企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

人事労務


働き方?働かせ方? Business Law Journal 2018年9月号から

 夏季休業に入っている方がほとんどだと思います。休業期間の取らせ方、期間の長短って業界・業種・各企業の考え方が割とでるところですよね。「えっ、それしか休めないの?」と人使いが荒いと知られる同業者にも引かれたアカウントがこちらです。

 BLJ2018年9月号の特集「2018年通常国会改正法の影響度」。
 著作権法、不競法、消費者契約法などよくよく押さえておかなければならないのですが、勤務先の状況からみて急がなければならないのは労基法・労衛法の改正。
 衣食住に関わる業務は、顧客・ユーザーが「休日・休業」の時が掻き入れどき、交渉事のチャンスという点となります。衣食など店舗販売系の事業であればともかく、「住」の事業は顧客・取引先の事情に左右されることも多く、仮に自社が「シフト勤務制」をひいていても取引の下流がしわ寄せを吸収する構造ではなかなかままならないということもあります。
 とはいえ改正法の中身は業界固有の事情を言い訳にできるものではありません。労務問題はことが起きたときに業績に与えるインパクトやレピュテーションリスクが小さくありませんので、今回の改正には経営側は本気で取り組む必要があるでしょうね。
 人事労務が主体の取組になるでしょうけれども、法務がこの問題にどこまでどのように関わるかということになりますが「法令遵守」を唱えているだけでは意味がないのはいうまでもありませんよね。
 もはや当然のようになっていて経営陣含めて誰も気にしていない、そして本人たちも(これだけかかっているという)声をあげようのない業務コストがあるとします。リスクの塊ですよね。そういうところに光を当てていくことができればと思うのですが。


 
  

君がここにいてほしい

 ヒプノシスによるジャケットデザインを想起しながら。

 某TL上でアンケートやらツイートがやりとりされたのを見て考えたことを。

 自分は未経験から社内人事異動で企業法務(とその他諸々)の職についています。いうまでもなく弁護士資格はありませんしロー卒でもありません。(そもそも法科大学院制度がなかったからね)
もし自部門に経験者やロー卒の方が異動なり中途採用で入ってくることは大歓迎であります。有資格者にいたっては三顧の礼でお迎えしますよ。基本的には。
しかしそうは甘くないのが現実で、募集をかけても応募者がこない!ということもあります。
当面未経験者を育成するしかなくなります。
 ここで困るのが、自身も未経験法務担当でしたが異動に際しての動機付けも一切なく、異動後に企業法務なるものを教わったこともないことです。退職間際の前任者から教わったのは袋とじだけといってもよいくらいでしたからね。(それも知っていたけれど顔を立てて「へえ、なるほど」と頷いていたのですが)こんな自分が未経験者を迎え入れざるをえないとき、どんな人物だったら未経験者でも受け入れるかわりと本気で考えてみました。(法務への異動を受け入れてくれることが前提ですけれどね)

  1. 新しい物事への関心、好奇心の強さ
  2. 複眼視点を持てるか
  3. 期限管理にクセがついているか
  4. 失敗体験(個人の、というより関わった事業の失敗)
簡単にまとめられるものではありませんが、どうしても外せないのはこの4つでしょうか。
 1.はこれまでと違う仕事につくのだからこれがないと話になりません。アップデートのスピードが速まっている感のある企業法務界隈。好奇心がないことには始まらないでしょう。
 また事業部門や販売部門から新しい取引の相談を持ちかけられたときに、なんの興味も持たず聴かされた話だけで済ますようなことでは困ります。物事への関心が低いことはデメリットやリスクの見逃しにも繋がりますしね。
 2.は複数の立場の目線で考えるようにしてね、ということです。販売の仕事を除けば、特に内勤業務の場合、案外自分(自部門)の都合の押し付け合いというところがあります。ひとつの取引をまとめるには相手方は当然ですが社内の関係者の視点も取り込んでいく必要があります。(事業部や営業担当者は往々にして前のめりですからね)すぐにはできなくても、別の視点で考えてみようという姿勢をもっていてほしい...のです。
 3.は当然といえば当然なのですが。期限から逆算して仕事をする習慣がついていない人も実際いるのですが、そこから教えるのは正直しんどい、という気持ちからです。
 4.はなんといえばよいか。成功体験も大事ですが企業法務の仕事の性質上「失敗」に関わることもあります。成功したことしかない人間はそれに耐えられるだろうかというのがひとつ。失敗・撤退を知る人間はそのプロセスを(体験として)知っています。2.の複眼視点ではありませんが、リスクの目を摘むことができるかもしれません。もし撤退戦を強いられる事業部門があればその部門の人間に寄り添うことができるかもしれない、そういう思いから。

 うーむ、難しいですね。ないものねだりはしたくないのですが。お前はどうだったのかといわれると困るのですがね。
 

どこまで労務に関わるか

 諸々インプットが滞っています。あくまで自分が取り込みたいと思う情報が、という意味ですが。
これまで多少の領空侵犯にとどまっていた労務領域がのっぴきならなくなってきたというのが理由。

 「働き方改革」の旗が振られていますが、労務管理については労働当局の考える方向性と自社の労務管理の考え方の「ズレ」を把握しないことには話が進まないという感触。

 社員の年齢構成が逆ピラミッドになっている組織では、働かせる方も働く方も(不平不満が自分でも気づかず澱のようになっているとしても)自分が入社した20年、30年以上前の感覚のままなのかもしれません。始業の30分前にデスクに着く、設備稼働の15分前にラジオ体操をして10分前に製造ライン前で朝礼をして、残業代は勉強代と相殺等など、課長代理になったら非月俸。たとえばこんな具合。自分たちも理不尽と思っていたはずなのに下の世代には同じことを強いる。下の世代が入ってこないことが常態化した組織ではずっとそのまま。そして、ある日労務リスクが発生するわけです。入退室時間、労働時間の管理範囲、管理者・管理監督者の定義を詰められます。
「え?昔からこうしてきたのに」と呆然…なんてことになってからでは遅いということで。

 労働訴訟となれば取締役の会社法上の忠実義務、善管注意義務違反が問われますから、法務担当も労務管理は「人事労務の領域」と知らぬ顔はできません。また裁判の勝敗にかかわらずレピュテーションリスクにも向き合うことになります。訴訟提起されたこと自体が問題視されますからね。
 ということで、ここ1ヶ月ほどは分厚い2冊の本のページを繰っている時間を増やさざるを得なくなりました。これも大事なインプットではありますがね。

 中段の話に戻りますが、自分は30年以上前のマネジメントを味わっているのですが、下の世代に自分たちと同じ経験を強いるという感覚は理解できないんですよね。同世代にわりといるのでわけがわからない。しなくて済む経験はしないほうが良いわけで、逆に下の世代が10年、20年前と同じ経験を繰り返している(繰り返させている)としたら、その企業(経営者や管理監督者)や業界はなんの進歩もしていないと猛省すべきだと思いますね。
 といってしまう手前、労務からは逃げられないと腹を括るしかないか。




   
プロフィール

msut

QRコード
QRコード
アクセスカウンター

    • ライブドアブログ