企業法務

2020年05月06日 16:45

 土日を除き公休日として休めたのが2日程度だが、先週土曜は自宅からWeb会議参加していたので休めたうちには入らないので、GWといってもピンと来ない。マスクを着け生活必需品を買いにふらりと近所に出かけても緊張と弛緩とが織りなす奇妙な空気を感じる。
 明日以降は緊急事態体制を継続する地域とそうでない地域とに分かれていく。全国に出先を持つ企業はまた悩むところであるが、地域ごとの情勢にあわせていくよりないだろう。(無論従業員の安全が第一ではあるが )
 しかし全社的に宣言前、自粛前の「元通りの姿」に戻すのかという話。

 ビジネス書といわれるものから少し距離を置いていたのだが、業務上「組織運営」についても関わるので、たまには新しめのものを読もうと思って購入したのが「ティール組織」(英治出版)。
 まだ途中なのだが、第Ⅱ部第2章「自主経営/組織構造」第3章「自主経営/プロセス」に差しかかり何となく既視感に包まれてきたのだが、232頁に4行ほどでさらりとオルフェウス室内管弦楽団に触れられていたところで、既視感の正体はこれかと思った。
 指揮者のいないオーケストラ、オルフェウス室内管弦楽団のマネジメントやそのプロセスについて触れたのは10年ひと昔とすればふた昔前の2002〜03年頃で、管理職候補向け研修カリキュラム作成と社内講師養成に参加していたとき。当時は「組織のフラット化」や「部門横断型プロジェクトマネジメント」に適したマネージャーの養成が目的だったが、旗振り役の人事部門長が受講者の課題図書として推してきたのが、オルフェウス室内管弦楽団のディレクターが著した「オルフェウスプロセス」(角川書店2002年刊、絶版かな?)であった。指揮者がヒエラルキーの頂点に立つオーケストラで、指揮者不在でなぜ破綻することなくむしろ素晴らしい演奏ができるのか。どのようなプロセスでそれを実現させてきたのかという内容。「ティール組織」を中断して10年ぶりぐらいに本棚から引っ張り出して再読した次第。

 環境が変わりルールが変わる、だから組織もマネジメントも変えないとね、というのは繰り返し盛り上がる話題だ。その内容は多少装いや用語を変え、成功事例の企業のいくつか入れ替えがあるにせよ、本質のところは繰り返しということもままある。ただ同じことが繰り返されるということは、それらが説かれても「現実のもの」になっていないことの裏返しでもある。
 今回のコロナウイルス禍のあとでも同じことが繰り返されるか。

 突貫でテレワーク体制を引いた企業が多いことだろう。実際、アナログな所属業界も今回ばかりは舵を切った。メリット/デメリットは当然つきものである。前者の代表的なものはテレワークなどで得られる効果(例えばコスト低減)、後者は業務実態と従来型マネジメントとの齟齬ではないだろうか。ただ得られる効果を犠牲にしてまで、従来型マネジメントに戻すことにこだわる経営陣はいないと思う。
今回は「組織を進化させる」を現実のものにできるか、そんなことを考えながら再び「ティール組織」を読むことに戻っている。

 人事部門長が受講者の事前課題図書に推していた「オルフェウスプロセス」は、社内講師(30代半ばから40代初めの6名)で協議した結果、事前課題図書から外した。「自主的」な研修運営の結果と捉えてくれたかは訊かず終いである。






 


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2020年04月29日 23:58

 「非日常」が「日常」にすり替わり、なすすべもなく月末を迎える。

 ビジネス法務2020年6月号の走り読み。特集「企業法務の周辺学」。新人弁護士・法務部員向けの記事らしい。
 本題とは関係なく、まず「周辺」なのか、それとも「周縁」なのかというのが気になってしまって余計な調べ物をしてしまった。「周辺」「周縁」にしろ「中心」が対語となるのだから、企業法務の「中心学」とは何になるのかという、これまた余計なことをぐずぐずと考えてしまった。
  中心と周辺とに分ける以上(企業法務の仕事の)中心と周辺とを分ける「縁」がどこに引かれているか?その位置は企業によって異なるのはいうまでもないだろう。全ての企業法務に共通する「縁」はないが、「縁」に接している公約数的なものが「税務」「会計」だと割り切ったのだろうか
もちろん税務・会計に関する一定の理解は必要だが、たとえば労務など他に取り上げてもよい分野はあるように思った。
 他部門の業務に関することだけが「周辺学」ということではないだろう。冒頭のユニ・リーバの小林氏の稿のⅢとⅣで触れられているが「日本語力」や「一見法律や法務とは関連しそうにない知識や経験」を「縁の外」から「縁の中」に取り込むことが大切ではないかと思う。

