経営・組織

2021年03月21日 17:53

 会計や監査系の情報インプットを優先しているため、法律系書籍を読むスピードはいつもにまして鈍化している。にもかかわらず、その他雑多に活字を求めるのはどうしたものか。
 合間に読んだ書籍のなかから2冊ほど記録を上げておく。

「企業の天才!江副浩正8兆円企業リクルートを作った男」(大西康之 東洋経済社)
「働くこと 経営すること そして経営すること」(入村道夫 アトリエ椿納言)

 2冊の共通項は「リクルート社」である。順にメモを残す。
 「企業の天才!」は、故瀧本哲史氏の「江副浩正氏を評価する」趣旨のインタビューをプロローグに、
(多少「江副氏信奉」のきらいは感じなくはないが)、江副氏とリクルート社の成長譚と「リクルート事件」のあらましを描いている。「リクルート事件」という一大疑獄事件の中心にあったにもかかわらず、同社が分解も解体もせず今なお「情報産業」の中心にでんと構えている理由の一端を窺い知ることができる。
 しかし疑獄事件そのものの後処理は並大抵のことではなかったはず。リクルート事件にかかわらず、事件の真っ只中のことは報告や書籍という形で世の中に出回るが、事後の対応に奔走した当事者の話はなかなか表に出ることはない。

 「働くことー」の著者は、その事件当時リクルート社の取締役であり、事件後「リクルートコスモス」の再生に経営者として関わった方である。では本書に当時の状況が描かれているかといえばそういうわけではない。著者が事件対応と再生にかけた年月を経て至った境地からの経営層やそれに近いビジネスマンに対する心優しきメッセージ、といった内容である。人によっては「何を当たり前のことを」とか「ポエムやファンタジーじゃないか」という反応を示すかもしれない。しかし著者の歩んできた道のりを考えると、表現がシンプルで柔らかな分、かえってその裏に「凄み」を感じる。(というのは自分だけだろうか)

 今回はこんなところで。



働くこと 経営すること そして生きること
入村 道夫
アトリエ 椿納言
2021-01-12







   

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2021年01月24日 17:52

 順不同で積読解消中。そのなかの書籍から。
 『企業不正の調査報告書を読む』(安岡孝司著 日経BP社)

 企業不正が発覚し報道される機会が増え、なんとなくその手の話題にある種「鈍く」なっている自分がいる。興味・関心がないということではない。以前は「え!あの企業ですらこんな話が!」という驚きを持って情報に接していたのだが、今はその「驚き」というよりも自社にも該当するような状況がないかを確認するようになってしまっている。

 著者はみずほ情報総研(旧富士総合研究所)で金融技術開発部長などを経てから、芝浦工大大学で工学マネジメント研究科の教授を務めていた方。弁護士、企業法務とはまた別の切口でリスクマネジメントを研究されている。
 本書は2部構成。第1部が「企業不正の事例分析」全7章を使って直近の29社の事例(!)とそれぞれの不正防止のチェックポイントを提示している。第2部が「不正防止のチェックポイント」。こちらも6章をたて、不正防止の考え方から(不正)調査報告書に対する提言まで言及している。
 しかし、なんといっても冒頭の「はじめに」からのジャブの効かせ方だろう。「はじめに」の終盤に「経済公害の悪循環」の見出しで不祥事企業がお約束のように立ち上げる「調査委員会」についてこのように記している。(本書5頁からの抜粋)

  • 調査業務を発注するのは経営者なので、経営者に不利な調査を頼むはずがない。
  • 社会的に問題なのは、経営者にすり寄った調査で済ませてくれる事務所が繁盛し、根本的な原因解明が行われない行われないことです。
  • 調査ビジネスには弁護士や会計士の資格が不要で、内容的な規制もないため、自由な競争状態です。
 第三者委員会ありきの風潮は感じるし、第三者委員会の仕事を受任しようとする事務所があってもおかしくないが、著者が士業の方でないため遠慮なくジャブを繰り出している。さらに、経営者に都合のよい調査報告書を書いたメンバーが、その後の改善委員会に名を連ねることについても手厳しい。このような事態を問題視し(いや、そもそも問題と思うが)、これが繰り返されると次の悪循環が生じると畳み掛けている。(同頁から抜粋)
  • 不正調査のために法律事務所を探す
  • 経営者に甘い法律事務所が増殖する
  • 信頼回復に本気で取り組まない法律事務所が増殖する
  • 不正が再発する

