企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

会社法まわり


旧商法 古くて新しい課題

 まだ在庫があったのを見つけた「企業会計8月号」。
特集は「蘇る旧商法 会社法世代のためのコーポレートガバナンスの歴史」。

 年齢的には間違いなく旧商法世代に属するのですが、法務に異動したのが2006年12月なので「会社法世代」だよねとひとりごち。法律系雑誌とはまた違う視点があるだろうと思い読みました。会社の中でも、法務と財務の視点は違うことが多々あります。
 
 いろいろと企業再編の憂き目(?)に遭ってきました。
 初夏に本店移転をした(!)ので、取得した閉鎖事項履歴登記と中村直人弁護士の「委員会設置会社制度の発足」の中の〔図表〕平成の商法・関連法改正(本誌P51掲載)を眺めると、法改正を機会にいろいろやられたのだなと思うことしきり。勤務先が分社されたのは平成12年会社分割制度導入の翌年春でしたし、株式譲渡のスキムの中で、自己株取得という方法を取らさせたのも平成15年132号があったからだろうし(株価維持とは目的は違いましたが)。委員会設置会社であった時期もあるのですが、現在の姿を見ると結局何だったのだろうかと思います。

 それはともかく、企業統治と取締役の責任・監督というのは古くて新しい難問であることがわかりますね。会社法では「機関」とされる取締役ですが、機械ではなく生身の人間ですし、経営はその生身の人間がやることですからね。
 最近の法改正やGCなど上場企業の役員が負うものと、非上場、子会社の役員が負うものとの差が大きく、取締役の責任、監査役の責任とひとくくりにはできなくなったと思います。
 とかく「リスク」の温床とされる子会社ですが、子会社の役員については直近の議論から置き去りにされているような気がします。このあたりは親会社のガバナンスの中で詰められていくのでしょうかね。

 今日はこんなところで。



 

子会社はつらいよ 下から目線で何ちゃら 16

 えー、不定期エントリーです。

 子会社に対してどうガバナンスを効かせるかについて、または効かされるかについて気の向くまま。
 切り出した子会社と買収した子会社とでは当然異なりますけれどもね。 

1.取締役や監査役を派遣する
 これは考えるまでもありませんね。一人遣わすのか複数なのか、はたまた子会社取締役会の過半数か、親会社の思想が現れるところでもあると思います。ただ、大企業ともなると子会社の数も多く、その全部に常勤役員を派遣するほどの人材がいるとは限りません。非常勤役員とせざるをえず、月に1、2回の取締役会、経営会議等に出席できれば良いほうかと。いや、そうでない企業もあるかとは思いますが、ガバナンスという点では…どうなのでしょうね。監査役補助使用人の設置も云々されることもあるのですが、どのくらいの企業が補助使用人を置いているのでしょうか?あまり話題にならないのですが普通に置かれているものでしょうか。

2.ラインの責任者を送り込む(出向など)
 現場の責任者(事業部長や財務部長など)を送り込む、というのも考えられますね。非常勤役員よりもガバナンスが効くかもしれません。ただこの場合は人選が鍵でしょうね。親会社にエース級・準エース級を送り込む覚悟があるかということ。親会社で冷や飯を食っている人物ではガバナンスとは逆方向に向いてしまうことも考えられます。

3.物理的に一体化する
 手っ取り早くとにかく目の届くところに子会社の本店機能を置く、はやい話が親会社の本店に子会社を移転させてしまう。ある意味では理に叶っている気もします。電話やメール、TV会議などの手段があるとはいえ、子会社社長や役員をその場に呼びつけて直接指示命令、報告させるのに勝るものはありません。原始的とは思いますが。
 本店移転登記や許認可変更届などの手続き(と費用負担)、従業員の転勤、転居はたまた去就、取引先の離反など諸々課題はありますが、そんなものは織り込んでしまえばそれだけの話。
 もっとも同じ場所にいるようになれば、子会社の特に間接部門など親会社のその部門とがらがらぽんする可能性もあります。そういう狙いがあってもおかしくはありません。

 なぜこんなことを書いたかといえば買収されて4年、いろいろ思うことが増えたということで。本当に楽ではありませんねえ。



 