 自分が思った「周辺学」について。
 新人の企業法務担当者が突き当たるのは、「法律なんて細かいことは気にしていられないよ」「もう了解しちゃったよ、この条件」「今すぐ法務の見解をちょうだい」といった猛者を相手にしなくてはならないこと、あるいはうまく回って当然、労多く報われることの少ない仕事に心折られることであろう。どうやって相手に自分の意思をうまく伝えるか、リーガルリスクを小さくするための望ましい行動(交渉)をしてもらうにはどうしたらよいか。自らのモチベーションをどうやって上げるか等、行動心理学やコミュニケーション学、セルフマネジメントの分野も「周辺学」と思う。人との接し方、交渉ごとは理論だけではうまく回らないないことが多いとは思う。それでも理論を知っていることで、少しは余裕なり自信をもつことにつながるかもしれないので。

 今回はこんなところで。当面早出のシフト出勤(在宅勤務って何のことやら)。
 
 
 


 





  

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2020年04月19日 13:05

 持久戦と呼ぶのが相応しいのかわからないが、音をあげたら負けということはたしかだ。

 入社式を急遽取りやめ、さらには近場の事業所での出勤もさせず自宅待機という異例の状況に置かれている今年の新入社員。バブル崩壊期、リーマンショック後に採用を絞るということはあったかもしれないが自宅待機という事態にまではならなかった。勤務先でいえば自分よりひとまわり以上の世代にオイルショックの煽りで5月入社となったケースがあるが、おそらくそれ以来のこと。人事総務に限らず皆初めての経験である。
 自宅待機といえども遊ばせているわけにもいかない(そもそも遊びに出られる状況でもないが)ので、IT後進企業の勤務先にしてはいち早く話題のZoomを利用しての在宅新人研修に切り替えた。同サービスについてはセキュリティーについて取り沙汰されているのは承知しているが、日々のアップデートを怠らないようにして利用しやすさを優先した形である。
 で、やってみましたよ、Zoomによるコンプライアンス研修。 
いつもと勝手が違うので戸惑い、そして機能を使いこなせなかったかも、というのがひとつの反省。急遽決まったことなので対応しきれなかったこともあるが、リアル・対面で実施する研修とコンテンツが同じでは長時間の研修は乗り切れないということを痛感した次第である。
 それでも多少コール&レスポンスをやってみた。「コンプライアンスに対するイメージ」「コンプライアンスってどういうこと」という問いに対して、複数名から「自社が社会的責任を果たすために取り組んでいることをアピールしていくこと」という回答があった。これは8年ぐらい研修をしていて初めてのパターンだったので少し驚いたのだが、CSRだ、コンプラだといわれ始めて20年以上経てば状況も変わるということか。
もちろん、回答を引用して「あなたたちの行動もアピールのひとつになるのですよ」と返したけれども。(講師は臨機応変のフィードバックが肝)

 個人的には、新人については集合研修の期間があるのが望ましいと思っている。終身雇用制度が終焉を迎えつつある時代に「同期入社」がどれほどの意味を持ち続けるかはわからない。Web研修の利便性、経済性を知ってしまうと以降の研修も一気にこれに雪崩る可能性は高い。しかしリアルでの経験共有の機会がないままでよいか。配属され散り散りになってもメールやチャットで繋がるには、新人研修という「猶予期間」に顔をあわせグループでブレストやら課題取り組みした時間が必要だと思うのだ。
(むしろ多忙を理由に何も勉強しなくなる、研修を欠席しはじめる中堅層以上の研修にWeb研修はうってつけのツールだと思う)

 とはいえ、今回の研修のまとめは新人がどうこうというよりも、新しいツールでの法務研修を考えるというテーマを与えられた2時間であった。
 



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2020年04月12日 13:51

 在宅勤務に入っている方も多いと思うが、どうやって平日と休日とを切り替えているのだろうか。経験がないので見当がつかない。出勤者を7割削減せよ、という要請だが、勤務先の販売現場では既にそのような状況にしてあるのだが、商売の上流が仕事を止めない限りこれ以上の対応は難しい。

 さて、BLJ2020年5月号。特集は定時株主総会を控えた時期ということもあって「グループガバナンスの強化先・合理化策」である。本号の編集時期は3月10日前後と思われるので、「平時」が前提の記事であるのは仕方ない。
 コロナウィルス禍により自社の株主総会だけでなくグループ子会社の株主総会関係の事務を大きく変更せざるを得ないなか、この機会に合理化 できるものは実行するという流れは自然のことと思う。
子会社には機関法務の専任者がいない場合が多いだろうから、期が変わり次第粛々と事務作業を進めればよい。実際勤務先も現在の資本傘下に入って以来、定時・臨時を問わず株主総会は開催省略だし(ただし書類作成や司法書士との協議も自社=自分がやっているので手間が完全に省けたわけではない)、総論としては賛成ではある。
 