さらに
  • 調査発注者の責任は調査されない
という「調査発注者免責の法則」と呼び、調査報告書について経営責任まで調査していても優れた報告書とはいえない、発注者の不利なところまで調査したものが優れた調査報告書であるとしている。
 著者のこの「はじめに」に呼応しているのが第2部の第11章「調査報告のチェックポイント」第12章「調査報告書への監視と盲点」である。調査を受任する可能性のある弁護士では書きにくいことをさらりと書いていると感じた。

 本書の意図を本当に理解するには、第1部の不正事例に挙がった企業の調査報告書に目を通す必要がある。なかにはテキスト検索やマーキングできない方法での報告書もあるようだが、そういうこと(企業の姿勢)も含めての調査報告書という視点を持つことも必要なのだろう。

 それにしても「調査発注者免責の法則」であるなら、経営トップや取締役会をレポートラインにもつ内部監査部門の監査とは?という問いにも繋がる。これはこれで(今はこれ以上書く力量がない)











 

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2020年07月18日 18:18

Accounting(企業会計) 2020年 07 月号 [雑誌]
中央経済社グループパブリッシング
2020-06-04

 更新できないまま7月も後半に。
 月刊誌を通読できないまま、次の号が発売されてしまいなんとも情けない。

 というわけで、前月号になってしまうが読んだ本の読後感をかきとめておく。
 「企業会計7月号」。法務の仕事もあれなのに会計の本まで読む力があるのかと自分でも思いながらも
特集記事「これからの人事マネジメントを見つけよう『心を動かす』管理会計」というタイトルに惹かれ手にとった次第。人事マネジメントの手法や質もときに「リスク要因」と考えるので。

 コロナ禍の影響は今期の業績に少なからず影響を与えていて、対事業計画をどのようにクリアしていくか。コロナ禍は特殊要因とはいえ、有効な予防・治療方法が確立していない以上今の状況が上半期で解消するとは考えられず、「今よりも悪化した環境」でも利益を出す経営をしていかなければならない。損益分岐点の引下げは不可避で、条件反射のように「販管費の削減」が課題となりお約束のように人件費削減も目標数値が設定される。一方、ウイルス感染防止の一環で在宅勤務(テレワーク)取組も不可避。それが目的ではないにせよ通勤費や時間外労働の削減、といった項目ばかりについ関心がいってしまう。わかりやすいからである。しかし「わかりやすさ」は従業員にとっても同じで、ただでさえ先行き不透明な環境下で仕事をするのに、ただ「コスト扱い」されてはモチベーションの維持は難しいだろう。
 管理会計の視点から今後の人事マネジメント」のアプローチが可能か、というのが特集記事の主旨で、バランストコストカード(BSC)による従業員の動機付けやアメーバ経営の管理会計による組織学習、付加価値管理会計の記事などで構成されている。監査法人が「企業風土」を取り上げる時代なので、企業組織の元となる人事マネジメントに会計サイドからアプローチがあっても何の不思議もないとは思う。
人事マネジメントに「これで決まり!」という正解はないし、まして今の状況下においては、複数の視点、多方面からアプローチが必要だと思う。
 
 しかし人事・労務、会計、法務とそれぞれの立ち位置からのアプローチをしていても経営は前に進まない。人事部門と会計部門とがコスト削減ではなく「人事マネジメント」について同じテーブルに付き協議する場を設けている企業がどれほどあるのか知りたいと思う。




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2020年06月13日 16:37

 特集記事によって購入する「月刊誌」のひとつに「広報会議」がある。
広報担当と名乗ることもしなくなったが、それでもまだ少しは実務に関わるしリスク管理業務の一端でもあるのでたまに目を通す。

 広報会議7月号の特集は「時流の把握と即対応 危機下だからこそ問われる広報の本質」
法務誌でも危機管理の特集が組まれるが、法務担当者がフロントに立って投資家やメディアなどに接するわけではない。コロナ禍から「新常態」へと移行しつつある状況下でメディアリレーションとインターナルコミュニケーションの2つをテーマに、アンケート調査から匿名座談会、コロナ禍での危機管理広報のポイント、炎上リスク回避のキーワードまで読みやすく(広報向けの雑誌だから当然か)まとめられている。プレスリリース原稿をチェックする法務担当者も何のハードルもなく読めると思う。

