ガバナンス

2020年03月14日 17:42

 桜の開花の知らせになんとなく鬱陶しいものを感じて窓の外を見れば雪。

 製造業で法務なり監査の仕事をしていると、製品不良やら不具合をはじめ品質保証関連の報告・対策会議に出席する機会が増える。法務としての振り出しの仕事が製品リコール対応だったし当時の関係者の生き残りになってしまった今、時として厳しい意見もいわなければならない。しかし「なんとなくあるべき論」を述べるだけでは、「また監査部門がうるさいことをいう。」で終わってしまうので、設計や製造、品質検査部門に何かしら「引っ掛かり」を残すようにしたほうがといいだろうと思い、ネタを探していたところ手に取ったのが「バグトリデザイン 事例で学ぶ行為のデザイン思考」(村田智明著 朝日新聞出版)。
 
 何かと「デザイン」とタイトルにつける書籍が増えたような気がするのだが、この書籍は本家?ともいえるプロダクトデザインに関するもの。ユーザーが何かしら不具合を感じたら、その製品の設計・製造はじめどこかのプロセスにバグがある、そのバグを除くには人の行為をよく分析することだ、という内容。(雑駁なまとめで申し訳ない)バグと表現しているものの、深刻なものは製造物責任法における設計上や表示上の欠陥に通じると思いながら読んでいる。

 ところでバグというのはプロダクトデザインだけのことか(元々バグという定義のあるコンピューターシステムプログラムなどの領域は除く)というのが本題。
 業務ルール違反や品質不良の事案発生の際に、本社管理部門は「なぜルール通りにできない」と既存のマニュアルの運用を厳格化してしまいがちではある。だが同様の違反や不具合が繰り返し発生しているようなら、ルールやマニュアルの内容そのものにも疑義を向ける必要があると考える。あやまった行為を誘発する、またはそれを防げない要因、本書でいうところの「バグ」が業務プロセスのどこかに存在していると考えるのが自然ではないか。製造現場では日々の現場巡視やQC活動などで非効率・危険性といった「バグ」は取り除かれていくが、本社管理部門はじめ事務部門はどうなのだろう。「バグ」を現場の責任に押し付けてはいないだろうか。
 本社管理部門が作るルールやマニュアルのユーザーは従業員。ユーザーの行為にもっと注視すれば、違反や不正を防ぐ業務や組織のデザインにつなげることができる…かもしれない。
 おりしも在宅勤務を取らざるを得ない状況。在宅勤務を導入してこなかった企業は業務や組織のバグ取りの良い機会となるのではないか。

 と書きつつ、自分はといえば毎日出勤しているのであった。




 




 
  

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2019年10月19日 18:12

 週半ばから工場の内部監査往査。
 経費抑制のおり物理的に通える地域だったので3日間早起きして通う。その反動でどっと眠気に襲われている週末、自分の鼾で転寝から目が覚める始末。
 
 創業の地にあり、業歴は長くかつては売上の筆頭工場の地位にあったが…という組織部門を抱えている企業は多いと思う。上層部、ベテランは往時のことが身に染み付いている、間接部門の中堅以下若手世代は苦しい時期のことしか記憶にない、製造現場は日々の仕事に満足。業績が冴えない製造業には珍しくない姿かもしれない。

 帳票を確認する限りは何の問題もない。しかしそのプロセスを探っていくと何かがある。帳尻合わせだけが上達しているのも「業歴の長い」組織の特色かもしれない。ルールが形骸化したのか、否それ以前にルールが整備されているのか、ダブルスタンダードなのか、いつ始まったのかも定かではない慣習に業務が左右されていないか等雑談交じりに業務実態を聞き取っていく。ときに「実はこうなのです」という告発めいた話を聞くことはある。もちろん鵜呑みにはできない。そのような話が出ること自体を問題視する。

 企業統治、内部統制…ここ20年の間に随分と企業経営は変革を求められているし、実際に変革に取り組んではいる。しかし、企業ガバナンスの手本のように扱われ法律雑誌にその取り組みが記事掲載された企業が不正会計や品質偽装等により手のひら返しされている事例をみると、企業組織の端々にまで「企業統治」なるものを行き渡らせることの難しさを感じる。

 不正・不祥事またはそこまではいかない「不都合」、発覚してみれば現場の「この場所」「この時点」で「気づいていれば」「対応していれば」ということが多い。そしてそれは往々にして各部門で実務を担当する中堅以下社員の業務範囲にある。
 仕事の質は細部に現れる。ではその細部まで誰がどのように行き渡らせるか。
 ここを明確にしていないまま、という組織が実は多いのではないだろうか。
  
 


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