 子会社の代表取締役の選定を株主総会決議事項にすることや機関設計をシンプルにするのはあくまでガバナンスのひとつの手段に過ぎない。子会社の機関をシンプルにする一方で、親会社の経営管理や菅財部門の子会社管理業務の負荷が重くなっては本末転倒だし、また細かく管理をすることで子会社の意思決定や事業活動のスピードを減速させてしまっても意味がない。バランスの取れた管理業務フローの運営が問われると思う。

 コロナウィルス禍に関連して、子会社側で考えなければならないこと。
今後業界を問わず相当の期間厳しい事業環境に置かれることは疑いようがない。ことの次第によっては、自分の所属する子会社が事業再編、組織再編の対象になるかもしれない。
 本特集記事にあるような子会社機関業務の合理化・省力化に慣れてしまうと「本社機能」が脆弱な会社になってしまうおそれがある。親会社によるガバナンスはそれとして自力のガバナンス構築は念頭に入れておいた方がいいかもしれない。面従腹背ということではない。リスクに備えた「シャドー」といえばよいのだろうか。煽る意図はないが「君たちには連結から外れてもらいます」といわれてからでは遅い、というのもこれまた事実なのである。
 

 

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2020年03月29日 15:22

 春の雪を眺めつつ。

 書籍エントリー。今回は「Q&Aでわかる業種別法務 製造」。すでにdtkさんやちくわさんがエントリーにアップしているので出遅れ感があるが、自分なりのものを残しておく。

 結論からいえば、デスクの置く1冊であることに異論はない。
 先に取り上げた「メーカー取引の法律実務Q&A」はある程度場数を踏んだ担当者の期待に応じる「玄人モノ」とすれば、こちらは就職して法務に配属された新人、製造業に採用あるいは出向したばかりのインハウス向けのガイダンスといった色彩が強い。製造業の標準的なビジネスフローに沿って法務業務範囲をほぼカバーするQ&Aをコンパクトに250ページほどに収めてあるのは見事である。

 Q&Aの形を借りたガイダンスの編集は案外難しいものである。自分も業界団体の会務で何回か作成編集に関わっているが、ガイダンスの読者に対して伝えたい「A」を説明しきるために「Q」を作るということが多い。そのために再度「Q」を見直すこともあるし、「A」そのものも出身企業の事情が絡んでなかなかまとまらないということもままある。本書の編集段階でも似たようなことが繰り返されたのではないかと勝手に想像している。(5稿ぐらいまで進んでちゃぶ台返しのようなこともある)

 あえていうなら、という点を少し。

 メーカーはどうしても工場が主体となるが、その工場の運営に必要な許認可、各種届出といった業務、自治体等行政機関、近隣との渉外業務は工場の総務・労務・保安部門が担っており、平時に法務が嘴を挟むことはない。新興業種の法務界隈で話題になる「ロビー活動」についても製品事業部門が「事業団体」を通じて行っているので、こちらも平時に法務が関わることは考えにくい。大企業であればあるほど分業が確立している。そのような環境で法務部門(担当者)がどのように存在感を保ち、発言力なり権限を手に入れていくか、これこそ「Q」の一つではないだろうか。本パートで「あるべき論」が書かれてはいるが、どうもさらりとしたものに感じられた。(どこまで書けるかという問題もあるが)
 「工場」に関していえば、「ガバナンス・コンプライアンス」の章。環境法令に抵触した場合や休業災害が発生した場合など、工場責任者がいたとしても法務の出番が回ってくるケースがある。法務主体の業務ではないと落としたのかもしれないが、事業上のリスクなので取り上げておくべきではなかったか。
 また執筆陣が大手企業法務の人である以上仕方がない面もあるのだが、発注者側の視点のQ&Aが多いという点。調達・製造の章が顕著であったが、製造業は数多の中小企業に支えられている現実から子事業者、請負者側の立場のQ&Aをいくつか設けてもよかったのではないか。(読者をJILA所属者に限定しないのであればなおのこと)
 このあたりが少し引っ掛かったのである。

 とはいうものの、繰り返しにはなるがガイダンスとして良書であることに変わりはない。

 最後に本書含む業種別法務シリーズについて。
 自分が所属する業種だけでなく、取引先や諸々折衝先業種の「法務」業務を知る機会を提供してくれるシリーズだと思うのであと数業種購入しようかと思う。









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