役員選任案

 コンビニチェーン会長の引退のニュースが波紋を呼んでいましたね。
 あれだけの功績を築いた方が、という声もあったようですが、(創業者ではありませんが)一代で巨大になった組織のトップというのは、なかなか常人では計り知れないものがあるものですよ。
 完全無欠の経営者はいないということですかね。

 ちょうど5月、6月の定時株主総会の準備の真っ只中の時期なので「役員選任案」が騒動の中心だとまた想定問答のネタが、と 思い悩む担当者もいるのではないでしょうか。

 機関法務の仕事といっても、ずっと一人株主の非公開企業なものですから、役員選任案は下から伺いを出し、上から(親会社からということ)非常勤の役員案を提示され、それをミックスしたものを案として作成、というのが実態です。上からの案には異論を挟む余地はありませんが、自社案についても法務からダメ出しをすることもありません。(心の声としてはあるようなないような)。
法務が選任案に直接深く関わる場面というのはあるのでしょうか。上場企業の社外取締役候補者案を作成する際にはありそうですけれど、どうなのでしょうか?

 報道では件のコンビニチェーン企業の企業統治の実態がとやかくいわれていましたが、正面切ってそれを批判できる企業ってどれだけあるのだろうか、そんなことを考えてしまいました。

 


 

 

子会社はつらいよ 下から目線でなんちゃら 15

 不定期エントリです。
 カテゴリーが会社法まわりでよいのか、だんだんわからなくなってきました。

 どの企業にも創業の精神というものがあると思います。ときに創業者の精神論というか教えといいましょうか、成功譚に過ぎないのかもしれませんが。
 子会社、特に買収された子会社というのは、親企業グループの一部門でありながら元々の企業風土を抱えています。そうそう簡単に同化できるわけではありません。
 そこでときとして親会社による研修が実施され、まず親企業の創業の精神やら創業者の成功譚を教え込まれる、ということがあります。

 子会社になったときの戸惑いというのは、ほぼ業務の進め方、決裁のやり方の違いなのですが、その違いの根となるものは、親企業の創業期や成長期における創業者や当時の社員の苦労・苦心だったりするわけです。
 新参者が共有するのは難しいところですね。
 創業者が健在の場合は、創業期の話は「昔ばなし」ではありませんしね。

 企業再編やら事業売却のニュースが続いています。自分の勤務先とは比べものにならない歴史や規模を誇っていたはずの企業やその部門が別の大企業グループの傘下になるわけですから、その従業員の気持ちたるや。
 経営や事業の安定を得る代わりに捨て去るもの、新たに身にまとわなければならないものがあります。

 一従業員としてそこを割り切れるか、というのが最初の選択でしょうかね。
 


 

子会社はつらいよ 下から目線でなんちゃら 14

 不定期エントリーです。
 リスクは子会社ばかりにあるのか、という話。

 ビジネス法務の連載記事「グループ会社における役員責任の分析」などを読みながら思ったことです。
 
 親会社役員の親会社に対する善管注意義務が子会社を含む親会社グループの利益のため、と考えられることについて、それには頷けるものはあるとしても果たしてその通りにできるものなのかと思う瞬間があります。

 明らかな利益相反取引はさすがにないでしょうけれど、親会社が決定した方針に基づき子会社が実施する施策が、結果的に子会社の経営にボディブローのように効いてくる(悪い方にね)ことがないわけではありません。親会社の方針決定が議論を尽くされたものなのか、トップの独断によるものなのかいずれにしろ、子会社の役員が決定に関与する機会は限られたものでしょうし。
 一方で親会社の指示命令に従ったことであっても、それをもって子会社の役員の責任が免ぜられるものではない、という論がありますが、そうであれば子会社・子会社役員にとって親会社に原因があるリスクが存在するのではないでしょうか。しかも回避することが非常に難しいリスクとして。

 そのリスクそのものを取り除くのも親会社役員の責任だというのは簡単ですが、企業買収によって異なる業態、企業文化を持つ会社が親子会社関係になるのが当然の時代。そううまくいっているものなのか実態はわかりませんよね。

 案外「親会社リスク」を抱えている子会社はあるかもしれません。

 
livedoor プロフィール
QRコード
QRコード
アクセスカウンター

    • ライブドアブログ