 いまさらいうことではないが、コロナ禍前と同じ社会に戻ることはおそらくない。
広報の仕事でいえば、決算発表会、新製品(サービス)発表会、工場見学会、レク付プレスリリースなどメディア関係者を集め、あるいは記者会に出向いて資料配布し質疑に応じ、といった仕事は方向転換せざるを得ないだろう。新しいWebツールを活用し、公表資料の体裁もそのツールに合わせたものに変える。広報担当者の発表の仕方も変わるだろうし、当然メディア側も以前と同じ取材方法が続けられるわけではない。官庁の一室に陣取る記者会といった存在もどのようになるか。
 社外との接点の形が変われば、社内の動きも変わる。プレスリリースや取材に対する法務部門のリーガルチェックのあり方も変わるだろう。

 とはいうものの、ツールや方法が変わることはこれまでも繰り返されてきたのだから恐れたり抵抗する必要はないと思う。時代に合わせた社内外の人間との意思疎通や対話(メールやチャットも含む)スキルが求められることに変わりはないと思う。これは法務部門のほか本社部門に共通する。
「新常態」への対応のスピード、巧拙によっては過去よりも大きな企業間格差が生じる可能性がある。発生した課題は都度捌いていかないと後からでは挽回が効かない。
「新常態」とはそういう社会なのだ、としみじみ思ったのも正直なところである。









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2020年05月06日 16:45

 土日を除き公休日として休めたのが2日程度だが、先週土曜は自宅からWeb会議参加していたので休めたうちには入らないので、GWといってもピンと来ない。マスクを着け生活必需品を買いにふらりと近所に出かけても緊張と弛緩とが織りなす奇妙な空気を感じる。
 明日以降は緊急事態体制を継続する地域とそうでない地域とに分かれていく。全国に出先を持つ企業はまた悩むところであるが、地域ごとの情勢にあわせていくよりないだろう。(無論従業員の安全が第一ではあるが )
 しかし全社的に宣言前、自粛前の「元通りの姿」に戻すのかという話。

 ビジネス書といわれるものから少し距離を置いていたのだが、業務上「組織運営」についても関わるので、たまには新しめのものを読もうと思って購入したのが「ティール組織」(英治出版)。
 まだ途中なのだが、第Ⅱ部第2章「自主経営/組織構造」第3章「自主経営/プロセス」に差しかかり何となく既視感に包まれてきたのだが、232頁に4行ほどでさらりとオルフェウス室内管弦楽団に触れられていたところで、既視感の正体はこれかと思った。
 指揮者のいないオーケストラ、オルフェウス室内管弦楽団のマネジメントやそのプロセスについて触れたのは10年ひと昔とすればふた昔前の2002〜03年頃で、管理職候補向け研修カリキュラム作成と社内講師養成に参加していたとき。当時は「組織のフラット化」や「部門横断型プロジェクトマネジメント」に適したマネージャーの養成が目的だったが、旗振り役の人事部門長が受講者の課題図書として推してきたのが、オルフェウス室内管弦楽団のディレクターが著した「オルフェウスプロセス」(角川書店2002年刊、絶版かな?)であった。指揮者がヒエラルキーの頂点に立つオーケストラで、指揮者不在でなぜ破綻することなくむしろ素晴らしい演奏ができるのか。どのようなプロセスでそれを実現させてきたのかという内容。「ティール組織」を中断して10年ぶりぐらいに本棚から引っ張り出して再読した次第。

 環境が変わりルールが変わる、だから組織もマネジメントも変えないとね、というのは繰り返し盛り上がる話題だ。その内容は多少装いや用語を変え、成功事例の企業のいくつか入れ替えがあるにせよ、本質のところは繰り返しということもままある。ただ同じことが繰り返されるということは、それらが説かれても「現実のもの」になっていないことの裏返しでもある。
 今回のコロナウイルス禍のあとでも同じことが繰り返されるか。

 突貫でテレワーク体制を引いた企業が多いことだろう。実際、アナログな所属業界も今回ばかりは舵を切った。メリット/デメリットは当然つきものである。前者の代表的なものはテレワークなどで得られる効果(例えばコスト低減)、後者は業務実態と従来型マネジメントとの齟齬ではないだろうか。ただ得られる効果を犠牲にしてまで、従来型マネジメントに戻すことにこだわる経営陣はいないと思う。
今回は「組織を進化させる」を現実のものにできるか、そんなことを考えながら再び「ティール組織」を読むことに戻っている。

 人事部門長が受講者の事前課題図書に推していた「オルフェウスプロセス」は、社内講師(30代半ばから40代初めの6名)で協議した結果、事前課題図書から外した。「自主的」な研修運営の結果と捉えてくれたかは訊かず終いである。






 


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