか。

 時代が変わりつつあるなか、階層別研修での法務コンプラ研修もその姿を変えざるを得ないということを噛みしめている。

 

 

 

 
 


 

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